いいかー。不死身と無敵は違うんだからな!   作:炬燵猫鍋氏

9 / 22
このころ、緑谷くんは頑張って海岸の掃除をしているわけですな。


藤宮続行:トレーニングステージ Act4

雄英の受験まで、ざっくりと10ヶ月。

俺は竜爪会の人達に指導を受け始めた。

 

各種工具で闘う技術を持つ牛頭のおっちゃん森野久孫六(もりのく・まごろく)さん。個性:ミノタウロス。

 

6本の腕を自在に操り、変幻自在の格闘技を魅せてくれるお姉さんにして、個性:多腕操作の持ち主。明日原亜夢(あすはら・あむ)さん。

 

他にも、索敵や逃走に役立つ観察術や穏身術を教えてくれる道鈴幻華(みちすず・げんか)さん。

災害やヴィラン犯罪に巻き込まれた被害者への応急処置などの対応を指導してくれる狸穴(まみあな)さん。

壁登りや跳び移りのコツを伝授してくれる跳渡(とびわたり)さん。

異形型ヴィランで人体構造が激しく異なる者への対処法の心得をレクチャーしてくれる若頭の鳴子(なるこ)さん。

 

他にも、きちんとした(表向きの)仕事について分かりやすく話してくれる人や、ヴィジランテとしての武勇伝を面白おかしく、多分、中学生の俺に聞かせられるレベルを心得て話してくれる人とかがたくさんいる。

 

うん、何か気に入られたっぽいね。

俺がヤクザだとかヴィジランテだとか、気にする様子が最初からほとんど見せなかったせいか、竜爪会の人達は実に親身になって俺に接してくれるんだ。

 

がんばろう。

こんなにも力になってくれる人がいる。

心から思えるよ、俺。

 

 

そして日々は過ぎて行く。

 

……緑谷が心配だ。

オーバーワークじゃねーの?

授業中とかスゲー疲れてるって感じなんだが。

でもなー、体育の授業で着替える時にわかるんだよなー。少しづつだけど、筋肉ついていってるのが。

 

うーん。口出しは野暮かなー。

ま、あいつとの共同受験対策の時間の時にそれとなーく言ってみるかね。

 

あ、俺?

鍛えてるよー!

復活の時に起こったパワーアップも加えて、()()に筋肉ついてきたからね。

パワーが上がればスピードも上がる!

いまなら大排気量のバイクだって持ち上げて振り回すバイクアクションができそうだねっ!

でもさ、明日原お姉さんから一本も取れねーの。

 

『速くて強くても、動き出しに柔軟さが足りないわね。』

 

だってさ。

 

 

 

と、いうわけで夏休みです。

俺は今、竜爪会の組長さんとDVDを見ています。

 

いやー、組長さんさー、俺と同じく芸能活動してるマイナー系のヒーローをチェックしてんの。

で、奥さんと娘さんはそっち系にぜんぜん理解してくれないんだって。

ちなみに、奥さんは元・プロヒーロー。

アメリカ出身のブロンド美人さん。

娘さんは日米ダブルのすげー美少女。

何と俺と同い年で雄英の普通科志望。

 

うん、ちょっとだけ勉強会やったら、俺へこんだわ。

……特待生とか狙えるんじゃねーの?!

 

ま、まぁともかく、おっかない顔の組長さんとアイドル系ヒーロー談義です。

組長さんがどれくらいおっかないかというと、顔がもろに竜!

て、いうか、二足二腕だけど全身が竜なんだな。

鱗生えてるし、牙するどいし、しっぽも角もあるし。

角とか鋭い爪は娘さんにも遺伝してたっけ。

 

『小僧、わかってんじゃねーか。』

 

『はい!シ姉妹のライブはダンスのあえて崩したバランスと、二人の微妙な表情が重要ですもんね!』

 

『あぁ、しかもこのデビューライブが最高だぜ!』

 

『こ、これは幻の富士特設ステージでのライブ映像っ!ど、どうして製品化されてないこれがっ?!』

 

『ばぁか、そりゃおめぇ、裏でゴニョゴニョしてな。』

 

『あ、組長さん悪い顔ですよー。』

 

あぁ、楽しいなぁ。

実は今日は夏祭りで、組の皆さんはその準備に追われている。

俺も何かお手伝いしましょーかって言ったら、何故か組長さんに引っ張られて、男二人でこうしてるのだ。

 

『ところで小僧ぉ。おめぇ、プリズムレディの……』

 

ん?組長さんが途中で言葉を飲み込んで、テーブルの上のでっかい灰皿をつかんだ。

 

ぶんっ!

 

スゴい勢いで、クリスタルガラス製の灰皿が俺の顔の横を通過し、そして……。

 

振り向いた俺の視線の先で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

倒れる石の?襖。散らばるガラス片。

開け放たれた向こうから、黒いチャイナドレスを着た、灰色の髪をした女性。

 

『乱暴ねぇー。ま、暴力団の組長が暴力的なのは当たり前かしら?』

 

暗い眼差し。

どこか壊れた微笑み。

……ヴィラン。

 

『小僧、逃げろ。こいつの狙いは俺だろうからな。』

 

そうだ。俺がここにいても邪魔なだけ。

逃げて組の皆さんに伝えないと……。

……立てない?!いや、足の感覚がっ!

 

立ち上がろうとした俺の足はいうことを聞かず、視線を向ければ、膝から下が服ごと変色していた。

 

石のように。

 

絡み付いている、灰色のガスのようなもの。

 

『だぁめ。貴方は人質……いえ、暴虐の竜爪が全力を出せないようにするハンデ、かしらね。』

 

進行、している。石化が。腰まで、もう。

 

『大丈夫。全部石になっても、ちゃんと元に戻れるから。……そこのおじさんが暴れて砕いたりしなければ、ね。』

 

まずい。立てない。

それに、組長さんがこの女に飛びかかるのにも、俺が邪魔になる。

ガス?

息?

触れただけで石に?

 

俺は、テーブルの上のDVDのリモコンをつかんでいた。

 

まだ、動くっ!!

 

どごっ!!!

 

油断していてくれたのだろう。

 

森野久さん直伝の護身術。

〝怖くて近くに有った物をとっさに投げてしまいました。えぇ、無我夢中で。まさか、あんな事になるなんて考えもしませんでした〟は、見事に女の右目にぶち当たっていた。

 

へ、ざまぁ。

 

『ぎゃあぁっ!!!』

 

のけぞる女ヴィラン。

 

『よくやった、小僧ぉっ!!!』

 

吠える組長さん。

 

あ、やべ、石化まだ止まんね。

 

組長さん、後は、おまかせしま

 

 

 

 




ステータス異常か。
誰かーっ!金の針持ってきて!金の針!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。