リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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戦闘開始

 

 

「わ・た・し・も・行くよーーーーー!!」

 

「あーもう、だから大丈夫だって、フェイトにあんなの見せられないって!!」

 

小鳥の鳴き声と混じってフェイトの怒声が混じる朝

耳がキンキンする、昨日からずっとこれだ

 

「容疑者の姿なら見た!!その……大丈夫!!私は執務官なんだよ!!」

 

「いや知らねぇし、それにその間はなんだ?あと写真と現物は違う、リアルで見たら現実って残酷だぞ?」

 

あのピチピチした筋肉とかマジであたま可笑しい

 

「それでも二人は無理だよ!!私だって強いよ!!頑張れるよ!!」

 

「あー、んー」

 

どうやらフェイトは『自分が信用されていない』と思っているらしい、そんな事ないんだけどな、ただ単に俺はシグナムが一番適正があると思っただけであってシグナムに対して変な感情を持っているわけではない

いや、ホントに、浮気なんてしませんよ?

ん?でも片思いって浮気自体があるのか?

まぁ、いいや

 

「聞いてる!?ケント!!」

 

「聞いてる聞いてる、連れていけってことだろ?」

 

………無理だな

目の前の彼女に対する思いが強いからこそあんな残酷な現実を見せたくない、筋肉×獣耳など……

 

「昨日作っておいて良かったよ」

 

ポケットをあさる、こんな事もあろうかと思って昨日家でかき集めた材料で作った最終兵器、うん

 

「ほらほらほらほらほらほら」

 

「うにゃ!?」

 

俺のお手製猫じゃらし

あ~、目をキョロキョロさせる仕草かわええ

 

「にゃー」

 

「おーおー、よしよし」

 

頭を撫でると気持ち良さそうな顔をするフェイト、あー、うん、理性は抑えよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ……か」

 

「まぁあれだ、てか昨日よりも大きくなってねぇか?」

 

ミッド中心部廃墟街、あぐらでグースカ寝ているのは筋肉ダルマ

もうちょっと警戒心を持てというか……別にどっちでもいいけど

隣にはシグナム、昨日のアレはもう大丈夫みたいでバリアジャケットを羽織って腰にレバ剣を刺している

レバ剣?いや、略してレバ剣だが

 

今回の戦いで気をつけなければならない事は二つ、まず一度連撃に入ったらもう後戻りは出来ない事

少しでもあいつに時間をやったらロストロギアの自己再生能でせっかく与えたダメージが全てパーになるらしい、つまりはロストロギアが回復する為の時間を与えない様にしなければならない

 

次にシグナムの事、派手な攻撃は出来るだけ却下

俺もそうだが広範囲に渡る爆発なんてされた場合対処出来ん、純粋な技術力でカバーするしかない

まぁ、あいつにとっては技術やら小細工やらは一切関係ないのだろうが……完璧なる力勝負、潔いまでの王道

スポーツ漫画とかでは絶対いるよな、ガタイがいい重量選手

あんなのになりたいなんて一切思った事ないけど

 

「私の事は構うな、全力でお前に食らいつく」

 

「食らいつくって、俺とシグナムだったらシグナムの方が強いわけだし……立場逆じゃね?」

 

前にも言ったが性質変化が使えないからといって何も出来ないわけじゃないからな、経験や何やらを考えてシグナムの圧倒だと思うのだが

 

「そんな事はない、事実、私がお前に勝てるのは中距離での攻撃が出来るからに過ぎん、『隼』や『シュランゲバイゼン』などの攻撃を私から抜き、単純な剣技のみの試合ならば私がお前相手に絶対勝てる自信はない、打ち込む場所が分かっているようにも感じるからな、お前の場合、それに単純な技術としたらお前と私に大差はない」

 

「ん~、そんなものか?」

 

打ち込む場所が分かるのは直感のおかげなんだけどな

そういや今まで負けた理由として一番大きいのはあの鞭みたいに長くなる奴だよな

あれはシグナム自身完全に制御出来るわけじゃないから軌道が読みにくいんだよな、近づこうにも近づけないし

 

「私にとっては何故魔導師でいるのかが不思議なくらいだ、どちらかと言うと騎士になった方がいいと思うが」

 

「それも考えた事はあるけど却下、俺、『騎士』って柄じゃないと思うし………ん?騎士王だから大丈夫なのか?」

 

ん~、まいっか

あと個人的な理由で騎士よりも昔からの憧れだった魔導師でいたいっていうのもあるよな、それにこの力自体が鍛錬して手に入れたわけでもないから多くの騎士達に悪いというか何と言うか

 

「そうか、残念だ、それでどうするんだ、寝ているが」

 

「なら絶好のチャンスだろ、初撃は確実に決められる」

 

戦闘になってからあの超スピードで動かれたら反応は出来るが前と同じになりかねない、寝ているなら絶好のチャンス、初撃を決めて後は腹をくくり、シグナムと一緒に連撃してロストロギアを魔力ダメージで破壊

やられた時とかはその時考えよう、死亡フラグになる

 

デュランダルを抜いて前に出る、ここからあそこまで全力で飛べば三秒程、いける

 

飛ぶ瞬間、肩を掴まれた

 

「なんだよ」

 

「少し待て、お前の意見は分かるが私は反対だ」

 

は?

 

「寝ている相手に斬りかかるのは騎士ではなく暗殺者のする行為、お前が言っているのが最善だとは思うが私は騎士としてそれは出来ん」

 

「だけど」

 

「曲げられん」

 

騎士になりたくない理由が増えた

 

「ったく、じゃあ待つか」

 

「すまんな」

 

シグナムが動いてくれないと勝てないのは分かりきった事、ここは彼女の言う通りにする他ない

てかあいつが起きなかったらどうすんだ、熟睡っぽいから当分起きないぞ

もう朝なんだから起きて筋トレでもしろ

 

「そういえばテスタロッサ達はどうしたんだ、あいつが黙って送り出すとは思えんのだが」

 

「昨日帰った後家にある物で軽い猫じゃらし的な物を作った、それやったらイチコロだったよ

あ~、録画でもしとけりゃ良かったな」

 

むっちゃ可愛ったし

ニャーニャー言うのは反則だと思うんだ、俺

 

「むぅ、猫じゃらしか……また主に買ってもらうか」

 

「今回で解決すりゃもういらねぇよ、解決出来ないといるだろうが」

 

もとより負ければ万策尽きる、オルタで賭けに出るかコルテットの力でキャロの真竜召喚の使用許可を得るか

どちらも嫌だよな、出来るだけキャロにはプレッシャーかけたくないから多分オルタを俺は選ぶと思うし

はぁ、どちらかと言うと筋肉ダルマを倒すより俺を止める方が大変だと思うのは俺だけか?

 

「むぅ、おお、昨日のヘナチョコか」

 

「誰がヘナチョコだ誰が、てか起きたか、俺らの話し声が聞こえたか?」

 

「むぅ、寝ている時に奇襲を仕掛けて来なかった事は評価しよう」

 

別にお前に評価されても嬉しくない

てか筋肉×獣耳を至高の芸術と言っている時点でお前の評価と言う物の単位が信用出来ない

 

「で、再戦か、あれだけボコボコにしたのだから今頃諦めたのかと思っていたのだがのう」

 

「色々と期待されちまってるからな、んでもってお前の言う通り今回は再戦、ニ対一だが……卑怯とか言うなよ?」

 

「なんの、いくら数が来ようともこの肉体を貫ける物はなし!!」

 

随分な自信だ、まぁ昨日は傷一つつけられなかったのだが

しかし今回はそのご自慢の体を貫こうなどという考えは一切ない、お前の体は頑丈でも中のロストロギアはそういうわけにもいかない、分厚い壁に守られてはいるが……それを貫かせてもらう

 

「烈火の将シグナム、お前のような強者と戦える事を誇りに思う」

 

「む、お前も見た事はある。確か……そうそう、あの奇跡の部隊の隊長さん、お手柄だったなあれは、あんな引きこもりの筋肉が全く感じられんような奴に負けるようでは管理局も地に落ちたも同然だからの」

 

「お前は何でも筋肉で決めるんだな」

 

筋肉さえあればどんな女性とでも付き合っていけそうな勢いだ

俺?俺はの好きなタイプは……うん、何でもない

 

「それでは他愛のない話はこの辺で良いだろう、騎士達よ、俺の全力を持って相手をする事にしよう」

 

「ヴォルケンリッターが一人シグナム、参る」

 

こう見てるとこの二人ってかなりのバトルジャンキーだよな

シグナムも手練れと出会えた事で炎の事など忘れてるっぽい、ホント、分かりやすい

 

熱い二人に隠れるように名乗りを上げてデュランダルを構える

相手がデカイガタイをしている割に速さはフェイト並だという事は事前にシグナムにも言ってある、後はどれだけ食らいつけるかどうか

 

「オアァ!!」

 

「ハァッ!!」

 

僅か一瞬の出来事

巨人の拳をシグナムが剣に滑らすようにして軌道を変える

音は刀と皮膚が当たってなお金属音、衝撃は殺せなかったようでシグナムの体制が崩れる

昨日はここで勝敗が決した、その僅かな時間で俺は吹っ飛ばされた

シグナムもまた、同じ道を辿るだろう………俺さえいなければ

 

「はぁ!!」

 

「むぅっ!?」

 

『目』に向かって『不可視の剣』を放つ

いくら筋肉があったとしても『目』や『耳』などの器官を鍛える事など不可能、それに今の俺のデュランダルは風の性質変化を使い原作同様不可能

当てるつもりはさらさらない、ただし『避けないと当たる』

大きく体を反る筋肉ダルマ、シグナムへの追撃など不可能

 

一旦距離を取る、手汗が凄い

風圧だけで吹っ飛ばされそうだ、それに今のフォローがなければ確実にシグナムはダウンしていた

 

「なるほど、大体強さは分かった……一筋縄ではいかんぞ、あれは」

 

「まぁな」

 

 

さて、本格的に行きますか

 


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