リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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聖王教会

「不可能と言われた闇の書完全破壊、第97管理外世界……ね……」

 

インターネットをいじりながら記事に目を通す

画面には次元航空戦、『アースラ』の画像、グレアム提督の画像やクロノの画像もある

 

俺が『魔法』と言う物に触れてから三年……その間にあった事は……特に何もない

敷いて言えば、クロノとロッサが無事試験に合格した事、それと…いや、これはまた今度にでも話す事にしよう……

 

初等科三年生になった俺は学園内では『成績優秀』『最強生徒』など言われているが………まあ、そうなんだろう

初等科の勉強内容は魔法学以外は前世と相変わらず変わらない、それでも高等科になった時に苦労するのは目に見えているので今では高等科の予習をしている始末、それが知られたせいで『神童』のレッテルが何時の間にか貼られてしまった………高等科になった時どうなるか……成績は下がる事間違いないし……

そんでもって魔法を使った戦闘……三年前にした初めての『実技』結果は……目に見えている

もともと相手は負けるつもりで臨み、そうでなくても差は歴然、俺が負ける要素は一切ない

それが今ままでずっと続く筈だったのだが……ある日担任が乗り込んで来たのはマジでビビった……そんでもって同級生との模擬戦を完全に無視して担任との一対一

前にも述べた事がある様に担任は陸戦SSの元騎士

騎士を目指している人間で彼を知らない奴はまずいない、なのにその騎士と生徒が互角に渡りあっている……それまで『コルテット』の力で軽視されていた『俺自身』の実力が周りに知れ渡ってしまったのだ………

そのせいで今の俺についている二つ名が『剣姫』

誰だこれ考えた奴、ちょっと絞めるから出てこい

何が『姫』だ何が

 

ちなみに、俺と試合をし始めた担任が言うには「勿体無い」と言う事

なんでも実力を持っているのにそれを出せないなんて勿体無いと言う事……後からグチグチ騒がしかったコルテットの関係者は俺がなんとか押しとどめた、あの時は……しんどかった……

結果は俺の負けだったからな、グチグチ言われるのもしょうがない

 

「失礼します」

 

「おう、入ってくれ」

 

そう言って俺の部屋に入ってくるのは爺、ある程度年をとっている筈なのだがこいつ、全然年を感じさせねぇ

相変わらずの調子だ

 

「ロッサ様が迎えに来ております、行ってらっしゃいませ」

 

「どうせSPは付けるんだろ?まあ遅くならない様にはする」

 

普段着に着替えて部屋を出る

あれからの三年間、ロッサやカリム、クロノとの関係は相変わらずだ

三人ともいい奴なんだが……気を抜いた事はない

いつ、どこで本性を見せるかわからないのだ、この三年間で薄汚い大人やその子供は山の様に見て来た、逆に彼らとの関係がいまでも続いている事に疑問を抱く

 

「やあ、元気かい?」

 

「相変わらずだ、今日は世話になる」

 

「御免ね、頼んだのはこっちなのに」

 

「別にいい、学校以外、外に出る事は久しぶりだしな」

 

コルテットが用意した車に二人で乗り込む

前には先導車、後ろには俺を守る為に何台も車がついて来ているが慣れた

何度も襲われているが一度も攫われた事がないのだ、こいつらの事は俺が一番信用している

 

「それにしてもよく許してくれたものだね、今回も駄目だと思ってたのに」

 

「少し頑張った、それだけだよ」

 

今日俺が行くのは聖王教会、ロッサとカリムからお茶会に誘われたのが始まりだ

実際何度も彼らには誘われているのだが……今まで全て断らせてもらっていた

 

どこに行くのもSP必須の俺だ、唯一一人でいれる場所は学校ぐらい

そんな俺が薄汚い大人がうじゃうじゃいる聖王教会へ?馬鹿言え、無理に決まっている

 

だが………断るたびにカリムが涙目になるのが凄い罪悪感で……今回こっちが折れて聖王教会に行く事になったのだ

勿論の事ながらSPは必須、今もこうして車から、ビルの屋上から、人工衛星から見張られている

教会騎士も数十人体制で守護している……移動だけでこれだけの人数が動くのだ、もう慣れたが……

 

「今回はクロノも来るからね、久々だろ?」

 

「そうだな、このところ顔合わせてなかったし……」

 

あいつは地球での任務に忙しかった筈だしな

クロノとはあれからちょくちょく模擬戦を繰り返している、最初はあいつも俺の立場を考慮していたのだが……それではつまらないと手加減しているあいつに大きいのを一発食らわし、さらに怒鳴りつけたことによって今では好敵手になりつつある

ちなみに戦歴は俺の負け越し、五回に一度勝つか勝たないかぐらい

 

「任務が丁度終わったらしいからね、具体的な内容は言えないんだけど………」

 

「言えないんだったらいいよ、一応機密なんだろ?」

 

「すまない」

 

まあ打倒だわな、多くの人間を殺したロストロギア『闇の書』、それの主が今も生きていて、更には事件の元凶でもある守護騎士も生きている

管理局からしたらこれから手に入る貴重な戦力、教会からしたらカリムとロッサと同じ古代ベルカのレアスキルを持つ魔導師……隠したいのも頷ける

ただ………やはり人の噂を止めるなど不可能、ネットで調べれば出てきた内容なので知っている人は多いとおもうが……

 

まあ……今は教会だな

カリムに癒してもらおう……このところ疲れが溜まって堪らない……

 

「あ、ついたみたいだ」

 

車が止まる

周りには花で囲まれた庭……外には何やら豪華な服を来たジジイがいるが……またか、

 

「ようこそいらっしゃいました聖王教会へ、私はこの教会に「ロッサ、行こう」代々伝わる騎士の……家系……で……」

 

一人張り切ってるジジイを無視して教会に入る

ジジイが俺と話がしたいとSPに必死に訴えているが……当然のごとく無視された

ジジイの周りに集まっていた大人達も我先に俺に気に入られようと前に出て来るが……全てSPに弾き飛ばされる

ああいう大人はもう見飽きた、最初は相手してやったのだがどいつもこいつも薄汚れた奴らばかり、これに関してはもう罪悪感なんて全くない

 

「凄いねケント……彼、聖王教会の中でもお偉いさんだよ?」

 

「俺には関係ない、今回俺はお茶会をしに来たんだ、あいつらに構う必要はない」

 

アハハ、とロッサが苦笑いする

この様子だとロッサ自身もあんな事になっていると思っていなかったのだろう、流石に査察官にまでなると薄汚い世界なんかも理解しないといけないからな

カツカツとロッサに案内して貰いながら廊下を歩く

そらにしても……綺麗だな

窓には一面ステンドグラスで神秘さを強調している、今回は行かないのだが礼拝堂とかにも行って見たいな

 

「あっ、ここだよ」

 

廊下の途中にある一つのドアをロッサが開ける

中からは女性の談笑声、クロノの声も混じってるな

カリムとシャッハとクロノと……もう一人

誰だ?どこかで聞いたことがあるのだが………

 

「あ、いらっしゃいケントさん」

 

「久しぶりだなケント、元気にしてたか?」

 

「お久しぶりですケントさん」

 

「えっ?誰なんあの子!?」

 

黄色と青紫と黒と栗色がそれぞれこちらを向く

カリムはいつも通りのほほんと、シャッハは卒業してから殆ど会えなかったので久しぶり、クロノは相変わらず身長が伸びていない

そして栗色……短髪のショートヘアにバッテンの髪留め……そして車椅子……あっ……

 

 

 

なんでこんなところにいんだ?『八神はやて』

 


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