リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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事件後

 

「はぁ……悩む事ばっかりだ……」

 

自室のベッドに腰をかける

もう夕方……空は赤く染まっている

 

あの爆発の後、色々と大変だった

教会のお偉いさん達からの謝罪、現場検証になんやら……

まあ一言で言うと……プールどころではなかったと言う事………

まあそんな事はどうでもいい、俺が一番堪えたのは………

 

「カリム……だよなぁ……」

 

カリムの落ち込みぐあいが半端なかった

まあ当然と言えば当然、自分が提案した事のせいで俺や教会の子供達を危険に晒してしまったのだ、元が優しいカリムが塞ぎこむのも当然

とりあえず俺がした事はぬいぐるみを渡して来た子供たちとカリムの安全の確保

教会としては俺との接点を作る為にカリムを近づけたのだ……だがそれが仇となって返って来た……

これでコルテットが教会を見放してしまうと教会の権力が一気に落ちてしまう……それ程までに『巨大な組織』はコルテットに依存してしまっている

一応『教会』だけあって聖王様やらなんやら言ってるので手荒な真似はしないと思うが……それでも安心は出来ない

お偉いさんの騎士達に俺から直々に釘を刺しておいたんで大丈夫だと思うが……不安だ

まあもし何かがあった場合シスターシャッハに連絡してもらうので対応はできる……と思う……

 

「フゥ……それにしても……」

 

問題はそこからだ、この事件、考えれば考える程悪い方向にしかいかない

まず爆弾、何故あれを持ち込む事が出来たのか………

爆弾を渡して来たあの子がナンバーズの5番、『チンク』だったのなら話はわかるが……三人とも普通の子供達だった

体の作りから魔力量まで至って平凡、戦闘機人であるはずがない

だったら外で作られた爆弾になるのだが……これも不自然

あそこはコルテット私有地のプール、俺が参加しているのはコルテットの人間全員が知っている筈なのでプールに入る時には空港ビックリの超最先端技術で検査した筈なのだ………

コルテットの技術を欺く程の技術……あり得ん……あの変態マッドサイエンティストなら話は別だが一体何の得がある?

てかこの時期に動いていたか?

 

そして動機……簡単に捉えると『コルテット潰し』だろう

一人息子で次期跡取りである俺を潰すと言う事はそれだけコルテットの力を弱める事が出来る

ただ、それだけではない

さっきも説明した様に『巨大な組織』程コルテットに依存している

では『巨大な組織』とは一体何を指すだろうか?

おそらく代表的なのは

 

・本局

・地上本部

・聖王教会

 

この三つ、つまりコルテットを潰すと言う事はこの三つの大組織に多大なダメージを与える事にもなるのだ

さらに今回は聖王教会関係者が多く関わっている……ここでもし俺が普通の六歳児の感性であったならば聖王教会自体に与えるダメージは非常に大きかっただろう

まああくまでも『六歳児の感性』だったらの話なのだが……俺としてはこれ以上カリムに泣いてほしくないと言うのが大きい………

 

まぁ、ここまではこんな感じていいだろう……本題はここから

最初に話した『コルテットを欺ける程の技術』

普通はあり得ない、変態なら出来るかもしれないがやはり今回の事での『得』が見当たらない

それにおじさん?今の時代の変態はバリバリの青年だ、おじさんではないだろう

 

なら変態は外すとする……そしたらそんな技術を持つ相手なんて俺は一つしか思い浮かばない

 

『同じコルテット』

 

コルテットの技術に対抗出来るのは同じコルテットだけだ、それならば納得がいく

それに……今爺やその他諸々が犯人を調べているのだが……一行に手がかりがない

おかしすぎる、捜査にもコルテットの最新技術を扱っている筈……それなのに何の進展も無いなんて……

くそっ、よく『巨大な組織には必ず影がある』とか言ってるのに……油断した、もうどこにも『安全』はねーじゃねーかよ……

 

バタンッ、とベッドに大の字で寝転がる

 

コルテット家の一人息子からこれだけ完璧に逃げ切ってみせてるんだ……相手はコルテットの中でもかなりの権力者と考えて間違いない

俺を殺して次期社長になりたいってか?

別にいい、好きにしてくれ

俺がここにいるのは俺を育ててくれた爺やメイド達、危険を冒して俺を守ってくれているSP達に多大な恩があるからだ、コルテットから逃げ出す事は出来ると

思うがそうなった場合彼らの立場はどうなる?

それがあるから俺はここにいるだけ、二度しか会ったことない両親には何の思いいれもないし家の事情に振り回されるのもうんざりしてるんだ………てか父さんも母さんも……殆ど顔を覚えていないんだがいい人そうだったのにな………

生まれた時には二人して泣いてくれたんだっけ?

二度目に会った時は忙しいのにわざわざ無理して時間をとって一緒に寝てくれたのにな………

それが今では顔も出さない連絡もない………ふざけんなっつーの………

 

「失礼します」

 

「ん~、いいぞ」

 

爺が部屋に訪ねてくる

こいつにも迷惑かけっぱなしだな………

 

「やはり痕跡は何も見つからず……申し訳ありません……必ずや爺が……鮫島の名にかけて見つけてみせます!!」

 

「ありがとう、でもあまり無理すんなよ」

 

「ハイッ!!」

 

相変わらず年寄りとは思えない元気さで返事をする爺

この人は……信用してもいいんだよな………

 

はぁ……とりあえず今回の事件は何か手がかりが見つかるまで保留……と言う事にしておこう……

 

先ずは目先の問題……カリムだな……

純粋な彼女だからこそ今回の事で一番傷ついた筈………

俺としてはカリムに塞ぎ込んでほしくないんだが……男として女の子を泣かせるとか最低じゃん?

罪悪感やばいんだよね、カリム可愛いから余計に………

ロッサの件もあるし………どうするか……

 


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