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「ーーーーっ、体中が痛い、骨バキバキ言ってねぇか?」
「あれだけされて自然と受け身が取れとるケント君は素直に凄いと思うわ、はい、これで終わり」
パンッと背中を叩かれる
結構力入ってたっぽいから地味に痛い
「私がどれだけ心配したと思ってんねん、助けようとしてもハイレベル過ぎて何も出来へんし、ほんま役立たずよな~、私って」
「そんなに自分を悪く捉えるなよ、何でも出来るオールラウンダーなんていないんだから、はやてはそれでいいんだよ、守るのは前衛の役目なんだしな」
フゥ、と息を吐いて立ち上がる
あのダルマとの戦闘からおよそ一時間、局員達の治癒魔法と介抱のお陰でなんとか意識は取り戻した
今までの命懸けの戦いとは違い敵はあくまでも礼儀は持っている、全て非殺傷なので魔力ダメージと身体的な痛み以外は何ともない
ただ、今日の内に再戦は無理だろうな、また同じ事を繰り返すだけだし圧倒的に魔力が足りん
「ごめんなケント君、私が我儘言ったばっかりに」
「気にすることは無いよ、油断していたのは事実だし俺の力不足のせいでもあるし」
チート持ってるのに筋肉一つに負ける自分が情けない
「降りてくれてもええねんで?アレは私らで何とかするから」
「お前に全部任して置いていけないだろ、今日は無理だが対策練って明日再戦してみる、今度は勝つよ」
こっちから手を出さない限り向こうは何もしないらしいしな
火事やら何やらが起きた場合はあいつ自身が解決してるらしいし……筋肉で
まぁ、完璧な自己満足、そこまで悪い奴じゃないと言うことだけは分かった
う~ん、それでも、犯罪者なのだが
「にしても」
さっきの戦いを思い出してみる
高いスピードとパワー、んでもってガード
避ける事は出来るけど風圧による大勢の崩れは必須、こちらからの攻撃にはピクリとも動かない
………軽く詰んでるよな、これ
やっぱり俺の力不足か
『破壊』を抜いた状態での一番攻撃力が高い技は『(偽)エクスカリバー』、だがこれ、結構周りと比べればそこまで強い技じゃなかったりする
まず範囲、今のデュランダルに少しリーチをプラスしただけ、むっちゃ狭い
威力、俺のはいくら収束といえども斬撃である事には変わりない、力不足な俺の筋力ではあれを動かす事は不可能
う~ん、そうだな、例えで言うとシグナムの『紫電一閃』を少し強化したくらいのパワー、『飛竜一閃』を出されたら終わる
いや、それでも世間一般からすると十分過ぎるのだがいかせん、俺の周りで効く奴はあんまりいない
魔力ダメージは一応与えられているとは思うんだけど、最終的に体内のロストロギアを破壊すればいいんだからな
でも相手が仰け反ってくれなければ意味がない、攻撃した後が大きな隙となる
………どうしよ
軽く頭を捻ってみる、案は、三つ
まず一つ目、アホ毛引っこ抜いてオルタ(笑)となる事
確か原作では俊敏や幸運を下げる変わりに魔力を上げていた筈、つまりは一撃の攻撃力が上がる
ただ……確証は無いんだよな、ホントにそうなるかどうか
それに制御も出来ない、アレと戦ってくれるかさえも分からない
ん~、保留
二つ目、皇帝特権によって全ての特典を封印する
そうすれば鮫島と戦った時の様に魔力SSSになれる筈、なのだがそうした場合封印に使用した皇帝特権も封印してしまい解除方法が無くなってしまう、つまりは特典を失う
……保留
三つ目、二人で戦い隙を埋める
この戦いでの最終目標は筋肉ダルマを仕留めるのではなくてロストロギアの無効化、つまりは魔力ダメージを与えまくってロストロギアを破壊してしまえばいい
さっき述べた様にあの強靭な肉体の前にはどんなに攻撃しても仰け反らない、つまりは攻撃後は完璧な隙となる
その隙をもう一人がフォローして延々と斬り続けるという事
ただ、それだけの人間は中々いない
まずは俺と同じ剣士ではないといけない、リーチを同じにしなければ息が合わないし交代する時に隙が生まれる
次に俺と同じ、もしくは俺よりも強い剣士ではないといけない、自惚れている訳ではないがはっきりいって俺と同等の剣使いの魔導師、もしくは騎士など中々いない
そして最後、急ごしらえのコンビだ、お互いある程度、それぞれの形を把握していなければならない、つまりは初対面の人間など言語道断、それこそ背中を預けるなれない
………色々と条件はあるが、一番無難なのは三つ目、そしてその条件をクリア出来る存在を俺は知っている
ただ、今、どうしているか……なのだが
「何か思いついたんか?」
「ん、ん~、一度家に帰ってすぐに八神家に行かせてもらう。管理局はもう今日は引き上げるんだろ?」
「手が無いからな、明日になったらそれなりの魔導師も集まる、今日のところは戦力温存や~て」
それがいい、向こうから手出しをしてこない以上あまり執拗に追い回すのは時間の無駄だ
「それより家に来るん?何かあったん?」
「ちょっとした用事、こうやって動物化してるからどうも言えないけど」
ホント、どうも言えない
「分かった、私は少しまだやる事があるから、今日はホンマにごめんな」
「ん、大丈夫、じゃ、また後で」
一応役職としては少将、医務の人とかが心配してくれたが筋肉ダルマは元局員、後遺症やら骨折やらは全くない
面倒な書類とかは任せよう、今は作戦の下準備
あ~、でも、大丈夫か?あいつ
「俺を萌死させる気かこの娘達は」
ただいま~と帰ったらもう昼をとっくに過ぎて三時頃
返事は、ない
何かがあったのかと思ってリビングに入ったら、何と言うか、飛び込みたくなった
フェイトとなのはは体を丸める様にして寝ていて、その間にヴィヴィオ
そんでもっていつ来たのかは知らないがネリア、あれは……猫化だな
ホント、仕草と言いますか雰囲気といいますか、凄く可愛いです
あの時々ピクリと動く尻尾とか……うん、いいね
「ん………」
「あ、起きた?」
「……………にゃあ」
殺す気満々ですね、萌えで
フェイト、それは素なのか?
「…………ふにゃあ」
「………転がってた毛玉、ホレホレ~」
少し糸をほどいてフェイトの前でフリフリさせる
見つめるフェイト、何この可愛い生き物
「にゃ!!」
猫パンチ
「ふにゃ!!」
猫パンチ
「にゃにゃにゃにゃ!!」
猫パンチ猫パンチ猫パンチ猫パンチ
「あ、癖になりそう」
「…………はう!!」
目の色が変わった
……正気に戻ったか?
「今度こそおはよう、気持ち良さそうだったな」
「え、あ、あ、わ、忘れて忘れて!!今のは綺麗サッパリ忘れて!!」
「ん?という事は記憶はあるという事か、ごちそうさまでした」
「はうっ!!」
顔を真っ赤にして口をパクパク
ん?
「ば」
「ば?」
「バカーーーー!!」
盛大に殴られた
「凄く心配したんだよ!!はやてから連絡あってケントが気絶しててボコボコにやられてって!!」
「そう言ってた割には寝てたじゃん」
「そ、それは、その、何だか凄く眠気が襲ってきて……その、お日様が暖かくて」
猫ですね分かります
「この耳の原因なんでしょ?戦って来た相手って」
「そうだな、てかネリアはいつ来た。それにお前のモデルは何だ?」
「う~ん、十時くらいかな?それでモデルは多分ライオンだと思うよ」
セイバーライオンか
「今見たら凄い図だよね、チワワに猫に兎、同じ所に虎とライオンって」
「俺ら確実に食われるな、流石にそこまで受け継いでないか」
そうなってしまっては確実に大混乱だな
人食いって……ただ事じゃ無くなる
「で、お兄様には何か策はあるの?はやてさんの砲撃もお兄様の斬撃も効かないんでしょ?」
「肉体的には効いてないが内面的には効いてるな、少しずつだけど………何度も何度も打ち込まないといけないが」
この高町家にはそれが出来る人材がいない
基本的に『一撃必殺』の精神を持つからな、唯一近距離戦が出来るフェイトも一撃一撃が大振りで『連撃』には向いていない
てか、結構みんな男勝りだよな、この家の住民
「私とはやてさんが行って大っきいのドーンは?」
「却下、その土地が地図から消えて無くなる」
冗談なしに割とガチで
「じゃあなのはさんのSLB追加で」
星が砕ける
「アテに会うために少し出かけて来る。今どんな状態かは分からないけど」
「ケントと合わせられる剣士って、一人しかいないもんね」
フェイトが一番知ってるもんな
それでも彼女とフェイトでは戦い方が色々違う、スピードはフェイトだが圧倒的に大振り、連撃には向いていない
「シグナムさんだね、ケント君とシグナムさんでコンビか~、凄いんだろうな」
「それにミッド主体と古代ベルカ、中々見ない組み合わせだしね」
まあな
シグナムなら俺についてこれるし合わせる事も出来る
何度か打ち合っているのでお互いの事も分かるし同じ剣士という事もあって相性もいいと思う
ただ……なぁ
「まぁそんなわけで八神家行って来る、はやての事だから多分夕食は食べて帰ってくるから、あ、ちゃんと帰っては来るよ?」
「あ、当たり前だよ!!はやての家で泊まって来るなんて駄目だよ!!駄目なんだからね!!」
近い、フェイト
「次は私たちも行くよ、さっきはその……簡単に止められちゃったけど」
「それは駄目、刺激が強過ぎる」
それでも管理局から送られて来る情報で分かると思うが……現物と画像は別物だ
そういやフェイトって午後から仕事じゃ無かったか?それどころじゃない?
まぁ、いいや
「それでもだよ!!ほっとけないから!!」
「……あーもう、勝手にしろ」
明日家出る前に毛玉もう一回投げて行こう
「んじゃまあ行って来る。あまり遅くにはならないから」
「ま、待って、私も行くよ!!はやての家」
ん、ん~、フェイトは道端で寝てしまいそうで怖い
………しゃーない
「ほれっ」
「「「にゃーーーー」」」
毛玉投げた、帰って来る途中で買った物
ネリアにも適応か………
「にゃー」
「うにゃー」
「ふにゃー」
……………もうちょっと眺めとこ