「何と言うか……暇なんだな、はやてって」
「人を駄目人間扱いせんといてくれるか~、まぁ暇なんはみとめたるけど~」
暇なんかい
はやてと二人でテレビを見ながら俺が持ってきた(かっぱらって来た?)スイーツを食べる
このエクレア美味いな、また買お
メールが着信、何々?
『オヤツ返せぇぇぇぇ!!』
あえて無視する、本は見逃したんだからありがたく思え
「なあなあケント君?」
「ん~」
目の前で芸人が『コルテット~屋敷に潜入!!』とかやってる、これは……どこだ?
十九年生きてて全く分からん、ヴァイゼン?
「ケント君ってこんなのが趣味なん?」
目を向ける、コンビニのレシート
エクレア、シュークリーム、プリン、ケーキ、『検問が入りました』、『検問が入りました』、『検問が入りました』、『検問が入りました』……って
「ちょっと待てぇぇぇぇ!!」
奪おうとしたらヒラリと躱される
ニヤニヤしたはやて、ちょっ!!
「誤解!!俺じゃない!!買ったのはネリア!!」
「ふ~ん、じゃあ何でネリアちゃんはここにおらへんの?」
「ちょっとした事情があってな、だからそのニヤニヤやめろ!!」
「やっぱりケント君は巨乳好きか~、なになに、魔法少女って……うわぁ」
「お願いしますはやてさん、そうやって距離取らないで、俺のライフがガスガス削られてるから」
そもそも魔法少女ってなんだよ!!
え、待て、少女って……
「もしかしてケント君、ロリコン?」
「違う!!」
そっとヴィータの私物を俺から離すはやて、うん、お願い、事情を……
「……まぁ、ええわ、ケント君やって男の子、そういうお年頃やもんな~」
「うっ」
前回見つかってるから何にも言えない
てか弁解した所でネリア本人がいないと信用性ゼロじゃね?
「にしても、こんな本に頼らんでもここに美少女がおるのに、まだ足りんのか」
「自分で言うか?まぁその通りだけど」
はやてに勝る奴って中々いないと思う
「む、今更おだてても遅いで~、さて、私は帰ってくるみんなのご飯作らなあかんねんな~、ケント君も食べて行く?」
「ん?迷惑じゃないか?」
「全然、ヴィータとリインに手ぇ出さへんって誓ってくれたらええで」
「だ、出さねぇよ!!」
了解や、とその場を立って奥に入るはやて
ネリアの野郎、レシートこっちの袋に入れてたか……
てかちゃんとみんな帰ってくるんだな、仕事と私生活はちゃんと分けてるか
シグナムにつっかかられるのが不安だが、食べたらすぐ帰れば大丈夫だろ、今すぐ帰ってくるわけでもないし食べて直ぐに動けないだろ
ガチャ
「ただいま帰りました、主はやて」
なーぜー
「おかえり~、シグナム」
はやての声が聞こえる、間違いなくシグナムらしい
なんだ、働きたくないでござるか?
今帰って来たって事は局を大体三時くらいに出たって事じゃねぇか、暇なのか?お前も暇なのか!!
「む」
「えっと、お邪魔してます」
局の制服のシグナム、相変わらず鋭い目つきだ
顔が少し綻んだ感じがする、うん
「夕食まではまだ時間があるな、手合わせ一度くらいは出来そうだ」
「いーやーだー」
俺は断じて死合(誤字あらず)をしに来たのではなくくつろぎに来たのだ!!
あんな体力精神力使い切る死合出来るか!!
「そう言うな、どうせロクに体を動かしていないのだろう?
私もこのところ犯罪者が手応えのない奴らばかりで腕が鈍っていてな、テスタロッサは忙しく相手をしてくれん
なに、一度だけだ」
どんなに時間があろうとたった一度でクタクタになるよ
「なに、心配いらん、お前に拒否権はない」
「横暴だ!!」
どこの魔王様だよお前は!!
「事件そのものが減るのはいい事だがそれによって腕が鈍るのも問題だ、剣を使う魔導師が少ないんだ、杖型ばかりで相に合わん」
「知らんがな、まぁ剣を使うのが少ないっていうのは認めるけど」
意外と剣を使う魔導師は少なかったりする
管理局は魔導師、聖王教会には騎士が多いのは当たり前でシグナムが務めている所は管理局
当然、周りは殆どが杖型デバイス主体の魔導師、騎士がいたとしても大体はリーチが長い槍やスバルの様な格闘型
リーチが短く、尚且つ習得するまで時間がかかる剣型デバイスを使う人間は必然的に少なくなるのだろう
てか知らない人もいると思うが剣と槍だったら圧倒的に槍が有利なんだぜ?
リーチの違いやら突きの早さの違いやら、一撃の大きさは違うけど殺傷設定なら槍で十分だ
それでなくても隙は作れるからな~、槍はチート
「まぁ私もすぐにとは言わん、休みたいのは本音なのでな」
「大体どれくらい?」
「三十分くらいだ」
その後は手合わせ付き合えと?
はやてと目が合う、見せつけられるレシート……あのチビ狸が……
「一回だけだぞ、軽く手合わせするだけだからな、『軽く』だからな!!」
「何心配ない、早く終わらせたければ私を早く倒せばいいだけのことだ」
それが出来たら苦労しねぇ
「ご飯が出来たら通信で呼ぶわ、どこでするん?」
「そうですね、海岸がいいかと、無断で結界を使うのは禁じられてますし」
「そうやな~、あそこやったら近所の子供も喜ぶやろ」
勝手に話が進む、大丈夫か海岸
終わった後コンクリートが変形してました~とかは勘弁
ん?結界魔法が禁止なのは何故かって?
結界が使えるのは局に許可貰って使う時と犯罪者を逃がさない時に使うくらい、普段は禁止されている
理由は結界があちこち張られていたら管理局が探知しにくいという理由と……空き巣の防止
結界を作ればそこに入れるのは術者が認めた者のみ、後はこじ開けて入るぐらい
その間どの建物にも人はいない、無断で中に入り金の場所や金庫の番号などをバレない様にするため
他にもプライバシーやら何やら、結界解けば全て元通り、空き巣なら計画が練りやすくなるし他人に知られたくないことが知られる可能性だってある
だからこそ結界を使えるのはシャマルなどの特化している奴しかいないし数も少ない、覚えたって正直使う機会がない
前線型なら攻撃魔法だけを、支援型ならバインドや結界の魔法だけを鍛えるのは当然だ
「それでは行くか、デバイスは当然持っているのだろうな」
「持ってるよ、てか休むんじゃなかったのか?まだ十分程度しか経ってないけど」
「向こうまで行く時間も合わせて三十分だ、少々歩くからな」
仕事から帰って来てすぐ剣振り回せるって……タフだな
玄関から出て軽く歩く
その途中で子供が何人か集まって来た、何でも皆魔法に興味があるのだとか
八神家は近所の子供を集めて近々道場を開くつもりらしい、ザフィーとかいい師範になりそうだ
海岸に着く、ウキウキして見つめてくる子供十数人、中には未来の八神家秘蔵っ子の姿もあるが気にしない
……手、抜けなくなったな、いくら知らない子達とはいえ恥ずかしい姿は見せられん
シグナム、知っててやったな……恨めしそうに見てやったらニヤリとされた
デュランダルを手に持つ、さっき弱い奴らを一斉に相手したから強さのギャップで動きが鈍くならないか心配
……まぁ、大丈夫だろ、一回だけだし
「では、行くぞ!!」
「りょーかい」
あ、終わる条件作るの忘れてた
「ただ今戻りました」
「お邪魔、します」
若干グロッキーになりながらも八神家の玄関に到着する
対するシグナムは何だか嬉しそうだ、クソ、このバトルジャンキーが!!
「お帰り、ご飯出来とうで、シグナムは先にお風呂入る?」
「では、すぐに入って来ます」
ご飯先にするのかと思ったがやっぱりシグナムも女性なんだな、体は常に綺麗に……か
「ケント君もお風呂入って行く?今なら私も着いてくるけど」
「遠慮しとく、ご飯食べたら帰るよ、聖王教会にも迷惑かけられないし、それに体はある程度拭いてきたし汗もそんなにかいてないからな」
「私がついてくる~って言うのは無視か、まぁええけど、ほんならご飯しよか~」
リビングにはヴィータやシャマル、よっ、やら、お久しぶりです、などの挨拶をした後席につく
ご飯は焼き魚で普通に美味しかった、てか家庭の味って懐かし~
軽い感動をした後に食事も終わり、また来ると告げて八神家を後にする
……ザフィー、どこまで行っても犬なんだな、一人だけ食卓に加われてないのを見てちょっと同情した