リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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クロノが執務官になるのは諸事項で原作よりも少し遅いです



クロノ

 

「ブレイズ」

 

「くっ!!」

 

「キャノン!!」

 

青の弾丸が俺に襲いかかる、逃げる事は、出来ない……

腕には青の拘束具、ガッチリ縛られている為に身動きがとれないのだ、この前では、ゲームオーバー……

 

「負けるか……よぉぉぉぉ!!」

 

「バインドを!?」

 

右腕に魔力を流して身体強化、『力づく』という荒技でバインドを粉砕する

手に持つデュランダルでともう片方のバインドも粉砕し……自身が持てる最高速度でその場を離脱する

『対魔力』なんて大層な物を持たない俺では危なかった、白い魔王様程ではないとしても直撃すれは致命傷だっただろう

 

「スティンガー!!」

 

「風王鉄槌(ストライクエア)!!」

 

相手が牽制の為に放ったスティンガーを大出力の突風で薙ぎ払う

今が、チャンス!!

 

「はっ!!」

 

「っ!?風にのって!!」

 

大きく一本踏み出し、自身が起こした風に乗って相手に急接近する

俺のスタイルは《近づいて斬れ》、これまでの戦いで相手もそれを理解しているはずだ、俺が近づいた事に焦っている……はず!?

 

「っ!?ぐおっ!!」

 

「くっ、避けたか」

 

脳裏によぎった少し先のビジョンを回避する為に突風にあえて逆らい、その場を転がりながら離脱する

突風の直線上には青い魔力光………またバインド!!

 

「蒼穹を駆ける白銀の翼

疾れ、風の剣」

 

「デュランダル!!」

 

デュランダルに魔力を溜める

あちこちにバインドがかけられてある………だったら、全て斬り伏せるのみ!!

 

「(偽)エクス」

 

「ブライズ」

 

「カリバァァァァ!!」

 

「キャノン!!」

 

俺の(偽)エクスカリバーと相手のキャノンがつば競り合う

明らかに此方が不利、このままでは押し負ける事が容易に見える

だが……真っ正面から相手をしようと言う訳ではないのだ

 

「はぁ!!」

 

つば競り合いから瞬時に離脱して駆け出す

相手はまだ反応出来きていない、当たり前だ、今の俺は『最速』

剣の英霊ではない、それを覆す『主張』によってあり得ないスピードを出す

デュランダルにはまだ魔力が溜まっている、そして後ろを………獲った!!

 

「(偽)エクス、カリバァァァァ!!」

 

真後ろから一気に振り下ろす

反応さえ出来ていない、いまなら……っ!?

 

「ぐっ!?」

 

「………………」

 

デュランダルを振り下ろそうとした体に絡みつく鎖

さっきまでのバインドとは違う、もっと強度な、頑丈なバインド……何時の間に……

 

「ブレイズの発射前に詠唱を、死角に回られた時の保険だよ」

 

「クソッ!!」

 

必死に振りほどこうとするが……無理だ

その間に相手がデバイスを俺に突きつける、勝負、有りか………

 

「うむ、勝者、クロノ・ハラオウン!!」

 

離れた所で見ていた担任が声をあげる

近寄って来るカリム達……俺の負けか……

 

 

 

 

 

 

「ガッハッハ、どちらも流石、クロノ……と言ったかの、お主は何を志望しとるんじゃ?」

 

「今の所は執務官を……」

 

「執務官、のぅ、勿体無い、実に勿体無い、お主程の実力者ならばさぞかそ立派な騎士になっただろうに」

 

「アハハ……」

 

クロノが苦笑いをする

担任が言いたい事は分かるがクロノは管理局が運営している訓練校の生徒、あそこではStヒルデ魔法学院の様に騎士になりたいと言う子供は少ないだろう

そんな事はお構いなしに担任は「勿体無い」と連呼してどこかに行ってしまう、無理して審判をしてもらったんだ。お礼はしておいた

 

今日は休日、数日前にロッサが提案した様に今日は執務官志望の少年、『クロノ・ハラオウン』を相手に模擬戦をした

ちなみに彼は俺が『コルテット』だと言う事を知らない、知ったら本気を出してくれないだろ?

なので秘密にしていてくれる様にロッサ達に初めから頼んでおいた、カリムだけ『なぜ?』という顔をしていたのだが……素なのだろうか………

 

そんでもって結果は俺の完敗、最初はかなり優勢だったもののクロノは冷静に俺の戦闘方法を観察し、距離をとって近づけさせない方法で攻めてきた

その為に後半は一太刀も浴びせられず、最後はクロノの罠に引っかかって試合終了

 

今考えたらこれ、フェイトと戦った時と全く同じ方法でやられたんだよな俺……情けない……

 

「うん、両方とも凄かったよ、僕ならあんなに動けないからね」

 

「そうですね、流石でした……ですがクロノさん!!」

 

「え?」

 

クロノは自分に振られるとは思っていなかったのだろう、思わず素っ頓狂な声をあげてシスターシャッハに返事をする

 

「えっ?ではありません!!なんですかあの逃げ腰は!!もっと正々堂々戦いなさい!!」

 

「で、でもあれが一番適切だと思いましたし……」

 

「砲撃が出来ないケントさんに遠くから牽制のスフィアと砲撃、バインドを繰り返してどうしろと?」

 

「えっと………」

 

困った様な顔をするクロノ

 

許してやれよシャッハさん……ああいう戦い方は俺の苦手分野である事に変わりはないけど………

 

「それにしても最後のあれ、どういう仕掛けだい?普通あんなスピードを出すなんて容易じゃない筈だけど……」

 

「ん?ああ、風の性質変化の応用……とでも思っといてくれ」

 

皇帝特権を話す訳にもいかないからな……

 

「こう見えても結構ギリギリだったんですよ、最初の猛攻は凄かったですし」

 

「む、確かに最初のケントさんは凄かったですね、私でもついていけるかどうか……」

 

そりゃ……主張してたからな

少年少女があの剣撃についてこられたら困る、あれでも一応『セイバー』のクラスなのだから

担任は別、あいつはいくつもの修羅場をくぐり抜けて来た怪物、そんじょそこらの騎士と一緒にしてはいけない

てかこの学校であいつより強い奴はいるのか?

 

「ケントさんはやはり『騎士』なのでしょうね、近距離戦では無敵なのではありませんか?」

 

「そうか?その前にまず『経験』がたりないからな、ちょっと頭を使われたら今の様にすぐ負ける」

 

頭脳戦は苦手だ、戦いの中で頭を使うとか難しすぎる、目先の事で精一杯だろ、普通

 

「今日はありがとう、いい勉強になった」

 

「こちらこそ」

 

俺より少しだけ背が高いクロノが笑って話しかけて来る、やっぱり小せえな、俺もセイバーなので元が女だけあって背は小さいのだが……小一と張り合えるって……

なぜStsであそこまで立派になったのかが不思議だ

 

「今度は僕の学校に来てみないか?歓迎するよ」

 

「え?あ~、ちょっとした事情聴取があってな、ここじゃないと駄目なんだよ」

 

ここ意外じゃ模擬戦の事バレる、それにSPをジャンジャカ引き連れて訓練校って……相手に悪いだろ、どう考えても

まあクロノは俺を普通の子供として誘ってくれたんだ、彼に非は無いんだけどな

 

「そんな事より執務官試験、いつからなんだ?受かれば最年少だろ?」

 

「まあね、受けるのは丁度来年、誕生日の直ぐ後だ」

 

今のクロノが12歳だから……クロノが執務官になるのは13と言う訳か

原作の丁度一年前だな、誕生日の後って事は

 

「ロッサはいつ査察官の試験を受けるんだい?勉強はしてるんだろ?」

 

「そうだね、まだ少し自身がないからクロノと同じ時期に受けようと思ってる。」

 

と、言う事はロッサも13で査察官か……

彼のレアスキルはそっち方面に上手く使えるからな、個人情報保護法やら人権やら全部無視してるけど

てか来年って事はシャッハが卒業なんだよな、彼女はどうするのだろうか……実力は問題無いから正式にシスターになるのかな

 

「ケントさんは何になるのですか?やはりコルテットの次期社長?」

 

「コルテット?どういう事だ?」

 

「あっ」

 

「「「……………………。」」」

 

やっぱりカリムは天然だ

 


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