リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

154 / 176
朝です

 

朝日……なんてここにはないか

 

狭いベッドの上で目が覚める、太陽が照らない異次元空間に浮かぶ時空管理局本局、明確な時間は分からないが恐らく朝だろう

ボーとした頭を覚醒させる、シャーリーからデバイス受け取って、子供集めて渡してとやる事は多い……のだけど

 

「……どうしよ」

 

右腕を拘束されている。あの……当たってます

いや、押し付けられてます。抱き枕扱いですか?

どうにかして引き抜こうにも無理をすれば起こしてしまう……かといってこの……弾力は直接肌で感じてしまうわけであって……

それに浴衣だけあって寝ている間に乱れまくっている……朝からこれは刺激が強すぎると思うのですよ

 

「………ん」

 

体がビクリと反応する

ただ少し動いただけ、なのに締め付けは一層強くなった気もする

………頭の中に天使と悪魔がいる

襲っちゃえとか言ってるのとそんな事すれば間違いなく牢屋行きだと言ってるの

頭の中にネリアが入れた物が浮かぶ………だーもう!!

 

左手で頭をわしわしとかく、昨日から変だぞ、あいつが荷物を持って来させるとか言ってる時点でああいった物が入ってるのは予測がついたし俺はそんなになりふり構わず襲う様なケダモノでもない!!

これが一度でも女性を抱いた事があるなら話はまた別になってくるのだろうが少なくとも前世+現世を童貞で貫いている俺にはいきなり襲うなんて考えが浮かんでも実行する気なんてない!!

だけど今の状態は刺激があまりにも強すぎる、彼女は寝ているとはいえ乱れた姿で無防備、それにこの右の弾力、こんなのをいつまでも我慢できる鉄の心を持った勇者など存在するのか!!

そんな心をセイバースペックで何とか作り出そうと努力する。俺の元は騎士王なのだ、自分を制御し、抑えるくらいは……駄目だぁぁぁぁ!!

確かに騎士王だがセイバーはエロゲのヒロインだぞぉぉぉ、んな性的な願望をいつまでも抑えるなんて不可能だぁぁぁ!!

最初は堅物だったけど終盤無茶苦茶デレデレだったじゃねーか、士郎と魔力補充とか大義名文立ててしてたじゃねーか!!風呂場で何だかんだやってんじゃねーか!!

赤王なんて意味ねぇぇ、アレだよ、EXTRAはエロゲじゃねーけどあのデレだったら裏で何してっかわかんないぞ、てか奴に自制心なんつー物があるのは思えねぇ

 

がぁぁぁぁと心の中で奮闘する、悪魔と天使が己の死力を尽くして戦っている

せめてガウェインの能力も受け継いでいればこんな事にもならなかったのに!!

 

「えっと……大丈夫?」

 

「……………え?」

 

起きたようです

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌な夢でも見たの?すごくゲッソリしてるけど」

 

「いや、大丈夫だよ、うん」

 

必至に笑いかけようとするが顔が引き攣る

先ほどまで無理矢理押し倒すとか考えていたのだ。情けなくて顔を出し合わせられない

てかあのままだったらホントに我を無くしてたな、起きてくれなかったらどうなっていた事か……

局の廊下を歩く、昨日の今日だ。俺もフェイトも朝食だけ取って家に帰る事にする

今から取り敢えず飯食べてシャーリーの所でデバイスを受けとる。彼女の事だから今でも作業してそうだ……チェック終わってるかな

俺は私服でフェイトはあの黒い制服、朝っぱらから局内を私服ってどうなんだ?

かと言って局員専用の服を着るつもりはない、てか俺がアレ着るとしたら肩によく分からんヒラヒラ付きのやつになるんだよな、将官だから

自分で言うのもなんだが二十歳で将官など異例、今よりもずっと注目される

 

「あっ、あのね……昨日の事って、覚えてたりするかな?」

 

「昨日の事?」

 

何かあったか?

 

「えっと、ほら、ベッドに入った後の事」

 

「……あ、あ~」

 

フェイトが体をビクリと震わせる

………?

 

「悪い、何か言ってたよな、けどあの時凄い眠くて何を言ってるか聞き取れなかったんだ……大切な事だったのか?」

 

「え、あ、ううん、別にそういうわけじゃないよ?特に何ってわけでもなかったからね」

 

アハハ~と笑うフェイト

……怪しいが深くは追求しないでおく、俺も朝の事を聞かれたら何も答えられないし

にしてもの○太って0.2秒で寝るらしいな、その中で耐えようとした俺は凄いと思う

にしても主張を取りやめる力も無くなるとは……凄いな○び太

 

「覚えてない……それはそれで良かった、のかな?」

 

「フェイト?」

 

「ひゃうっ!?」

 

覗き込んだだけでそんなに飛び上がらなくても

 

「あう、あう、あ、きゅう」

 

完全に下を向いて顔を隠してしまう……この小動物はなんですか?

 

食堂が見えてくる、まぁ飯食ってれば直るだろう

やはり朝食の時間帯、案外混んでるな

空いている席に座る、やっぱり目立つ

中にはコソコソとこちらを見ながら話す者、項垂れる男、睨んでくる男など様々である

……なぜ睨む

 

「やっぱりパン系が多いな、朝からご飯食ってるうちは例外か」

 

「そうだね、なのはも私も子供の時は地球にいたからどうしてもそっち系のご飯になるから」

 

パンの時もあるしご飯の時もある。半々ぐらいが丁度いい

それでもメニューにはご飯系もあるので迷わずそれを選ばしてもらおう

 

「フェイトは何がいい?買って来るけど」

 

「ごめんね、じゃあ私はケントと同じので」

 

「僕はこれがいいかな、今日はパンが食べたい気分だからね」

 

「おう了解」

 

……………って

 

「いつからいた提督さん」

 

「君たちを見つけたから来ただけじゃないか、それともお邪魔だったかな?」

 

「俺は一応将官なんだけどな?」

 

「む、局内でそう言われたら立場がないな、ではよろしくお願いしますよ、ケント少将」

 

「自分で買え、クロノ提督」

 

影が薄いレベルじゃねーよ

 

 

 

 

 

 

「で、なんでお前が本局に?」

 

「昨日巡回が終わったんだよ、次に出発するまで休暇さ」

 

目の前でパンを頬張るクロノ、まさか会うなんて思ってなかった

昨日仕事が一段落ついたらしいなんつーか、よく分からん

 

「僕も驚きだよ、まさか朝から局にいるなんてね」

 

「色々あったんだよ」

 

色々とな

 

「てかお前が来てから余計目だってんじゃねーか、提督に執務官に私服男って」

 

「なんだ?局員服でも支給してほしいのか?」

 

いや、そのヒラヒラがついたやつはいらん

 

「色々と、ね、となると局に泊まったのか……どこで寝たんだ?」

 

「えっと……」

 

女子寮なんて言っていいのか?

でもクロノも気づいてるよな、この場には俺とフェイトしかいないわけだし

 

「……まぁいい、大体分かった」

 

「さいですか」

 

物分りがよろしいことで

 

「気にしなくていいぞ、別に珍しいパターンでもない」

 

「そうなのか?」

 

初耳だけど

 

「基本、民間協力者や参考人などが寝れる場所はあるのだが親しい者や友人の場合は別だよ、局員と民間協力者が同意すれば同じ場所で泊まれるし問題はない、まぁ問題を起こした場合は局員がその責任を取る形になるのだが」

 

「へぇ」

 

ま、それもアリって事か

そう思ってたらクロノが何やらニヤける……なんだよ

 

「だけどな、それが異性の場合は話が別だ、大体誘った方が誘われた相手に対して気g「ワァーー!!」グホッ!!」

 

………隣からフェイトの腹パンが炸裂した

 

「アハハ、何言ってるんだろうね~、お兄ちゃんは、アハハ~」

 

「取り敢えず首元を掴んで振り回すのやめてやったらどうだ?クロノ吐きそうだぞ」

 

口から泡吐いてやがる

てか今の魔力強化してたよな、リアルで大丈夫か?

 

「あっ、ごめんね、お兄ちゃん」

 

「フェ、フェイト……あ、足が」

 

何とかして意識を取り戻したクロノだが相変わらず痛みに悶えている

そんでもって机の下からグリグリという音……痛そうだ

 

「お兄ちゃん寝ちゃったね……もう、こんなところで寝たら風邪引くよ?」

 

「いや、気絶しただけだと思うけど」

 

「しょうがないな~、クラウディアの人に連絡して引き取ってもらおうか」

 

「え、あ、うん」

 

そうだね、そうしよう

 

 

 

 

 

 

暫くして来たクラウディアの乗務員にクロノを渡してシャーリーの元へと向かう

なんでもフェイトとも知り合いらしく気絶しているクロノを見ても深く聞いて来なかった……いや、あれは眠ってるんだ、そうだよ、日頃の疲れが溜まってたんだ

で………デバイスの管理室的な場所に来たんだけど

 

「……俺にはアレに対して話かける勇気はないんだけど」

 

「えっと、シャーリー?聞こえてる?」

 

時間は九時、昼前には家に帰れるだろう

そう言う事でデバイスを……うん

 

「………あっ、おはよーございまーす」

 

「充血した目でおはようなんて言われても困る。てか髪ボサボサだし滑舌おかしいぞ」

 

「ぜ~んぜ~ん」

 

駄目だこれ

 

「一日徹夜しただ~けで~すよ~、体はほら、ピンピンで~す」

 

徹夜したのは見てとれるけど使った精神力は半端ない物だな

少し休ませないと大変だぞ

 

「あっ、これ、ありがとうございました〜、おかげでこれからの魔改造がバージョンア~プですよ~」

 

「オイなんか今変な単語が聞こえたぞ」

 

個人で作る分は良しとしてそれを仕事にしてる人間が魔改造って

 

「フェイトさんのバルディッシュも貸~して下さいよ~」

 

「きょ、今日は遠慮がちしておこうかな?」

 

そうした方がいい、なんか色々と戻って来れなくなるぞ

 

「ま、その様子だとチェックは終わらせてくれた様だな、ありがと」

 

「いえいえ、私も新しい技術に触れられて嬉しかった……です」

 

バタンキューと倒れるシャーリー

……フェイトとアイコンタクトを交わしておぶってシャーリーの部屋まで連れて行く事に、今日一日は寝かせよう

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。