「実技の試験……ね」
「ケントさんはどうするのですか?
貴方の実力では相手が出来る人は早々いませんよ」
いつも通り庭で昼飯を食べる
隣にはロッサ、さっき俺のおかずを欲しそうに見ていたのであげた、肉料理だと思うがよくわからん
俺にとっては生前に食べていたスーパーで安売りしている肉が尊い
ハンバーガーとか食べてないからな、この六年間、地球に帰ったらポテトとか食いてぇな、帰れるかわからないけど……
それはそうと今話しているのは二学期中盤にある『テスト』
学校で習う教科なら楽勝なのだが……今回からは魔法学と共に魔法を使った『実技』があるのだ
内容は……基本的には一対一の真剣勝負、もちろん非殺傷設定、審判は学校の先生が行い、先生の判断で勝ち負けが決定する
ぶっちゃけ………嫌だ
どうせ俺が出ても相手が勝手に負けに来るのはわかっているのだ、ドキドキもワクワクもない
それにその日は保護者の見学も許される、さらに聖王教会の騎士が視察、先輩方から未来の騎士候補を選抜するわけだ
まあそれでも入りたての一年だって見に来る、どう映るのだろう………コルテットという『権力』に跪き、わざと負けに来る子供というのは…………
頭ではわかっているとは思うがいい気はしない……その子の夢が騎士なのだとしたら、その憧れの騎士の面前で恥を晒す事になる……
さて、どうなる事やら………
「大丈夫です、先生と互角に戦えるのですから、ケントさんが負ける事は有りません」
「うん、そこまで強いのかい?ケントは………また見してもらってもいいかい?」
「ん、邪魔になる訳でもないからいいぞ」
カリムはどうやら俺の心配をしていたらしい………俺の事はどうでもいい、どうせつまらない試合になる事は決まっているのだから
「と、なると……一体誰がケントさんと試合をするのでしょうか?」
「初めての模擬戦は魔力値が同じぐらいの人とだった気がするよ、確か一年生は……AA−の子がいたんじゃないかな?」
まあ、俺が教師の立場ならそういう組み方はするよな……
まだ『魔法』と言うものを学び始めたばかりの一年生、誰が強いや誰が弱いなどもまだ何もわかっていない為に魔力値で試合を組む……妥当だ
と、なると必然的に俺の相手はAA−の奴とになる……可哀想に、AA−と言えば管理局では隊長クラス、騎士では中隊長には確定のエリートコース
それが俺なんかがいるせいで直ぐに挫折……か………こればかりはどうしよもない
「当日は見に行かせてもらうよ」
「好きにしてくれ」
どうせ爺やらなんやらが見に来るのだろう……またうるさくなるな……
「あ、そう言えばケント、少し提案があるんだが……」
「提案?」
ロッサが?珍しい………
「僕の親友に執務官志望の男の子がいるんだ、実力は十分だと思うんだが……会ってみないかい?」
「俺が一人で出歩けるとでも?」
「もちろん学校の施設を使うさ」
普通そんな提案しないだろ……てか執務官志望なんだったら余計だ
てかそれってクロノ確定でいいんだよな……まだ最年少執務官になっていなかった筈だし……
それより……クロノと模擬戦か………
学校の施設を使ったらいつも通り爺達にバレずに済むな……あいつの『頭脳』とは一回戦ってみたいと思ってたし………
「……………わかった、それじゃあ次の日曜日でどうだ」
「OK、じゃあ親友にも連絡をいれておく
テスト前のいい訓練になるんじゃないか?」
いい訓練……ね
俺は今まで担任としか戦った事がないからな………楽しみだ……
「それってクロノさんの事ですよね」
「そうだよ姉さん、いい勝負すると思わないかい?」
「確かに……あの年であそこまで戦える魔導師はなかなかいませんからね、いい経験になるでしょう」
シャッハさん、貴方も大概です
貴方の年であそこまで戦える人はいません、この前同じ学年の男子を薙ぎ倒して行くところ見ましたよ
あと、カリムは戦闘は出来るのだろうか……原作でもレアスキルしか使ってなかったが……
その前に魔力がほぼ0の奴はどうしたらいいんだ?
「魔力が0の人ですか?その人達は筆記で勝負……ですね
実技が無い分より多くの知識が試されます、点数は実際こっちの方が取りやすいですね」
まあ……当たり前か
局員だって全員戦う訳じゃない、事務仕事を全般的にやる人達、いわゆるロングアーチだっている
他にもデバイスマスターやらなんやら……道は広いって訳か……俺の道は一本しかないのだが………
「審判は………ケントのクラスの担任に見てもらおうか、彼なら公平に審判してくれるだろうし」
「決まりだな、まあ向こうの予定とかもあるだろうから駄目だったら言ってきてくれ、迷惑をかけたくもないし」
「了解だよ」
さて、原作執務官はフェイトを一対一で倒してたし(漫画)、俺はどこまで通じるか……