「はぁ~~~」
よくある『何とか海峡より深く~』と言ったような深い溜息をつく
俺が暴走……してから数日、あれからは………悲惨だった
マスコミやらネットやらで大々的に放送されたからな~、『コルテットの跡取りご乱心』って………
ホント、芸能ニュースはそれで独占、一番迷惑かけたのはカリム達か?
どこから調べたのかは知らないが俺たちがいつも一緒にいる事を掴み、接触しにくい俺ではなく俺の周りの人間に目をつけて来やがった
そんでもって聖王教会にはマスコミの波、自分のした事で他者に迷惑がかかるのはいい気分はしない
当然『コルテット』の力を使って全力で止めさせてもらった
詳しい事は『大人の事情』で分からないのだが………なんでもそれぞれの会社の『上』を軽く脅したのだろう
はっきり言って『コルテット』を全体的に敵に回すという事はこの世界では絶望的、その先に待っているものなど知れている
それ以来パタリと止んでしまった……マスコミはな
マスコミは頑張って止めたが『ネット』を止めるなんて逆の意味で絶望的、これはいくらコルテットでもお手上げ状態
はぁ……いつあの黒歴史が闇に葬りさられるのやら………
「失礼します」
「どうぞ~」
野太い声の持ち主が部屋のドアを開ける
コルテットのSPの一人だろう……片手には……ああ、またか……
「クソッ!!離せ!!」
「暴れるな!!」
片手には……少年……
髪は整っており全身から『お坊っちゃまオーラ』が嫌という程に感じ取れる………
「屋敷に侵入した者です、ケント様の友達と言い張るのですが………」
「くっ!!離せって言ってるだろ!!
僕を怒らせたらどうなるか分かっているのか!?僕のパパは管理局の准将だぞ!!」
どうしよもない親から生まれるのはどうしよもない子か………いちいち対応するのも面倒になってくる
「あっ!?いや~、こんにちは、ぼくは管理局の准将、エルドスカタロフの一人息子、オステリアカタロフって言って、知ってるだろ?僕のパパ、有名人だからね、それはそうと僕は君と少し話がしたくてさ~」
さっきまで騒いでいたのに俺を見ると一変、にこやかな笑みを作って気軽に話しかけてくる
………吐き気がする……面と向かうだけでも気分が悪い
しょっちゅう……という訳でもないがこういった輩はたまにいる
こいつの様な子供やナイスバディの大人の女性、俺より年下の幼女や本人直々になど……
皆『俺と仲良くなりたい』や『俺と話がしたい』など……そしてその背景にいるのが……権力者
目の前のこいつなんかはまだマシな方だ、恐らく親やその周りから頼まれてここに忍び込もうとしたのだろう、幼女も『お父さん』のお願いで捕まったりしている
たが……結果的にこいつらが見ているのは『コルテット』という組織、それと関係を持ちたいが為に俺と接触しようと……俺と関係を築こうとする……
一番堪えたのは数ヶ月前、一人の少女が捕まって俺の前に来た時だ
綺麗な子だった、だが痩せていた
そして彼女は自身が持つ全ての魔力を使ってSPの腕を振りほどき、『俺を押し倒してきた』
最初はビックリした、今までハニートラップは仕掛けられても『押し倒される』という事は無かった、しかもこんな子供に
そして泣きながら言うのだ「こうしないとまた怒られる」「お母さんが死んじゃう」……と………
SPが必死に彼女を俺から振りほどき、追い出そうとしたところを俺が止めた
勅命で彼女に身体検査を受けさせ……結果が身体中に残った切り傷や暴力の跡………
虐待………いくら俺でもそこまで人間やめていない、爺に命じて直ぐに彼女の父親を調査させ………潰した………
彼女の父親は巨大なIT企業の社長、それを木っ端微塵に、跡形もなく潰した
勿論そこに務めていた社員は全員『コルテット』に採用、彼女の母親はコルテットが保護
彼女は今、母親と一緒に暮らしているらしい
まあ、話は逸れたが俺が言いたいのは『コルテットを狙って近づいてくるやつもいる』と言う事
勿論、見たところこのお坊っちゃまにそう言った事情はありそうにないし………悪いがご退出願おう
「ちょっ!?何をする!!離せ!!」
俺が横に首を振るとSPが目の前のお坊っちゃまを連れて部屋から出て行く
はぁ………今月に入ってから三回目だな、よくコルテットの警備システムで死ななかったものだ……自動警備範囲に入る前に捕まえたのか?
話でしか聞いた事がないが……ワニとか普通にいるらしいからな……コルテットの技術ならリアル『ジュラシックパーク』とか作ってそうで怖い
はぁ…………うるさいのも出て行った訳だし……研究所潰しでも始めますかね
そう言えばクロノとはやてが地球である事件に当たってるらしい、十中八九『闇の欠片』だろうが……俺には関係ないか
さて、研究所を潰す前に掲示板でも潰すか?
あんな黒歴史ほっとくのも嫌だしな