リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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夕食前

「インターミドル……ですか?」

 

「うんそう、もう流れとかそんなんガン無視してそういう話になるのが見えてたから切り出してみた……元なんて知ったこっちゃねぇ」

 

一年早い伝々はこいつがここに来てる時点でアウトなわけだしな

模擬戦もあらかた終わり、慣れていないのに全力で動き回った奴らがガクガクブルブルしてる中で取り合えず切り出した

ちなみにガクガクブルブルな奴らっていうのははやてとかネリアとかな、普段あんまり動かないのに無茶しすぎだ

 

「あの、私は遊びの為に戦っているのではなく……」

 

「あ~、出たい出たくないは自分で決めればいいと思うよ、俺もただの思いつきのわけだし」

 

インターミドルを彼女に紹介した理由もある

まず覇王の悲願やら使命やらなんたらの目的を遠ざける事、原作の影響が少しでも残っているんだったらいつかこいつは聖王のクローンがいる事を嗅ぎつけるしそれで何をするか分かりゃしない、最終的にどうなるかは知らんが大会を通してこいつがアインハルトという『競技者』に少しでも近づいてほしいこと

 

もう一つが広い世界を見せる事、今回の旅行で恐らく認識しただろうが子供を除くこのメンバーでアインハルトは最弱に近い、学校内でトップという小さな世界の中で『強さの証明』やら『悲願の達成』なんかよりももっと明確な目標を持ってほしいということ

 

「インターミドルですか、いいな~、私達は来年からじゃないと出られないんですよ」

 

「十歳以上ですからね~、アインハルトさんは今年から大丈夫なんですよね」

 

「ギリギリだな」

 

インターミドルの話題にヴィヴィオとコロナが食いついてくる

参加資格は十歳から十九歳……あれ、Stsでなのはとか出てたら無双出来たんじゃ………

 

「んじゃ後は師匠よろしく」

 

「誰が師匠だ誰が」

 

ザフィー以外どこにいる

説明&交渉はザフィーに全て丸投げする、いや、ザフィーも彼女の事なんだかんだで他の子供とは違うとは見破ってるしアインハルトの事を思うなら努力とは無縁の俺が説得するよりもザフィーの方がいいだろ?

やれやれと言った感じで説明をするザフィー、なんかもう……本当にザフィー師匠だよな、そこまでいかなくてもコーチは確定か?

 

「ん……しょ……」

 

軽く背伸び、この一日は模擬戦だけで殆どが終わった、てかもう夕方に近い

子供組はさっきの場所で、メガーヌさん、なのはは恐らくキッチン

八神組は一家でくつろいでるだろうしテスタロッサ家もまた同じ

他は散歩やらなんやら行ってる

 

「ネリアは……いないな、一人か」

 

夕飯までには少しある、引きこもりに近いこの体に一日鞭を打ったのだ、少々の眠気

軽く昼寝でもするかと思い自室へ

途中で水でも貰って行こうかと思いキッチンに寄り道

なのはからは栄養ドリンク……水じゃないけどまあいいか

ついでにリビングで待ってる人にも持って行ってあげてと言われたので承諾、相手は緑の長髪………あれ?

 

「お前いたっけ?」

 

「やあ久しぶり、ケント」

 

ロッサ?

 

 

 

 

 

 

「つまり今捜査している事の拠点としてここを使っていたと……なんか無茶苦茶久しぶりな気がする」

 

「知らなかったのかい?はやて達は普通だったんだが」

 

いや、はやて達は局員だから事件内容とかも知ってるかもしれないけど俺はそんなのに全く関係ない民間人だから

 

「ケントも局員じゃなかったっけ?」

 

「………あ」

 

はやて達より上だった

 

「てか俺がカリムから聞いた話だったら世界を飛び回ってるとか聞いたんだが……拠点って事はこの近くなのか?」

 

前聖王教会に行った時にそう聞いたんだが

 

「いや、それに関しては他に預けて今は別の事で調査してるんだ、比較的ここと近い世界だよ」

 

ロッサも大変そうだ、やっぱり引きこもりとは違うな

 

「で、どんな事を調査してんだ?危ない事とかしてんじゃねーだろーな」

 

「えっと、微妙かな?」

 

おい

 

「詳しい事は言えないんだけど……数年前に起きた戦争とそれを引き起こしたロストロギアの調査だよ、管理外世界で今は人どころか生物さえも生きていけないレベルなんだけどね」

 

「………どういうことだ?」

 

人は分かるが生物さえもって……いくら強力な爆弾が落ちようが隕石が落下しようが生きていく生物はいるんだぞ?

例えば……Gとか……

 

「僕たちはそのロストロギアが関係してると考えてる、戦争を終結させたのも、生物全てを殺し、この先何千年も不可能にしたのも………他の世界にそんな物が流失したら大変だからね、僕のスキルで絶賛調査中ってわけさ」

 

「ふーん」

 

管理外世界の出来事だから余程の事がない限り他世界に持ち出させる事は少ないだろう

てか戦争か……当たり前だよな、数多ある世界の中で今も平然のように戦争は起こっているわけだし

これ以上聞くのはお門違いなわけだしやめておく、何故かは知らんが生物が生きていけない世界での捜査なんだったらロッサには出来るだけ安全第一で頑張ってもらう事ぐらいか?

 

「そんな事より旅行はどうだい?これだけ女の子がいるんだからハプニングの一つ起こっても可笑しくないと思うんだけど」

 

「ハプニングというか命の危機はあったぞ、あれはラッキーだったのかアンラッキーだったのか分からん」

 

眼福ではあったがそれ以上にヤバかった

 

「拠点に帰って来てるってことは今日はここに泊まるんだろ?お前もお前でいい事あるといいな、イケメンなんだしそろそろ相手探してもいいんじゃないか?」

 

「ケントに言われたくはないんだけど……」

 

俺に彼女達はもったいない感じがする。今でも同居させてもらってるんだからそれで充分だ

 

「まぁ僕はこうやって友人がいてくれたらそれでいいよ、やる事も一杯あるしそこまでは手が回らないかな?」

 

「俺は男に興味はねーぞ」

 

「いや、そういう意味じゃなくて」

 

分かってる、ロッサがそっち系じゃないと信じてる

ただなぁ、子供時代に追いかけられた事もあるからなぁ……九歳の頃でGODだっけか、あれは辛かった

 

「幼馴染男組で勝ち組なのは、綺麗な嫁さんがいるクロノだけか」

 

「いや、勝ち組とか負け組とかそういうのじゃなくてね」

 

ロッサはすぐに見つかりそうだしな、聖王教会ないで美人なシスターでもふっかけそうだ

俺は何だかんだで近づいてくる女は全部金目当てだし……フェイトは生涯片思いで終わりそうだし……てかフェイトと俺では全く釣り合わねぇし………

 

「時々お兄様は深夜アニメの主人公かーて思う時があるのです」

 

「あ、久しぶりネリアちゃん」

 

「久しぶりでーすロッサさん」

 

椅子に座っている俺に対して後ろから抱いてくる形でネリア登場

疲れはすっかり癒えたらしい、少し湿っぽいから風呂にでも入ってたか?

 

「てか何故深夜アニメの主人公?」

 

「深夜アニメは見たことないけどなんか分かる気がするよ」

 

「でしょでしょ」

 

解せぬ

 

「思い切ってドバーッと、好きな相手がいるんだったら告白しちゃえばいいのに、二十歳にもなって恋人いない=年齢もどうかと思うよ」

 

恋人いない歴=年齢じゃない

恋人いない歴=年齢+前世だ!!

 

「てか当主がそんな事言っていいのか?今は減ったが当主としては有力者と俺を結婚させた方がこれからを考えれば都合いいと思うんだが……」

 

何だかんだ言ってネリアは当主、コルテットの純血でバックとしては権力者の俺にはそれなりにデカイ奴とくっ付けた方が家としては嬉しいだろう

 

「ん~、心外ですな~、お兄様が幸せになれるならコルテットなんてどーでもいいよ?そりゃあ幹部のジジイとか分家の奴らはうるさいだろうけど私はそんな事させるつもりはないよ~」

 

だろうと思った、家族思いというかなんと言うか……かと言って俺はしょーもない男にネリアをやる気はさらさらないんだが

 

…………てか今聞き慣れない単語があったな、分家?

 

「あ~、うん、お兄様が知らないのは当然だね、私も当主になって最近聞いた話だし」

 

「ちょいまて、そんなもんがあるのか?」

 

コルテットのシステムに侵入した事は多々あるがそんな単語は聞いた事もねーぞ

 

「私も直接見た事はないよ?ただ裏からのバックアップとして存在する影みたいなのらしくて……う~ん、どう言ったらいいのかな、役割としては婚約者とか?」

 

「はぁ?」

 

なんだそれは

 

「う~ん、世継ぎとかがいない場合は分家の人間が本家に来たり、婚約者がいなくてロクな企業もない、結婚出来ないとかって言うばあいはその婚約者としてとか……お兄様のお母さんとそうらしいよ、お兄様のお父さんの時にロクな企業が無かったから分家からもらったんだって」

 

「へぇ」

 

分家ねぇ、そういうからにはコルテットの家系なんだろ?

つまり親戚か、あったんだそんな血縁関係

 

「まぁ『血を守る』っていうのが最大の使命なんだろうね、てかコルテットっていつからあるんだろ、今の時代血とか気にしてるって相当だよ?」

 

「だよなぁ」

 

俺も詳しい事は知らね、俺が生まれてから力を増したのは事実だけどその前から大企業だったわけだし

 

「ま、あまり気にする必要もないよ、実際表に出てこないから関係ないわけだしお兄様には幸せになってもらえれば、それでネリアも幸せなのです」

 

「ありがとな」

 

えへへ~と笑うネリア、好きな相手に告白か……

 

「えっと、僕はここで聞いていて良かったのかな?」

 

「ん?大丈夫ですよ?まぁ念のため他言無用でお願いしますね」

 

「りょーかい」

 

内容自体はそこまで重要には思えないが俺でさえ知らなかったからな、もしかしたら極秘なのかもしれない

 

子供組がいる方からワーという声が聞こえてくる、ザフィーが説得し終えたようだ

キッチンからはいい匂いが漂ってくる、そろそろ夕食だ、さて

 

「風呂にでも行ってくるかな?」

 

夕食前にサッパリしておこう

 

 

 


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