リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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悲願

「いや、だからだな、フェイトも俺がSt.ヒルデで学生と戦ってるの知ってるだろ?それに挑まれたんだって」

 

「ふぅーん、女の子に」

 

「女の子にだよ」

 

なのでそのゴミを見るような目は精神的にキツイのでやめてくれませんでしょうか

 

「で、ケントは女の子に対して殴りかかったってわけだ……サイテーだね」

 

「グハッ!!」

 

俺に9999のダメージ

ケントは目の前が真っ白になった

 

「怪我はしてないみたいだね、ケント君に変な事されなかった?」

 

「ありがとうございます、大丈夫です……どこにも痛みはありません」

 

向こうはいいよな、ホノボノしてて

そのホノボノをもうちょっとこっちに欲しい

 

「………アインハルトちゃん、ホントーに何もされなかった!?」

 

「はい、逆に……手を抜かれたくらいでしたから」

 

フェイトがもう一度念入りに確認する

いやね、いくら俺でもヴィヴィオとそう変わらない年の子に手を出したりしません、いや、大人モードは少し危なかったけど……駄目だ駄目だ、煩悩退散

てかアインハルト、手を抜かれたって分かったのか?

 

「はい、力の差が、ありすぎました」

 

いや、しゃーないだろ

 

アインハルトもかなり強いがそれでも十分前半の学生、ユーリやら戦闘機人やら筋肉ダルマなどの奴らと戦ってきた俺とは明らかに年期が違う

原作でのプライムマッチでも大人組にはリミッターが付いていたっていうのもあるしな、生まれつきチートスペックでも無い限りは早々に差は埋まらん

てか埋まってたら今までの俺ってなんだよって話

 

てかあれでもスゲーと思うしな、俺とアインハルトが同い年だったら結構いい勝負してると思う、十歳俺、皇帝特権有りで

 

「世界は広いです、自らの強さを証明しようとしていましたが……これ程強い方がいると分かった今では、勝てる様になるまで鍛錬あるのみです」

 

「え、あ、ああ、そうだな」

 

…………あれ?今の俺ってアインハルトの通り魔フラグへし折った?

今はヴィヴィオが近くの訓練場に行っているためいないのだがフェイトやなのはと会ってる時点でアウトだしな

………どうしよ

 

「ケント、話を反らしたら駄目だよ」

 

「あ、うん、悪い」

 

相変わらずそのジト目ですか

 

「まぁまぁお姉様、そこら辺で許してあげて?お兄様はそう簡単に女の子に手を出す男の子じゃないから」

 

「おいネリア、いつからいた」

 

「帰ってきたら修羅場だったから気配消してみたよー」

 

アサシンだな、てか修羅場って何だよ修羅場って

 

「それにしてもこの家って美女率高いよね~、私も含めて、この子もヴィヴィオも大きくなったら相当美人なんだろーね」

 

私も含めてって、まぁ否定はしないけど

俺は入れるなよ?『剣姫』とか子供時代に言われてたけど俺は男だからな?

 

「もぅ、今回は許すけど女の子に手を出したら駄目だよ?特に誤解されるような事はしない!!」

 

「りょ、了解」

 

ここは素直に従っておく

手を出すって、俺はそんなに腰の軽い男じゃねぇよ

 

「ヴィヴィオももうすぐ帰って来るし、アインハルトちゃんも晩御飯食べて行く?」

 

「いえ大丈夫です。歩いて帰ります」

 

そうだな、そうしてくれ

ここでヴィヴィオに会われるととてつもなく不味い気がする

 

「もう遅いからね~、お兄様とお姉様で送って行ったら~、夜は危ないぞ~」

 

なぜ二人で、片方いれば殆ど大丈夫だぞ?

 

「ここまで連れてきたお兄様はちゃんとアインハルトちゃんの安全を保証してあげないといけないし、お姉様はお兄様の監視だね~」

 

「あ、うん、夜は危ないからね!!」

 

だから俺はそんなに軽い男じゃないって

 

「それにしても覇王か~、変な因果があるもんだね~」

 

「なにニヤニヤしてんだよ」

 

「なにも~」

 

ネリアは気づいてるだろうな、ヴィヴィオと彼女の関係を

だからこそややこしいんだよ

 

「気をつけてね、夜は危ないから」

 

「なんだよホント」

 

ずっとニヤニヤするネリア、何考えてんのか……

 

取り合えずフェイトとアインハルトと家を出る、夜っていってもまだ七時ぐらい、暗くなり始める時間

この時間なら普通に学生歩いてるけどな、まぁいいか

 

アインハルトの歩く後ろについていく、大体どれくらいの距離なんだろうな、St.ヒルデだからそう遠くはない筈だし

 

「そういえばケントに模擬戦申し込んだのはアインハルトちゃんから……だったよね、えっと、その、女の子に興味があるわけでも無さそうだし……どうして戦いたい、って思ったのかな?」

 

そういや俺は知っているから聞かなかったが問い詰めてないよな、明らかに不自然だ

女の子に興味があるかないかは……今はノーカンと言う事で、無いと断言出来ないのが恐ろしい

 

で、アインハルトが求めてるのが『覇王の悲願』だったか?

正直俺にはよく分からん、原作でも『?』といった感じだったし

聖王を守りたかったのか、倒したかったのか

どこまで強くなれば満足するのか………正直言って目的がハッキリとしていない気がする

初代覇王様の記憶によって己とご先祖様、いわば他人をごっちゃにしている少女、もっといえば『自分自身が見えていない』

『クラウスが作り上げた覇王流が弱くなんかないと証明すること』、とかも話していた気もするし『守るべきもの、それを失わないための本当の強さ』とも言っていたが今のアインハルトに『守るべきもの』があるのかどうか

そしてそれは聖王に勝つと言う事だけで手に入れる事が出来るのか

倒したいのか守りたいのか証明したいのか……まぁ俺なんかに分かる筈のない事なのかもしれないけど

 

「………己の強さを、確かめたかったからです」

 

戦いを挑んだ理由とすればそれが妥当か

本物の『強者』と立ち会える機会なんて滅多にないことだし、サンドロスなら喜んで相手をしてくれただろうが今はもういないし

それを考えれば俺という存在はよく学校に来ていて戦ってるお手頃物件だったわけね

 

「それに、ケントさんを見ていると……オリヴィエの姿を思い出します」

 

「オリヴィエってベルカの聖王だよね……見たことあるの?」

 

「記憶で……」

 

まぁ普通は気づかないよな、ヴィヴィオと同じ様なオッドアイだけどすぐに『覇王だ』とは気づけない

そう考えるとネリア凄え

 

てかやっぱりお前も思うよな、オリヴィエとセイバーが似てるっていうの

俺も最初感じたよ、セイバーキターみたいな感じで

特に後ろのお団子なんてそっくり、目が一緒だったら違和感ないんじゃないか?

 

「悪いが俺は聖王の家系でも何でもないからな」

 

「はい、目で分かりました」

 

あっそ

聖王について聞いて来ないって事はまだヴィヴィオの存在について知らないか……あれは局や教会でもトップシークレット、原作ではよく情報を手に入れたもんだ

 

「あの、またお手合わせお願い出来ますか?学校には、満足のいく相手がいないので」

 

「ん、いいぞ、男子共の駆除が終わった後くらいにしたければ来たらいい」

 

「ありがとうございます」

 

暫く付き合ってやればいいだろ、目標を見つければ見える世界も違ってくると思うし

でもどうするか、これじゃあ原作通りには進まない……どうにでもなるか

もとより原作とここではまた違う、リアルと二次元を比べる事自体が間違ってる

この子が覇王でヴィヴィオが聖王である限りお互い引かれ合う運命にあるだろうしな

 

そうこう言っている内に家にたどり着き、ぺこりと頭を下げて、お礼を言われてから彼女と別れる

 

来た道を引き返す………あ、二人きりじゃん

 

「こうやって二人だけになるのって、久しぶりだね」

 

「そうだな、フェイトは忙しいしな、少しぐらいゆっくりしたらいいのに」

 

いつかワーカーホリックで倒れるぞ

一度なのはみたいに前線から引いてしばらく休めばいいのにな

 

「あはは、でもやらないといけないことは一杯あるからね、もう少し頑張るよ」

 

「無理すんなよ」

 

「うん」

 

並んで歩く、二年間の賜物、最初みたいな動揺はもうない

 

「………ケント、アインハルトちゃんは……なにを求めてるんだろうね」

 

「どうしたいきなり」

 

強さを確かめたかったって言ってたじゃん

 

「大人モード、デバイスに組み込んであるプログラムを使うならまだしもあの子はデバイスを持ってなかった。あれって凄く難しいんでしょ?

それを習得して……それに、目が違ってたし」

 

「目、ね」

 

「うん」

 

ま、それは彼女にしかわからないんだろうけど

 

「………あ、あそこのシュークリーム買って帰ろ、みんな喜ぶよ!!」

 

「ネリアの分考えたら財布がパーになるが……まぁいいか」

 

フェイトに手を握られて小走りで見せに向かう

 

 

………もしかしたら、何かを守るための力、失わないための力が欲しいというのは……みんなが思っている本質的な事なのかもしれないな

 

俺は………今の幸せをこの手で守ろう

 

 




正直に言うと作者もアインハルトの目的をあまり理解出来ていません

力が無かったせいで救えなかった
だから大切な物を守れる力が欲しい、覇王流が弱くないと証明したい

『ヴィヴィオ』という聖王の複製体がいたおかげで言えますが、ヴィヴィオはいなかった可能性の方が高いです
それを分かってて通り魔をしていましたが一体彼女は『誰に』『どの様にして』強さを証明させるつもりだったのでしょうか?
己よりも弱い相手を打ち負かした所で『強さの証明』にはなりませんし己よりも強い相手が現れ、鍛錬を重ね再戦し勝ったとしてもそれを認めてくれるのは覇王も
聖王も関係ない赤の他人一人

ヴィヴィオがいるからといってどのようにすれば覇王流の強さの証明と悲願の達成に繋がるのか、それが達成したと言えるのか、自分には分かりません

まぁ個人の意見ですので、国語力が低い作者では読み解けていないだけなのかもしれませんしね

最後のはアインハルトとの開墾で得たケントの決意です
『荒む心』の最後にあった決意と比べると、どれだけケントが変わったのかが分かります

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