「……なのは、だったっけ?彼女の容体は?」
「うん、ケント君のおかげや、凄い早さで治ってる」
聖王教会の一室、はやてと二人きりの部屋で話す
どうやらカリム達は遠くへ出かけているらしい……卒業してから中々会えないな、まあみんな、立場上当然か?
あの『高町なのは撃墜事件』から一年、月日が過ぎるのは早いものだ……
彼女は順調に回復、今では立って歩く事もできる様になり、少しづつだが魔力も取り戻しているらしい………今では簡単なスフィアを生成出来る様になったとも聞いた
流石主人公……想像以上の回復力だ
「………ケント君」
「何?謝罪ならもう受け付けないけど……」
「うう……」
はやてが何かを言おうとして押し黙る
親友が元気になる一方で、はやてはこの一年間、暗くなる一方だ
理由は単純明快、俺の皇帝特権が世に知られた事……
『破壊』という稀少スキルに加えてこの才能……最早世間からは俺の事を『人』として接してくる人間はいない
当たり前だ、この世の全ての人間が経験し、苦悩し、成し遂げた『努力』という概念を完璧に破壊してしまったのだ、所詮俺は、努力無し強者
その事もあり、世間からの嫉妬や羨ましいが為の八つ当たりなど、誹謗中傷が断然増えた
『剣姫』の二つ名は未だに健在だが今では『ドーピング野郎』とも言われている、俺の実力が、俺の努力が、俺の苦悩が、全て『皇帝特権』によってのものだと思われている
まぁ、否定はしない、今まで何度これに助けられたかわからない
だが……俺の事を知った様な口で話すのはやめてほしい……流石の俺もそれは堪える
そして、その事を知らないはやてではない
自分が迷惑かけなければ、自分が頼らなければ、自分が泣き付いたりしなければ……と、大概心の中で思っているのだろう
原作通りなら悩みを溜め込みやすい性格みたいだからな……なのはの様に無理しないといいのだが……
「ま、間に合いました」
「久しぶり、カリム」
「はい、お久しぶりです」
息を切らしながら入ってきたのはカリム
彼女も随分と大きくなった、と、いうかもう十八なんだよな……立派な女性だ
体つきもすっかりStsと変わらない……ここから全くふけないんだろ?怖い話だ
それにしても息を切らしているから……余程急いでいたのだろうか?
「ケントさんが来ていると聞いて、はやても久しぶり」
「久しぶりやなぁカリム、どや?またおっぱい大っきくなったんちゃうか?」
「きゃっ!?ケ、ケントさんが!!」
「いいではないかいいではないか~」
目の前で広げられる光景から目を反らす
………それでもはやても原作とだいぶ近づいて来た、こう、エロい所とか……
どこでこうなったのだろうか?昔のはやてはどこいった
「フゥ~、いい弾力でその大きさ、ほんまカリムは魔性の女やな~」
「うう……」
………どうやら終わったらしい、
目線を戻すと少し衣服が乱れたカリム、ぶっちゃけエロい、てか男がいる前でなんて事してくれてんだ
ゴホン、話を戻そう……
そうだな……この一年であった事は……ああ、そうだ
フェイトと会った事か?流石に一人では会えないからクロノが同伴していたが……
理由は簡単、なのはを助けた事
はっきり言おう……すごく可愛かった
髪は下ろしてたな、前世がフェイ党だったのでその影響は当然あるのだが思わず見惚れてしまった俺は悪くない
その後少しだけ話したぐらいか?
クロノの立場もあるので長々とは話せなかったのだが………このときはビビった
向こうが俺に対して質問して来た時だ
「どうしてケントさんは……そんなに淋しそうな目をしてるんですか?」
だったっけな………流石……フェイトさんってとこだな
どうやら彼女の様なキャラにはお見通しらしい、これじゃあなのはと対面したらなんて言われるか分かったもんじゃない
まぁ……実質会ったのはそれから二回、計三回
執務官試験を受けているんだったな、どうやら今のところ一度落ちているらしいが……なのはの回復が順調なので次ぐらいで合格するか?
一度会ったのだ、一応だが顔見知り……
合格してほしいのは当たり前だろう?
「あら?そういえばリインフォースさんは?」
「リインは今日はお留守番や、みんな出かけてるからな~」
アハハ~と笑うはやて
そういえば……はやてが『Ⅱ』を完成させた
勿論、リインフォースⅡの事だ
ユーリの『砕け得ぬ闇』事件から数ヶ月後、初代リインフォースは皆に見送られながら消滅したらしい
そんでもって、そのデータを受け継いで作られたのがリインフォースⅡ、一度だけ会ったが……はっきり言って人形と間違える
てかあの大きさで苦労しないのか?
蚊とかが物凄く大きく見えるだろ……エゲつくねぇか?
俺だったら耐えられないのだが……
「守護騎士の皆さんも大変ですからね」
「そやな~、お仕事で中々みんな集まれへんからな~」
彼女達も自分達の罪を少しでも精算しようと頑張っているらしいからな……
相変わらず、主想いのいい奴らだ
まあそう言っても、俺が彼女達と直接会った事は数えられるくらいしかないんだけどな、話した回数も少ないし……
「ケント様」
「ん、何?」
「コルテットにお客がいらっしゃっています」
「………りょ~かい」
こういう風に『伝えられる』と言う事はそれ相応の権力者な筈だし……そうじゃないと入り口で追い出してる
「もう帰るん?」
「うん、ゴメンなカリム、来てもらったばっかりだけど」
「いえいえ、気にしないで下さい」
少ししょんぼりしていたカリムを慰める
てかカリムはなんであんなに急いで来たのだか……別に俺と会っても何の得にもならないだろうに……
逆に気を使わないといけないからしんどいんじゃないか?
まぁ……いいか………
部屋を出る、そこには恒例の俺の護衛がズラリ
「で、そのお客様というのは?」
「はい、地上本部の現中将の方です」
「脳内の状態は?」
「……………若干ですが……乱れている模様……」
と言う事は……操られてるな?
たく、中将様を操れるなんて殆どいないと思うんだが………まぁ、簡単に受け流すか