さて、少しだけ考えてみよう
さっき俺は『爺に相談してみる』と言ったが……無理じゃないか?
第97管理外世界『地球』、97という超高い数字を持ち、なおかつ管理外世界、更には魔法文化無し
さらには少し前にS級指定されたPT事件に同じくS級指定の闇の書事件………さらには絶賛S級事件中………
………無理じゃね?常識的に考えて
一応俺箱入りのお坊っちゃま、それなのにそんな危険極まりない世界に行きたい?
………断言しよう、絶対に不可能だ
全力で止められる事が目に見えている、俺が爺の立場でも止める
じゃあ、どうするか……
当然、過去の俺を見捨てるという選択肢は却下、そんな事してもし過去の俺が死ねばこの俺もどうなるか知ったこっちゃない
てか自分を見殺しにするなんて気分悪いだろ
だが今のところ手詰まり状態なのはどうしよもない事実……マジでどうなるか……
「一番手っ取り早いのは……脱走かな……」
今回ばかりは仕方がない、今まで周りに迷惑をかけたくないばかりにしてこなかったが………
だが問題はどうやって脱走するか……皮肉な話だがコルテットの警備システムは完ぺきだ、いくら皇帝特権を使ったも容易に抜け出す事は出来ない
さらには地球への移動、コルテットの技術を使えばほんの数分でたどり着けるかもしれないが許可をとれない状況で使う事はまず不可能、てかバレる
ホント手詰まりじゃねーか、俺の時はどうやって来たんだ?
腕を組んで考えるがいいアイデアが思いつかない
もっといい方法は無いのか?移動と脱走を一度で出来る様な………
「あるじゃねーか、適正があるかは知らないけど……」
ポンっと手のひらを拳で叩く
恐らく可能だろうが推測でしか無いので何とも言えないが……今のところこれしか手段はないのも事実
まあまずパソコンのスイッチを入れて地球の『座標』を調べる
確かフェイトが原作でどうたらこうたら言ってた筈だが……クソ長かったのだけは覚えてる
……流石に地球の座標なんて中々見つからないと思っていたが案外直ぐに見つかった、どうやら二つの事件のせいで比較的有名になってるようだ、ご丁寧に海鳴の座標を示してくれていた、相変わらずクソ長いのだが……
あとこれは余談だが……『冬木』っていう地名が出てきた時は流石に焦った、本物いたりしねーよな?
ま、まあ座標を紙に移し準備完了、あとは皇帝特権で主張すればいい
方法は簡単、『長距離転移魔法』を使う
はっきり言って転移魔法など一度も使った事がないヨチヨチベイビーがいきなり『長距離転移』など使うなど無謀なのだが……皇帝特権で一流にまで引き上げられているのだ、失敗はしない……多分………
間違えたら虚数空間に落ちる可能性があるのだが……大丈夫だよな……多分……
「さ、さてと」
デュランダルで一度セットアップし黒スーツを身に纏う
……この頃露出が激しい服にひかれるのは気のせいだろう……最近赤が好きな色になったのも……気のせいだと思いたい……
デュランダルを腰に刺して暗唱をする、ホントクソ長い座標だな、意味のわからん数字をただ言い続ける俺って周りから見れば変人にしか見えん
二分ぐらいの暗唱が終わりミッド式の黄金の魔方陣が光り輝く………軽く目を閉じて今からくる衝撃に備える
いきなり地面の中……などは無いと思うが……空中だったりはするかもしれない
海の中かもしれないし地面の上かもしれない、まあどんな状況でも対応出来る様に構える
ひときわ眩しく光り輝く黄金の魔力……エクスカリバーの時もこれぐらい演出してくれたら嬉しいんだけどな………
そして……足に軽い衝撃
どうやら空中でも海でもなく運良く地上に降りる事が出来たらしい
今の状況にふと安堵し、ゆっくりと目を開ける
ただ……そこで見たのは……
ピンク………
もうピンクとしか言いようがない、ハート形のオブジェにピンク色のフリルのついた服、そして………
髭の生えた『女性の様な格好をした人達』
額に汗がじわりと流れる
女の様な……いや、いい年したおっさん達の目線が俺を射殺す様に突き刺さる……英霊アルトリアもここまでの恐怖を感じた事があるのだろうか?
英霊エミヤでさえたじろぐであろうその空間はもはや『無限の剣製』など生ぬるい……
セイバー譲りの直感Aが警報を告げる、ここから早く逃げろと、早くしなければ命よりももっと大切な何かを失うと……
「かわ………」
「えっ?」
「「「可愛いーーーー!!」」」
「っ!?」
女口調だがかなり低い男声が決して広く無いこの空間に響く
魔の手が忍び寄る、ヤバすぎる、もう魔法の秘密などどうでもいい、今はただ……逃げるのみ!!
「デュランダル!!」
ストライクエアでの高速移動で唯一のドアの前まで移動し、デュランダルでドアを切り裂く
そこからはただただ走る、身体強化やらなんやらを全力で駆使してとにかく走る、ただ………
「こっちにいたわ!!」
「坊やーーー!!」
「怖くないわよーーー!!」
「一度だけ抱かせて~~」
「ひぃぃぃぃぃぃ!!」
あいつら、皇帝特権やら身体強化をフルに使ってもまだ追って来やがる!!
てか本気で童貞奪われそうなんだけど!!まだ九歳の俺に何欲情してんのあいつら!!
「坊やーーーー!!」
「デュ、デュランダルぅぅぅぅ!!」
ソニックフォーム顔負けのスピードで俺の目の前に洗われたオカマを非殺傷設定にしたデュランダルで斬りつける
なにが「アンッ」だ!!気持ち悪いだけだよ!!
てか応援呼ぶなお前!!数が半端なくなるだろ!!
「私も斬ってぇ~~」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
こいつら斬られることに快楽覚えやがった!!
迂闊に斬れないじゃねーかよ!!ただ単に気持ち悪いだけだし!!
てかなんで俺追っかけてきてんの!?確かにセイバーの容姿は俺もいいと思うけどこの男だか女だかよくわからんおっさん達を全員欲情させちまうぐらいなの!?
「全国ショタっ子同盟サミットに舞い降りた一人の天使!!何がなんでも捕まえるのよ!!」
「だだの変態の集まりじゃねーか!?」
なんだよ全国ショタっ子同盟サミットって!?
なに?そのど真ん中に俺が転移してきたの?
そりゃ天使やら神やらと間違えるわな!?黄金の魔力だし容姿セイバーだしショタだし!!
「くそっ!!気は進まないけど……」
このまま鬼ごっこしても逃げきれる自信は……無いな……
それにここについてからどでかい魔力感じるし………時間はあまりない……
「ショタっ子ぉぉぉぉ!!」
「『超特大』、ストライク……」
デュランダルに高密度の風を集める
相手の威圧感は半端ないが、もっと引き付ける………いけ!!
「エア!!」
「「「あああぁぁぁぁぁん!!」」」
気持ち悪い声を出しながら吹っ飛んでいくオカマ達
こんな事の為に本家セイバーも宝具を使われると思って無いだろうな……って………
「捕まえたぁぁぁぁぁ!!」
「っ!!」
上空からの強襲、だけど……
「転移!!」
「えっ?」
素っ頓狂な声をあげるオカマだが知らん
転移場所は巨大な魔力が充満している上空、結界内に転移など普通は出来ないだろうが『一流』をなめてもらっては困る
目の前からオカマが消える、黄金の魔力に包まれて移動した場所は真っ暗な結界内
そして真下には………満身創痍の俺と手に巨大な劔を持つユーリ……って!?
「ちょっ!!やべぇ!!」
UーD改めユーリが手に持っているのは俺の魔力の塊、そして記憶が正しければあれはユーリのフルドライブ、『エンシェントマトリクス』
ゲームだったら戦闘不能ぐらいですんだけど現実であれをくらったら死亡確定じゃねーか!!
それにあれ、俺の(偽)エクスカリバーじゃ太刀打ち出来ねぇほど魔力が圧縮されてやがる!!
それになんで俺とユーリが一対一で戦ってんだ?周りに原作キャラいないってどう言う事だよ!?
……くそっ、なんなんだよこの急展開!!
下でユーリがグダグダ言ってる様だが無視!!一気に俺向かって急降下する
あ~、後々大変だろうな~、でもこれ以外方法見つからねぇし………
「うおぉぉぉぉぉぉ」
叫び声をあげながら急降下する俺に流石のユーリも気づいたらしい、だが……遅い
「らぁ!!」
拳を思いっきりユーリの持つ劔へと叩きつける………
魔力の塊である劔が一瞬で粉々に破壊され、目を見開くユーリ
そう、これが、第三特典でもあり、戦闘用の為だけにあるレアスキル『破壊(クラッシュ)』
……………レアスキル登録とかめんどくさそ………