「アインへリアル?」
「はい、是非コルテットの技術を導入したいと」
目の前にいる髭のおっさんが見た目とは裏腹に優しそうな声で話しかけてくる
こんな声だせたんだな、テレビで見ているとかなりの厳格おじさんなのだが……
「あれに関してはもう作り始めている筈……何か不都合でもありましたか?」
「いえいえ、地上本部の象徴にもなるアインへリアルの設計にミスなどありません、ですが……警備システムが少し甘くてですね」
そこからたんたんと専門用語やらなんやらをふんだんに使って話し始める中将、もとい『レジアス・ゲイズ』
まぁ、内容は簡単、絶賛製作中の兵器、『アインへリアル』の警備システムの増強と強化
ただ、それだけならコルテットから直接買えばいい、わざわざこいつが足を運んだのは『コルテットがまだ発表していない新技術』や『今以上の技術の開発の催促』
簡単に言えば『勿体ぶらずにとっとと新しいもん出せやゴラァ!!』って感じ
どうやら『技術開発部』的な所からは断られたな、そうでなかったらわざわざ会いに来ないし
あと今のところ脳内電波は正常、さて、いつ出てくるものやら……
「ミッドの……地上の民の安全の為に、どうか!!」
「あ~、はいはい、考えておく」
アインへリアル……ミッドに作られている固定砲台の様な兵器、ミッドにいる敵ならいつでも、何処にいてもその広い攻撃範囲と殲滅力で敵を圧倒する地上本部の最強兵器
まぁ、だがクラナガンとかで暴れられたらどうしよもないんだけどな……その広い殲滅力が逆に足でまといになるし……ぶっちゃけ金の無駄遣いだ
それにしても……どうしようか……
原作ではナンバーズ達に全機破壊されてたよな……もし、もしだ、ここで手助けしてしまって原作と離れてしまったら……う~ん
「まあ、前向きに考えてみます、俺一人の判断で周りに迷惑かけたくないですし」
「ありがとうございます」
おっさんが頭を下げる
これは保留だ、保留、別に急ぐ必要もない
さて、本題はここから……
爺が頷く、さて、脳内電波が乱れてるようだな………
「さて、話は変わるのですが」
「何ですか?」
「貴方の『DNA』の、提供をお願いしたい」
「………は?」
思わず素っ頓狂な声が出てしまった俺は悪くないと思う
そんなもの……悪用されるに決まっている……何故こいつが……
「………一体、何が目的でしょうか?」
「いやなに、貴方のレアスキル、レアスキル保持者のDNAは特殊でしてね、もしかすると不治の病を治す薬となるかもしれない、この世の為に是非提供してほしいのですが……」
「………お断りします、てかそんな権限地上本部にお有りと思っているのですか?」
ふざけるなって話だ、第一研究するならばコルテットの技術の方が断然上、わざわざ管理局に渡す物じゃない
余りにもなめている、まぁ……俺が子供だから当然か?
世の為人の為だという事をちらつかせといてDNAの提供って……何処かの電撃娘と同じじゃねーか
それに地上本部にそんな権限いつできた?
さらにそんな事すれば『コルテット』という組織が黙っていない、いくら中将でもただでは済まない
「これは貴方のご両親も承諾済みです」
「へぇ~……え?」
また素っ頓狂な声を上げてしまった俺は悪くない
なんでここで会った事もない両親が出てくる……それに会う機会があったんだったら警備システムの事も相談しろよ
それとも……さっきのは前置きでこっちが本題か?
てか今のこいつって少し操られてるんだよな、成る程、両親と会ったのは操ってる張本人でレジアス自身は面会した事無いってか?
てかレジアスを操るなんて俺の頭の中では一つしかないんだよな、これで両親が黒か白かと言ったら黒に近い事がハッキリした………ったく、めんどくさい限りだよ
「両親……ね、今更愛情も糞も注いでもらってない奴らが出てきても鬱陶しいだけだから、俺が嫌だと言ったら嫌、わかった?」
「…………わかりました、では警備システムの方、よろしくお願いします」
秘書と一緒に退出する髭オヤジ
まだ娘のオーリスさんじゃないんだな……
どうでもいいか……