「くっ、はぁ!!」
「よい腕だ……だが、まだまだぁ!!」
訓練場に剣撃が鳴り響く
相手の振るう剣を避け、間合いに入って切りつけるが、また受け止められ斬りつけられ、受け流す………
何度この単純作業を繰り返しただろうか、額からは汗が滴り落ち、呼吸は荒い
「おらぁ!!」
「ぐっ!?」
力強い薙ぎ払いと共に俺の腕から得物が弾け飛ぶ、手の感覚も無くなって来た
「そこぉ!!」
「まだまだぁ!!」
後ろに弾け飛んだ様な体制をさらに後ろに反らす
目の前にあるのは地面、だが今の俺が当たる事はない
地面とキスをする前に片手を突き出し、そのまま………
「くらえぇ!!」
「おお!?」
後ろ蹴り、反撃されると思っていなかったのか相手が体を引き戻す
俺は体制を立て直し………そばに落ちていた俺の相棒、『デュランダル』を手に持つ
相手はガハハと笑っているが……俺にそんな余裕なんて無い
足元がふらつく、体力は底を尽きた
だが勝負は……まだ終わっていない
「魔力………収束!!」
「む?決めてくるか」
黄金の魔力が刀身に収束していく
自身の全魔力をつぎ込んだ……これで……決める!!
「こい!!正面から相手をしてやる!!」
「はああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
一気に相手との距離を詰める
時間が思いっきり引き伸ばされる
体が悲鳴を上げる
だけど………ここで止まる訳にはいかない!!
「エクス」
「こい!!」
「カリバァァァァァァ!!」
その瞬間、俺は意識を失った
「くっそ~、また勝てなかった!!」
「ガッハッハ!!最後は惜しかったの!!」
保健室のベッドの上で俺は声を上げる
その隣で豪快に笑っているのは俺の担任、あのイスカンダル似の先生だ
外からは蝉の大合唱、本格的な夏到来、と言ったところだろう
大ホールが創設されてから二ヶ月、魔法と言う物に触れて二ヶ月とも言ってもよい
その間は……特に何もなかった
普通に学校行って周りからの視線が半端無くて家でパーティーして……ぶっちゃけただの日常が続いたと思ってくれたらいい
ああ、一つ言うならば俺のデバイス、『デュランダル』が完成した事だ
こいつ、AIがないストレージデバイスだが性能が半端ない………何処がって?
う~ん………まあとにかく他とは一線超えているとだけ言っておく
そんな訳で本格的な魔法練習をスタートさせたんだけど………その時に二つの事が発覚した
一つは嬉しい報告で一つは萎える報告なんだが………まあ先ずは嬉しい報告からにしよう
なんと、俺に『レアスキル』が見つかったんだ!!
黄金律やセイバーチートやらまだ説明してない特典とは別の『俺が持つスキル』
内容は性質変化『風』
最初はホントに嬉しかったよ!!なんせアーサーの『風王結界』を使えると思うと胸が膨らんだ
まだ自力では刀身を隠したり出来ないんだけど……『皇帝特権』を使ったら出来た
てか先生曰く「風の性質変化で刀身を隠すなど普通不可能」だと言う事
あともう一つの報告が…………俺に『砲撃』の適性がなかった事
もう号泣したよ!!エクスカリバーやらカリバーンやらのチートが無い以上砲撃魔法で代用しようとしてた俺にとってこれは死活問題だった!!
『皇帝特権』を使って試して見てもなんと不可能!!どんだけ適性無いんだ俺!!
そんな訳で俺は『エクスカリバー』と言う名前の『斬撃』を使っている
まああれだ、ニートサムライが言ってた様な「近づいて斬れ」
魔力をデュランダルに収束して………そのまま叩き切る
原作者で例えるならばディバインバスター、あれって撃ち出す前に必ず魔力を収束して丸い塊が出来るよね?あれを振り回す様なもん
ごっつい危険だよ、放出してない分威力は増すけど相手との距離を詰めないといけないし下手すれば魔力が逆流してバーン
まあそこも『皇帝特権』でカバーしてる
赤セイバーさんマジチート
ん、話を戻そう
さっき俺がしてたのは教師との全力全開での模擬戦
相手は担任、本当は同じクラスの奴とペアになるのだが生憎、俺に友達はいないし最悪の事態を想定すると誰もペアになろうとはしない
最初は魔法学の先生が軽く手合わせするぐらいだったのだが………一瞬で終わってしまった
なので担任、こいつ、元教会騎士団の隊長を務めていたらしく陸戦SS
今は現役を退いたが今でも一騎当千の実力を持ってるらしい………これは俺の推測なんだが……わざと担任をこいつにしたのだと思う
俺が学校にいる間の護衛にこれ程適正な人材はいないだろう
そんでもって担任と手合わせしたのだが………一回も勝てた事がない
皇帝特権を使っても……だ……
何度か模擬戦をしていく内に俺は無敵に思える皇帝特権の弱点を見つけた………
それは……俺自身だ………
いくら皇帝特権を使って『一流』になったとしても剣を振るっているのは自分
いくら技術があったとしても体が……『頭』がついていかないのだ………
例えるならば意識はあるのに体が勝手に動いている様な感じ、当たり前だ、俺の頭では、俺の経験では『一流』の動きなんて出来ないのだから
そして体、まだ幼いなんて物じゃない、圧倒的に体力が足りない
この体が技術についていけていない、剣を振るおうとしても力の調整が全く出来ない、相手よりも早くに反応したつもりでも体がそれに追いつかない
皇帝特権で体力を増幅させてみたが……スキルが解けた後が酷かった
体が悲鳴を上げ、引きちぎられるなんて物じゃない、その日から俺は一週間も眠っていたらしい
当たり前の様にコルテット家の大騒動となり、ニュースでも大きく取り上げられてしまった
さっき言った頭についても試してみたんだが……これは体以上に酷かった……いや、『怖かった』と言うべきだろう
確かに戦闘面では異常なまでの成長をみせた、だがそれは《俺ではない》
戦闘慣れした……全く別の俺が出来上がってしまった
俺であって俺で無い、まるで体を乗っ取られたかの様な感覚
もし皇帝特権が延々と続く能力だったら……と思うと寒気がする
それにまだ弱点はある、皇帝特権とはそれを《本人が主張する事で短時間だけ身につける事が出来るスキル》
すなわち、《主張してなければただの俺》なのだ
なので俺は、最優のスペックを持っているのにも関わらず『暗殺者』には勝てる気が毛程もしない
まあ長々と話してしまったがこれがこの二ヶ月と言っておこう
………こうしてみると結構イベントあったんだな……
「むう、立てるか?」
「あ、はい」
てか今思ったんだがこいつ、イスカンダルってライダーだったよな?
近戦の一対一でセイバーがライダーに負けるとか………本物に出会ったら根性叩き直されそうだな………
あと疑問に思った人もいるかもしれないが俺が気絶するのは担任と模擬戦し始めてから結構ザラだ
最初は大騒動になったのだが……皇帝特権で交渉力を限界まで上げて乗り切った
この担任、原作ライダーみたいな破天荒な性格で俺をコルテットとして特別視しない
そんな人物は今まで始めて、今では良き相談相手でもあり俺の師、コルテットなんかに潰されてたまるか
ん、そういえば…………
「最後、気絶したんで覚えてないんですけど……俺ってどうやって負けたんですか?」
「ん、ああ、それのう」
ニヤニヤしながら話始める担任……うぜぇ
「簡単な事よ、避けた、ただそれだけだ」
「ああ、それで魔力切れ起こして……」
「だかのう」
「?」
だが?なんなんだ一体?
「お前さん、魔力でブーストかけて突っ込んで来たじゃろう?」
「はい、それが?」
確かに、俺の偽エクスカリバーは一回しか振る事が出来ない、なので避けられない様に体にブーストかけて突っ込んだんだが……それがどうした?
「むぅ、その後の事を考えてなかったのよ
お前さん、気絶したまま勢いを殺しきれずに転がってな」
「転がって?」
「模擬戦を見に来ていたカリム生徒のスカートの中にズボーンと」
「……………………。」
後で誠心誠意込めて謝ろうと誓った俺であった