リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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※内容を少しばかり変更しました
次元震なんたら、羽の少年なんたらが消えました



決戦前

「ミッドチルダコルテット領、指定場所『黄金劇場』」

 

デュランダルに送られてきた内容を見てフゥ、と息を吐く

幸いにも今俺の周りに人はいない、まぁ当然といっちゃあ当然、俺が六課にいるということは隊長達しか知らない事実、一応手配中なのだ、他の人間との接触は避けたい

 

それにしても、あちらも大胆に出たものである

指定時間を見れば明らかに『ゆりかご』が稼働している時だというのが分かる、確かにその場合援軍は期待出来ないしな、六課陣も手が離せない

ネリアの場合も目は覚ましたとしてもロクに動けない事は明白、というよりか俺が彼女を前線に立たせたくない事をあいつは知っている

結果的に一対一、それがどれだけ俺に不利に働くか、それこそが相手の思う壷だと自覚はしているがどうもこうもない

 

今は、自分に出来る事をするだけ

 

「し、失礼します!!」

 

「ああ、どうぞ」

 

外からはじめて聞く声、みんなには迷惑かけっぱなしだな……フェイトもこんな時なのに笑ながらOKしてくれた

入ってきたのはメガネをかけた茶髪の女性

手に持つデュランダルを前に出す、じゃあ……

 

「よろしく頼みます」

 

「私個人の意見では反対側なんですけど……了解しました。」

 

初めてデュランダルを、他人に預けた

 

 

 

 

 

 

『で、どうだい?ケント達の様子は?』

 

「どうって言われてもな~、ネリアちゃんはまだ起きへんしケント君は不気味なくらい静かや、私個人としては力になってあげたいんやけど……」

 

『コルテットの当主と管理局上層部、こんな大ものが絡んでいるんだったら迂闊には動けないよね……』

 

部隊長室、目の前のモニターに映るのは長い付き合いであるロッサ

アジトの探索に時間を費やしているそうで大分範囲が狭まり、アジト捜索の途中経過といった感じで送られて来た通信、一通り説明した後、話題はケント達の事に移る

ケントも保護してもらっている身、いくらはやてやフェイトが親しい仲といえどもだからといってお尋ね者の自分をいつまでも構って下さい、というのはあまりにも自分勝手である

その為転生者関連は上手く誤魔化して事の大まかな説明を提督のクロノ、査察官のロッサ、六課隊長陣は受けている

クロノやロッサが入っているのは六課の保護の為、元々後見人としてケントがいる六課だ、手配となったケントがいる場所としては最上位に上げられる

その疑いを上手く誤魔化しているのが二人、それでも長いこと続かないのは明白だが………

 

『まさかあの鮫島さんが牙を向いて来るとはね、ケント自身のショックもそうとうなものだろうしね』

 

「信頼していた人間に裏切られたんや、どれだけ悲しい事かなんて、あたしらには想像もつかへん」

 

暗い、沈黙が流れる

はやて自身、もし家族から、親友から裏切られた時の事を考えると一生立ち直れない可能性もある

学校での人間関係も色々とあったがそれでもその程度、それに対して今のケントは生まれた時から共にいた人間に襲われ、今や犯罪者の汚名まで着せられてしまっている

自分ならば、立ち直れるだろうか?

 

『これからどうしていくつもりなんだい?六課にしろ、前のテロで大忙しなんだろ?』

 

「ケント君は六課が全面的に保護したい……って言いたいんやけど私が一番それが無理ってことは分かっとる、そりゃあ手助けはするで?でも、その……」

 

『はやてにも『立場』っていうものがある、その両肩には自分の部隊の局員達が全員乗っかっているんだ……ホントはこんな事を言いたくないけど……軽率な行動はあまり出来ないよ』

 

思わず俯いてしまう

分かっている、そんな事

お尋ね者でテロリストだと言われているケント君を六課が匿っている事を外部に漏れたらそれこそ皆に迷惑をかけてしまう

自分だけの問題ではないのだ、今の八神はやてには部下がいて、ついて来てくれる人達がいる……軽はずみな行動は、その人達の信頼を踏みにじる事と同じだ

 

「私、どうしたらええやろ……」

 

『信じてあげたらいいんじゃないかな……』

 

えっ、と画面に目を落とす

信じる……とは一体

 

『ケントがこのまま黙っていると思うかい?君達は、ケントの本当の強さを知ってるだろ?』

 

「……そうやな、ホントに」

 

 

 目を閉じる

先ずは、スカリエッティの逮捕とヴィヴィオの保護、それからケント君の手助け

やる事はいっぱいあるけど、全部、全部最高の形で終わらしたる

そう、胸に誓って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣に転がっている血だらけの死体をつまらなさそうに蹴り飛ばす

その巨体はゴロゴロと転がし、やがて止まる

 

面倒くさい事をしてくれたものだ……と

 

この死体にもう用はない、レリックを埋め込んでの洗脳が破られる可能性があるという以上、もう一度レリックを制御して生き返らせようとも思わない

 

それに、今、こいつの体に埋め込まれているレリックを取り出すのも面倒だ

 

まだ微かだが息はある、左腕を失ってなお諦めていない、大した根性だ

 

「大量出血に全身の骨をバキバキに折ったのですがね、そろそろ諦めたらどうですか?

生きている時も、こうした死んだ後でも貴方は私に敗れ、こうやって地に這いつくばっている

たかだかモブの分際で、図に乗るんじゃないですよ」

 

自身のデバイスを振り上げる

こいつさえいなければとっくに自分は新たな体でいれたものを……どちらにしろ結果が変わる事はないがただのイレギュラーに邪魔されたのが癇に障る

 

己のデバイスを振り上げる、勿論殺傷設定

いくらレリックがあろうとも心臓を貫けばそれで終わり

 

グサッ、と、肉が裂ける、鮮血が舞い散る

目の前の男はピクリとも動かない、だってもう、彼はこの世にはいないのだから

 

背を向いてそこを去る

 

残されるのは、一人の生徒を守る為に戦った、一人の教師の姿のみ

 

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