リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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黒歴史 1

 

ピョンッ!!

 

「…………………。」

 

さて、こんにちは、ケントだ

 

今日はまた教会にお呼ばれしている、クロノとはやても偶々ミッドチルダに来ていた為に会いに来てくれるらしい

まあ、そんなことはいい、今俺がいるのは自室、化粧台?の様な場所にある鏡をジーと見つめてみる

 

自画自賛……なのだがやっぱりセイバー、可愛い事は可愛い

金髪にエメラルドの瞳、顔は小顔で整っている、そして………

 

このアホ毛……

 

 

ピョンッ!!

 

 

「……………………。」

 

このアホ毛、一言で言えば『強力』

 

普通寝癖などで立った髪の毛は風呂に入るなどすれば自然と直るものだが、このアホ毛はプールに入ってもお風呂に入っても湿ったまま立ち続ける

中に針金でも入っているのだろうか?

 

 

ピョンッ!!

 

 

手を使って少しチカラをいれ、離す

やっぱりアホ毛は元の場所にピョンッ、と効果音を立てて戻る

これも可愛い事は可愛いのだが……

 

 

 

ピョンッ!!

 

 

 

確か原作ではこれを引っこ抜く、もしくは強く握ると『セイバーオルタ』になってしまう筈

あれだろ、性格が変わってしまうやつ

そして俺、そしてこのアホ毛

最高神は『青セイバー』と『赤セイバー』を同一視しちまう様な奴だ、『オルタ』があっても可笑しくない

ただ……黒歴史を作るのが怖い、なんかいつもの俺と違う事をしてしまいそうで……

ただ一度確認しないと『不安』が残るのも事実、もし何かの拍子でアホ毛が抜けてしまったら……その時の対処法が思いつかない………

可能性は低いが『オルタ』が無い……とも考えられる……う~ん……

 

 

ピョンッ!!

 

 

(教会に行くまでは時間あるし……もしオルタになってもすぐに効果が切れるか?)

 

ぶっちゃけ今検証する必要も無いのだが一度考え始めたら止まらない

という訳でアホ毛を思いっきり握ってみる事にした、教会に行くまでに効果が切れれば何も問題ない、洗脳された訳ではないのだ、ある程度の制止は効く……筈……

 

さて………

 

アホ毛に手を添える

抜くのは勘弁、セイバーの容姿なのだ、十円ハゲだけはなりたくない

……では!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケント様!!ご無事でございますか!?」

 

「ケント様の安否と爆発の原因を調べろ!!急げ!!」

 

コルテット内が騒がしくなる

警備員やSP、メイド達が所狭しと走り回る

原因はついさっき起きた爆発音、さらに場所はケントの自室………

もしコルテットの一人息子に何か惨事があれば一大事、武装をした人間が大至急ケントの安否を確認しに走る

 

「「「ケント様!!」」」

 

大勢の人間が一斉にドアを開ける

だが……その瞬間だった

 

「グハッ!!」「グエッ!!」「ガハッ!!」

 

突入した大人達が一斉に空へ飛ぶ

いや、弾き飛ばされた

それに飛ばされたのは全員比較的ゴツイ……というか男ばかり

メイド達、女勢は全くの無傷

 

「ウダウダウダウダと騒がしい、なんだ、俺の休息を妨げる気か?」

 

『えっ?』

 

それを見ていた皆が全員思っただろう

まず、ケントの声が少し違う……なんというか、明るいのか暗いのかよくわからない

それでも『ケントの声』と認識出来るのが不思議だ

そしてもう一つ、ベッドに座りながらこちらにデュランダルを突き出しているケント自身

見間違いかもしれないが……肌が少し白い気がする

ハッキリとした金髪も白身が増したと言うべきか……目の色も少しばかり黄色い

 

「全く、今回は我の器の大きさに免じて許そう、ただ……次はないぞ?それはそうと外へくりだす、支度をしろ」

 

「そ、外へですか!?外へは鮫島様の許可が無いtっゲブシッ!!」

 

ケントの問いに答えた小太りのSPが弾き飛ばされる

ただ、先ほど飛ばされた人間も何事もなく回復しているのでそれ程強くはないらしいが

 

「馬鹿たれ、俺に報告する人間は美少年、美老人、美少女、『美』がつく者以外認めん」

 

(なんて横暴)

 

そこにいた全員が思った事だ

少なくとも、いつものケントはこんなのではない……何があったのだろうか………

 

「フッ、まあ事情はわかった、ようは我が外に出るには鮫島の許可が必要だと」

 

「あ、ハイ、ケント様のお世話の総責任者は鮫島様なので……」

 

いかにも『アイドル』の体型をしたメイドが一歩前に出る

これには先ほどの様に吹っ飛ばされる事もなかった……納得したのだろうか?

 

「総責任者……フッ、笑わせるな、いつから我が鮫島の配下となった、我の行動を制限される筋合いはない」

 

「で、ですが!!」

 

「我が外に出ると言ったのだ!!支度をしろ!!」

 

『は、はい!!』

 

その剣幕に圧倒されて次々と持ち場へつくコルテットの人間達………普通のケントならこんな事は言わない

皆が『偽物』と疑っただろうが………なぜか心の中であれが『本物』だと断定出来る

なぜなのだろうか?

 

「ふん、ならば我は外に出る為の服を選ばなければならぬな」

 

「服でございますか?それならこちらに……」

 

「むっ、どれどれ………」

 

一つ一つ『高級品』だと一目でわかる服を選ぶケント

だが、その中にはケントが着たい服はなかったらしい、すぐに服を放り投げたかと思うとネットを開く

ちなみに放り投げた服、地味にケントのお気に入りだったりもする

 

「ほう、これはいい」

 

「どれでございまっゲブッ!!」

 

覗き込んで来た男をデュランダルでぶっ飛ばすケント

数十メートル飛んだかと思うが……大丈夫なのだろう

 

「こ、これでございますか!?」

 

「何か意見でも?」

 

「いえ!!なんでもございません!!」

 

画面を見て来たメイドが驚愕の顔をするがケントは特に問題なし……と言った様にそれを切り捨てる

その間に……やはり一流、というところか?

何時の間にか車や守護するSP達も待機している

だが服を注文したのは今、いくら早く届ける様に頼んだからと行って最短一時間はかかると書いていた、彼らの苦労は無駄だろう

 

「あの~、ケント様?」

 

「どうした」

 

「一体、どうしたのでしょうか?」

 

メイドの一人が恐る恐る聞いてくる

どう考えてもおかしすぎる、いつものケントではない……だが……

 

「お前……かわいいな」

 

「へっ?」

 

マジマジと顔を見つめられて『可愛い』なと言われたので恥ずかしい物は恥ずかしい

メイドはその場で葺いてしまうが……それだけではない

 

「誰か、絵の具とスケッチをもってこい!!」

 

「え、絵の具とスケッチ!?」

 

聞きなおす暇があるならばさっさと動けと催促させる

 

「あの……午後から聖王教会に……」

 

「む、確かにそうだったな、だが今は街に出ての食べ歩きが先だ」

 

「え?」

 

 

 

やっぱり、何ががおかしいケントだった

 


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