「くっ、ちょこまかと!!」
「ぐおっ!?またバインド!?
直感があるから回避出来てるけど……近づけねぇ!!」
デュランダルを構えながら目の前の少年を睨む……
さっきから近づく事が出来ない……砲撃系の魔法が使えたらまだしも……それが出来ない俺は近づく事が出来ないのは致命的だ
「ブレイズキャノン!!」
「くっ………くそっ!!」
右に避けるが……その直前、脳裏に『捕まる未来』が映像として流れる
上半身を思いっきりくねらして設置されていたバインドを回避、だが、回避した場所に的確に放たれるスナイプ、それをデュランダルで全て撃ち落とす
まるで………
「俺の戦闘法、よく知ってやがる!!」
「ケント!!なんでこんな場所にいるのかは知らないがとにかく話を聞いてくれないか!!
君が負傷すれば本局にとってもコルテットにとってもマイナス思考にしかならない筈だ!!」
「あいにくだけど執務官!!あんたが俺の事を知っていても、俺はあんたの事知らないんでね!!
「くっ!!どうしてだ!!」
俺が対峙しているのはオリ主達に『KY』と罵倒され、大体ストレス発散やハーレム作りの生贄とされるクロノ執務官
どうやら九歳の俺はカリム繋がりでクロノと面識があるらしい………てか彼曰く『友達』………………やったな未来の俺!!
今日は赤飯炊いてやる!!
俺的にクロノは好きなんだよね、いや、性的な意味じゃなくて、キャラとしてクロノは好きだ
性的な意味での好きだったらヤバイ、容姿がセイバーのせいで違和感がないのが悔しい……
なんでクロノと戦ってるって?
あれから俺達は別々に目的の場所に目指しているんだが……俺の前に現れたのはシグナムではなくクロノだったって訳だ
管理局への投降を呼びかけられたのだが……一応アインハルトの案に沿って時間移動の原因とも当たる人物に接触する
俺がいるせいで原作と少し離れ始めてるんだ……これ以上俺が介入すればどうなるか分かったもんじゃない
BAD ENDとか嫌だぞ俺……てか下手したらこの事件、主要キャラ全滅の可能性だってあるからな………
まあそのせいで今かなり苦労してるんだが……どうやらクロノ、未来の俺と何度か模擬戦をした事がある様だ
そのせいでクロノに近づけない、ストライクエアを使おうと思ってもスティンガーで牽制されてしまう
それに俺……防御魔法まだ覚えてないんだよね………
皇帝特権で使えると思うけど今でさえ飛行魔法の習得や剣技、その他諸々に重ねがけしてる状態だ
これ以上重ねて他に支障が出たらシャレにならない、特に飛行魔法
その為俺は相手の攻撃を避けるか斬って破壊するか………それに進行方向にはいくつもの設置型バインドがある為に上手く近づく事が出来ない
それにクロノ、さっきから全く大型魔法を放ってこない……牽制ばっかり
まあ……当たり前だわな…俺体力ねーし
ぶっちゃけ今でもかなり息が上がってるし……
「あーもう!!またバインドかよ!!」
「くっ、やはり当たらないか……」
クロノが遠くで舌打ちをする
バインドはクロノの代名詞だからな……チッ、またスティンガー!!
「このままじゃラチがあかねぇ……一気に決めるか?」
大量に迫りくるスティンガーを紙一重で全て避ける、クロノは……また距離を取ったか……
あいつ、この時期だったら空戦AAA+だったか?
そんなのをまだ魔法に触れて数ヶ月の甘ちゃんに当てるなんて管理局マジキチ……
ただ……このままじゃ防戦一方の硬直状態、いつかは俺の体力が切れて負けちまう……危険承知で……動くか?
(確かクロノは漫画の方でフェイトに勝利していた……その時は……保険の為に後ろに設置型バインドを仕掛けていたよな……なら、真っ正面から当たるしかねーか……)
考えれば考える程スキがない奴だ、ベルカの騎士とかじゃ戦いにくいだろうな……そんな話はどうでもいいか……
いま必要なのは………
(速さ……かな…)
クロノが視覚出来ない程の速さが必要だ、ストライクエアなどの使う前にタイムラグがある様なスピードじゃなくて、もっと一瞬の……最速を……
デュランダルに魔力を溜める……その瞬間、俺の動きが止まった事をクロノは見逃す奴じゃない
すぐに俺に向かって青のバインドが襲いかかる……だがまだだ、もっと……引き付ける……
そして……
「はあ!!」
「なっ!?」
クロノが目を見開く、そりゃそうだ、今の俺は『最速』
自身の剣をまるで『槍』の様に持ち突進する
途中でクロノが張っていたバインドが次々と発動機するが……全て俺を捉えきれずに不発に終わる
「槍バージョン!!(偽)!!エクス……」
「くっ!!デュランダル!!」
「カリバァァァァァ!!」
俺が放った近距離専用のエクスカリバーとクロノのプロテクションが激突する
振りかぶっていない分威力は下がっているが……即席のプロテクションを破るのは十分
パキパキとバリアにヒビが入る、クロノの額に汗が滲む……
この戦い、我々の勝利だ!!
そう、遠坂のマネをしてしまったのが原因だろうか……一気に手に入っていた力が抜ける。
いや、この場合『支えを無くした』と表現した方が正しいのか?
「?、ケント?」
「おいおい、マジかよ」
飛行魔法が……切れやがった………
今俺がいるのはスカイツリーも目じゃない空中…………またスリル満点のパンジージャンプかよ、パラシュート無しの……
「ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ケ、ケント!?」
ものすごい速さで落下していく俺!!
俺のうっかりですね、皇帝特権で手に入るスキルは短時間のみだったね!!
そう言えば昨日の夜からずっとかけっぱなしだったよね!!
逆に今まで長続きしたのは初めてだよ!!
「ちょっ!!ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!」
顔面から落ちてんだけど!?
むっちゃ走馬灯見えるんですけど!?
前世のおじいちゃんがこっちに手振ってるんだけど!?
「捕ま……れぇぇぇぇぇ!!」
「ぐっ!!」
クロノが必死に追いかけてくるが……あいつ、魔力が切れてやがる……
最後の防御に全魔力を回した訳か………って……
「何呑気に考えてんだ俺!!」
「手を……のばせ!!」
「くっ!!」
あと数秒で地面に墜落してしまう、いくらバリアジャケットがあってもキツイものはキツイ……
あの高さから墜ちたら……ただではすまない………
「う……がっ……!!」
クロノの手が中を切る、もう、間に合わない
「おーーーーー」
「なっ!?」
「りゃーーーーーーーーー!!」
バシッと横から強い衝撃
反射的に目をつぶる……抱きしめられてる?
「フゥー、間一髪やったな~
大丈夫か~」
「えっと……ありがと………」
目を開けるとそこには短髪の女の子
白の帽子を被っていて傍にはなんかかっこいい本
うん、あれだね………
「大丈夫かケント!?
………ん、背、縮んでないか?」
「うわっ、なんでケント君がこんなとこおるん!?」
俺を俗に言う『お姫様抱っこ』しながらこっちを覗き込んでくる彼女……ん?お姫様抱っこ?
逆じゃね?