卒業式後に雄英の見学……内覧っつーの? に緑谷と行く約束をして、速攻で雄英のホームページから手続きをした俺です。
被服控除の申請も済ませたし、な。
耐電や、スタングレネード的な物への対策として、自動遮光とか音響調整も書き込んだぜ!
父さんからは、フェイスガードがゴツくなるとか、ヒーローっていうより特殊部隊の軍人みたいにならないかとか言われたけど、いいんだよ。生存率あげること前提なんだから。
しっかし、あれだよな。
爆豪にも困ったもんだよな、あれ。
『ウチの中学から雄英進学者が三人も出るとは!』
『特に緑谷は奇跡中の奇跡だなあ!』
職員室で先生ぇからそんな事いわれてさぁ、この発言もデリカシーなかったけど、爆豪君がずっと俺ら……いや、緑谷を睨んでんのよ。
でもって、顔貸せやデクぅっ!!とか言ってどっかに緑谷を引っ張って行くから、着いていきましたよ、俺。
『てめぇにゃあ用はねーんだよ!着いてくんな!』
これですよ、これ。
だから、ね。
『チクるぞぉ。っていうか、暴行と脅迫と個性不正使用で警察とヒーロー協会に通報すっぞ。マジで。』
おぉー、目付きスゲーわ。いや、だってお前のその構え、爆破の構えじゃん。
『だいたいよぉ!どんな汚ねぇ手ぇ使やあ
あー、まぁそっか。無個性だと思って……うん、そうだな。
でもなー、俺の口から言うのもなんだしな。
よくよく考えたら、俺も話だけで見てないしな。
『知らねーよ。んなこたぁ。……雄英の判断だぜ? それとも何か?
んー、ちっと苦しいか。
でもバクゴー君の言ってる事は単なる我儘な言い掛かりだしなー。
『〝勝ち取ったんだ〟って言ってもらったんだ。だから、僕は……行くんだ!!』
おー、ビビりながらもよく言ったぜ、緑谷ぁ!
『な、爆豪くんよぉ。前に言ってた史上初とか、唯一とか、そんな話は仮に緑谷が受けなくても、受かんなくても、俺がいる段階で破綻してっぞ?』
『てめぇっ!!!』
あ、突っ込んできた。
んー、前より遅くなってねーか?お前。
右の大振りをはね上げて、と。
手首を掴んで締め付けて、肘も押さえてねじあげる。
『ぐわぁっ!て、てめぇっ!!』
ミシミシ、ミシミシ。
『藤宮君、それ以上いけない!』
ん?なんかデジャブが。
ま、そんなこんなで無事に卒業しましたとも!
卒業のお祝いで竜爪会の組長さんから、幻のアイドル・ヒーロー、
んで、今日は緑谷君と雄英の見学でございます!
地下鉄乗り継ぎ途中の駅で蕎麦を食う俺!
緑谷はカツ丼か。
ん?緑谷ぁ、どした?
電子レンジの卵がどーのこーのって?
いや、聞こえてるぞ〝緑谷ブツブツ〟。
カツ丼の卵の研究か。
でも爆発すっぞ。それ。
ん?個性のコントロールの話?
まだ調整が全然?
ふーん。
100%かますと骨が砕けるわけね。
んー。
今日さ、訓練場で練習してる先輩とか見せてもらえるらしいからさ、何かヒント掴めるんじゃね?
……っていうか、オールマイトからは何か指導なかったんか?
俺の推測でしか無いが、オールマイトと緑谷は血縁関係にある。
それも、実の父子ではなかろうか。
しかし、緑谷と緑谷のお母さんは良く似ている。
まぁ、長期海外赴任らしい親父さんの顔は知らんのだが。
では、オールマイトと緑谷のお母さんの間の……?
いやいや。
俺の考えでは、緑谷出久という少年は、緑谷夫妻に預けられたオールマイトの実子で、オールマイト本人、もしくはその妻が緑谷夫人の親戚なのではないか?というものだ。
そもそも、ヒーローはヴィランに狙われないように本名や素性、家族構成を秘密にしている場合がままある。
(竜爪会の若頭の鳴子さんからは、事務所の登記簿を閲覧するとけっこう割れるぞって教えてもらったが。)
オールマイトはNo.1ヒーローだけあってその最たるもの。本名不明、年齢不詳、個性の詳細不明ときたものだ。
平和の象徴とまでいわれ、あまたのヴィランを制圧し、ヴィランの組織だった活動は彼が終息させたとまで言われている。
そんな彼の実子の存在が世間に知られれば、闇の住人が放置しておくわけがない。
だから、緑谷出久は誰にも、本人にもその事実を知られることなく、信用のおける人物の元で育てられたのでは?
そして、この考えの根拠は他にも有る。
緑谷の個性の発現時期と、その性質だ。
個性は普通、4才までに発現する。
まぁ、俺も14才まで発現しなかったが、俺の場合は
だが、緑谷の個性が幼い頃に発現していたらどうなった?
なにかの拍子に発動したとしたら、
だから、緑谷の個性は充分な下地が、いうなれば器が完成するまで発現しない。
そんな特性を持っていたのでは?
そして当然、実父であるオールマイトはその事を知っていた。彼自身が過去に体験しているがゆえに。
しかるべき時に目覚めるはずだった個性。
だが、ここに父と息子の肉体の差違が問題となった。
緑谷出久の体は決して大きくない。
これは母方の遺伝かもしれないが、そのせいで個性の発現が大きく遅れ、高校でヒーロー科を受験する年に間に合わなくなってしまったのだ。
オールマイトの10ヶ月のプランとは、
アメリカンドリームプランとは、実子である出久に夢を掴ませてやりたいという親心ではなかったのか?
……全ては推測。いや、妄想だ。だが、こうとでも考えなければ、オールマイトの行動と緑谷の個性との類似性が謎過ぎる。
かなり真実に近いと思うのだが、さて?
おっと、いかんいかん。
で、緑谷くん、どうだったのかな。
感覚?
電子レンジの中の卵ってイメージが湧いたって話したら、ワット数を下げるとか、タイマーを短くするイメージを反芻しろって?
……教え下手かっ!!!
うわー、うわー。
うん、ホントに今日の見学がヒントになるといいな。
俺もなんか考えてやるよ。
ってもなー、俺の中のパワーは普通に耐久力と打撃力セットで上がる感じだしなー。
おぉ、あれだぜ。
まずは雄英の目と鼻の先で事務所を開いているヒーローの所に行くんだ。
その人も雄英で教師をしてる。
実質、雄英の出張所扱いだべな。
俺らの学生証はまだセキュリティが認証してくれないらしいから、そこで通行許可IDを受けとるんだ。
U-Acafe
そのヒーロー事務所に併設されたカフェコーナーの名前だ。
絵がたくさん飾られているなぁ。
オールマイト、エンデヴァー、エッジショット、ベストジーニスト、ギャングオルカ etc……。
誰もが知る有名なヒーローの緻密な肖像画がところ狭しと壁に掛けられてんのな。
『すごい!
お、おぉ。オールマイトマニアはチェック細かいな。
そして先客達。
どうやら、複数のグループを一緒に案内する形の様だ。
『こんなチャンスがあるなんてよかったね、
連れに興奮ぎみに話しかける、前髪を残してオールバック気味に撫で付けた髪型の少年。
ジョージの奇妙なヒーローアカデミア。通称ジョジアカ。
雄英高校をモデルにした学校を舞台とする、ヒーローの卵と、学校内に潜む若きヴィランとの戦いを描いた人気漫画だ。
……っても、リアルの雄英見学をジョジアカの聖地訪問扱いとして興奮しているのはそうとうなマニアだ。
話しかけられている連れのヒトシ君とやらは……?
『俺はあくまで、のしあがる為の下見のつもりだからな、
ヒトシ君は、紫がかったライオンヘアー。うおっ、目の下の隈スゲーな。
えっと、シズオ君にヒトシ君、ね。
後は、フワフワのピンクの髪をした、メガネを掛けた女の子と、黒いチャイナ風ワンピースを着た、青い髪の女性。んー、お姉さんかな。顔立ち似てるし。
『ママはぁ、伊吹ちゃんの通う学舎を~保護者視点でぇ、しぃっかりチェックしますからねぇ♪』
母親だった。
いや、うちの母さんって例も有るしな。姉妹みたいな母娘がいてもおかしくないか。
『……案内してくださる方を困らせないようにね、母さん。』
『伊吹ちゃんってば、最近ママに冷たいわぁ~。』
うおっ、母親は甘ったるい喋り方するけど、娘さんは顔立ちの割にはクールだな。
あ、目線合った。
『……不死身の人?』
げっ?!動画チェックしてんのか、イブキちゃんとやら。
えーと、その不死身の人です。
皆さん、今日は御一緒させていただくみたいですね。
よろしくお願いいたします。
自分は藤宮続行。
こっちは緑谷出久。
ヒーロー科の新入生です。
『まぁ礼儀正しいのね~。私は
『綾吊伊吹です。私もヒーロー科です。……母は保護者用の見学で来ています。よろしく。』
ん、シズオ君とヒトシ君もこっち見てるわ。
『僕は
『心操だ。……俺はヒーロー科の編入狙ってるから、目指す場所を目に焼き付けに来たつもり。』
これはまた、人当たりのいいヤツと不敵なヤツと、面白いコンビだな。
えーと、あ、ヒーロー来たわ。
白衣にベレー帽。
右手にはサインペン、左手にスケッチブック。
腰のベルトには多種多様な筆記道具に画材。
揺れる髪は見る角度で色合いが自在に変幻する美女。
彼女こそ、このヒーロー事務所兼カフェの主たる芸術ヒーロー。
『お待たせしました。雄英高校で二年生の近代ヒーロー美術史と美術の実技指導を担当している〝リアルアート〟です。』
ふむ。この方の案内で見学する、と。
あ、塗息さん以外ね。
『リアルアート!描いた絵を実体化させて戦う個性:実態絵を駆使するヒーローだよ、藤宮くん!!』
さすがだ緑谷。
ん?俺の顔に何かついてますか?リアルアート。
『藤宮続行君ね。……〝動画〟は見せてもらったわ。』
あー、そうですか。
削除が追いついてないんだなー、やっぱり。
『……貴方の
ほっといてください!!
今回登場した綾吊母娘は私のオリジナルキャラ。
重石沈男くんは山鳥田のカツドンさんが応募してくださったキャラクターを普通科に採用。
リアルアートは、肘神さまさんが応募してくださったキャラクター、塗江絵子を雄英の教師として採用。ヒーローネームはこちらでつけさせていただきました。
どうもありがとうございます。