「雨だな~」
「雨だね~」
外でザー、と音をたてながら流れ落ちる雨
どかっとソファーに座る……暇だ
「みんな何処行ったんだ、この雨の中」
「ん~、なのはちゃんはこっちの家に顔出しで、スターズも一緒やな、フェイトちゃんは朝からすずかちゃんの家に押しかけとる
シグナムは剣道場、ヴィータはおじいちゃんおばあちゃんに、私とシャマルは昔お世話になった病院の先生に会いに行く予定や~」
「ネリアは?」
「フェイトちゃんと一緒よ~」
つまり俺は一人と
昨日の海から一日、時差があり、皆が疲れきっていたために夕食で豪勢に……というのは明日に持ち越された
午後からフェイトが泳ごう、と言っていたのだが、俺がした事はヴィヴィオの水泳指導
話しかけ様としたら何故かフェイトがすずかの前であたふたしてたからな、てか何か大変そうだった
そんなわけで指導、それにしてもヴィヴィオは上達が早い
たった半日の指導でクロール完璧か、やっぱ才能か?
風呂入って飯食ってベッドにダイブ、ちなみにエリオと同じ部屋
あんまり話しなかった、てかどっちも疲れてて出来なかった
また色々聞いてみるか……その、うん、色々と
朝起きたらザーザー降りの雨、飯食ったら各自自由
いつのまにか大広間には俺とはやてくらい、暇だ
「ケント君は何か予定無いん?」
「あー、うん、まぁ暇って言ったら暇だな、でも……いや、個人的に一人で行って見たい所もあるからそんな事も無かった」
「なんやねんそれ、折角暇なケント君を連れて行ったろうと思ったのに」
「悪いな」
自由だったら丁度いい、転移魔法で行って見たい場所もあるからな
「夕方には帰ってくるから、少し遠出してくる」
「まぁいいけど、程々にな」
分かってるって
大広間から出て自室へ戻る
換金したこっちの金、てか円を持って転移魔法を起動する
えっと、座標は……この辺か?
適当に東経やら北緯やらを入れとけば何とかなるか、幸いにもそれは覚えている
場所を固定する、じゃあ、行くか
俺の故郷へ
目を開けると公園だった
噴水があり、緑があり、原っぱ
少し遠くでは親子がボールを投げ合っている、近くにはスーパーが見える、図書館が見える
新幹線の滑走路、通学路として見慣れた国道
何もかもが一緒だった、自分が転生した事が、まるで嘘の様に
水面を見る、見慣れた騎士王の顔
女子高生らしき集団がこちらを見てキャーキャー言っている……ここ、離れようかな
取り合えずどこに行こうか、これ程同じだと家に俺がいそうで怖くなる
……いや、いるのかもしれない
俺がいるのはあくまでも平行世界の一つ、その中で『リリカルなのは』という物語を中心に、その他の人間が鮫島風にいうと『モブ』の世界
ならば、モブとして転生前の『俺』がいてもおかしい事はないんじゃないか?
まぁそれでも、今の地球の時代が俺がいる時代とは限らないが
それに………
「リリカルなのはについての記述は一切無し……か」
デュランダルを通してネットを開いて見た所どこを探しても『リリカルなのは』という記述を見つける事は出来なかった
よって、この世に存在しない、それどころか『Fate』の記述さえも
その他は実在する、例えばイン何とかさんが出て来る科学と魔術が交差する話とか、十歳で危険な生物がウヨウヨする世界に旅に出る話とか
まるで………
「俺、という存在を隠す為に作られた設定のようだ」
もしかしたらそうなのかもしれないが……
取り合えずここにいてもやる事が無いので適当にぶらつこうと足を動かす
海鳴は雨だったがこっちはある程度晴れている、少し暑いが大丈夫だろ
ほら、水遊びする子供とか図書館から帰る親子とか、サッカーボールを蹴って遊ぶ少年達とか金髪の幼女を取り囲むおっさん達とか……what?
目を向ける、汚らしい服を着たおっさん達数人が『見た事ある』幼女を取り囲んでいる
………ちょっ、なんであいつが
取り合えずあいつが暴れる、もしくは自己防衛をした場合、この公園自体が消える可能性だってある……なんとしてでも止めないと
「あ~、こんな所にいたのか、探したぞ?」
「へ?あ、あなたは……」
ギロッとこちらを睨んでくるおっさん達
数は三、てか臭い
「ほら、みんな待ってる、行くぞ」
「おい待てよ兄ちゃん」
手を取ろうとした瞬間はたかれる
少しゴツイ男、タイマンしたら負けそうだ
「この子は俺らに道聞いて来たんだよ、ちゃんと教えてやんねぇといけねぇんだ」
「ご親切にどーも、生憎今は俺っていう存在がいるから、知り合いに出会えたんだから、ここから彼女はちゃんと家に届けますよ」
「ああそうか、それにしてもこいつ、いい趣味してんじゃねぇか」
ニヤニヤするおっさん達
……まぁ、へそ出しにブカブカな服、何処ぞのコスプレだもんな
「知りませんよ、それよりも行くぞ」
「だから待てって」
今度はがっしりと手首を掴まれる
なんだよ………
「生憎俺らは飢えてんでね、ちょっくらこの子を貸してくれよ」
「性欲処理は自分自身でやれ、ロリコンが」
「聞くところによるとこいつは親も兄弟もいないらしいじゃねぇか、てめぇはこいつの知り合いらしいが……口封じしちまったら後は何もねぇ」
知らんがな
「こいつはビデオに撮って売れば高く売れるぜ、将来はもっと期待できる」
「だろうな、こいつが大人になったら確実に美人になる、だけど残念、悪いが俺にお前らみたいな趣味はねぇ、この子を売るつもりなんてさらさらない」
「保証するぜ?俺はその手に関しては一流だ、大儲け出来る
どうだ、一生に「くどい!!」」
スパーンと蹴りを入れる
ゴツイ体つきしてるわりには軽いなこいつ、てか雑魚い
ただの変態だと思っていたら違うらしい、こいつはもう救い用がないクズ、近づきたくもない
「な、てめ」
「てや」
身体強化を使い、皇帝特権を行使しての八極拳
Fateシリーズにおけるチート武術で残る二人を完全に沈め、起き上がろうとした男も叩きつける
ポカーンと見つめてくるギャラリー……あんまり目立つのは嫌だな
「それじゃ、行くぞ」
「え、な、なんで貴方がここに」
それはこっちが聞きてぇよ
「じゃあ何でお前がこんな所にいんだよ、『ユーリ』!!」
なのはシリーズ合法チートキャラ『ユーリ』、参上しました
「あ~、つまりエルトリアで『ディアーチェ』の手伝いの為にクリスタルを持って来たら……いきなり光出してここに」
「そういう事です、あ、これがそのクリスタルです」
所変わって最初のコテージ
中には俺以外誰もいない、雨は相変わらず
俺とユーリは向かいあわせで途中買ってきたハンバーガーを頬張る
食べながら話を聞き、まとめた結果……何でも研究の手伝いの途中にミスをしたらしい
目の前にあるクリスタル、どうやって使えばいいのか分からないし何故起動したのかも分からない
頭を捻る、ユーリはあの事件があってからほぼ一年後から来たと言っている……となるとやはり時間逆行、時間を越えて来たか
勿論、今の俺たちが持つ技術でそんなものは無いから確実に未来から、面倒な事になった
「これの使い方は分からないんだよな」
「はい、私は王に持って来てくれと頼まれただけですから…」
取り合えず誰かが作動させてしまわないように封印する
こりぁあみんなが帰ってくるまで保留だな、俺一人の知識じゃ何とも出来ない
「取り合えず暫くここにいろ、みんな喜ぶと思うし」
「はい、そうさせて貰います
ですが……エルトリアのみんなが心配してないかどうか」
「使い方が分からない以上どうしよもない、調べてみるから適当に時間潰してろ」
ニッコリと笑って肯定するユーリ
こうやって笑えるようになったんだな……嬉しいことだ
あ~、そういえばこの時間逆行で誰か巻き込まれていないよな?
……心配だ