リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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黒歴史 2

 

 

「おい店主!!何をもたもたしている!!」

 

「す、すみません!!」

 

店の従業員がドタバタと動き回る

その中心にいるのは一人の少年、十人に聞けば十人とも『カッコいい』と答えるであろうその少年は目の前に山の様に積まれたフライドポテトを滝の様に口に運ぶ

 

……壮観である、一体どこにこれだけの数のフライドポテトが収納されているのだろうか……

そこに隣から一人のメイドが声をかける

 

「ケント様、そんな油まみれの食べ物、お体に毒でございます!!」

 

「食べたい物を好きなだけ食べて何が悪い、これは中々に美味であるぞ?」

 

「で、ですがヘブしっ!!」

 

そのメイドを押しのけて一人のSPが前に出たのだが……これまた見えない早さで突きつけられたデュランダルによって飛んで行く

 

「何度も言わせるな、我に声をかけて良いのは美少年と美老人、美少女はもっといい!!」

 

((((横暴だ!!)))))

 

「店主!!これは飽きた!!次はこのチーズバーガーという物をあるだけもってこい!!」

 

「はいぃぃぃぃ!!」

 

今ケントがいるのはミッドチルダ中心部クラナガン……にあるファーストフード店

そこを『貸切』状態にしてしまっていたりする

ケントがオルタ化してから早二時間、後一時間ぐらいで家にロッサが迎えにくるだろう

だが……そんな事も異も返さず店にある物をとにかく食いまくるケント……ちなみにこれで三店目だったりする

 

食べた物はポテトにハンバーガーにクレープに牛丼に………いつもの食事とはまさに180度違う食べ物のオンパレード

 

そして一番はケントの服装………いつものケントはバリアジャケットと同じ様に黒スーツを着ていたり、もっとこう、高級だがカジュアルな服を私生活では愛用していた

 

だが今回は違う……ケントが着ている服、俗に言う『ゴスロリ』

黒を基準としたフリル付きのスカート、更に半ケツ……半ケツである

 

もう美少年ではなく完璧な美少女、さらに痴女、街中を歩く時はSPを物珍しく皆が見るのだが……今回はケントの方が注目を集めていたのは紛れもない事実である

中にはケントを見て少し危ない奴もいたが……大丈夫だろう、多分………

 

「ほう、これも中々に美味だ、外の世界にはこの様な食物が存在したとはな」

 

「ありがとうございます」

 

店の店主が頭を下げる

コルテットの一人息子に賞賛されたのだ、暫くは客に人足が増えることだろう

 

「ふぅ、確か今日は教会に行く予定であったな、そろそろ帰るとしよう

その前に店主、このコーラという物をあるだけもってこい、一度飲んで見たかったのだ」

 

「そ、そんなドス黒い飲料はっゲフッ!!」

 

こりない奴らである、またデュランダルによって吹っ飛ばされてしまう

もうそれに対してのリアクションはない、慣れてしまったのだろうか?

 

「フム、やはり美味である、店主よ、大義であった」

 

「は、はぁ……」

 

満足したのかその場から立ち去るケント、その後を必死で追うメイドとSP達

ちなみに、そのファーストフード店を黒化したケントが買い取ったのはまた別の話……

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分大胆な格好をしているね……お尻出てるよ?」

 

「何を言っておる、見えているのではない、見せているのだ!!」

 

「そ、そうなんだ」

 

ロッサの顔が若干引きつっているのが遠目からでも分かる

どちらかと言うと引いているのか?

あのロッサが引く程の変わり様……それ程までにインパクトがあったのだろう……

 

「フム、やはりまだこの芸術性を理解する奴はいないか……」

 

「へ、へぇ、芸術なんだ」

 

「フッ、素肌を他人に晒して何が可笑しい、何も恥じる事はないではないか!!」

 

「ちょっ!?だからってここで脱がないでくれ!!」

 

服を脱ぎ出したケントを必死で抑えるロッサ

周りから見れば女の子がロッサに襲われている光景にしかみえない………

 

「フッ、何を恥ずかしがっておるのだ」

 

「イヤイヤイヤイヤ!!」

 

全力で首を横に振るロッサ

色々な意味でヤバイ、ここでケントが服を脱げばロッサに対して色々な疑いがかけられる

 

ゲイやら同性愛やらなんやら………

 

「と、とにかく教会に行こう!!何か悩みがあるなら相談に乗るよ」

 

「天を統べる我に悩みなど不要!!今の我は人生を思いっきり楽しんでおる!!」

 

「よっぽどの事があったんだね……今回はクロノもいるし……教会で話を聞こう」

 

「フッ、我を心配してくれておるのか?

やはりお主は可愛い奴よ」

 

「………………。」

 

もう無言である

それ程までに今のケントはどうかしてる

 

「それより絵の具とスケッチはまだか!!

今の我はロッサという美少年を心ゆくまでスケッチしたい衝動に駆られておる!!」

 

「美少年って……」

 

「ケント様!!これをグバハァッ!!」

 

「お主のような男に頼んでおらんわ!!

美少年や美老人、もしくは美少女に持ってこさせい!!」

 

「………………」

 

 

 

 

 

なぜかロッサはやさぐれたまま、静かに車に乗った

 


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