リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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油断大敵

 

 

「えっと……その……前はすまなかった」

 

「いや、いいよ……フェイトさんは?」

 

「さっきまで一緒にいたんだが……ケントが来ると聞いて何処かに行ってしまったよ。顔真っ赤にして……」

 

「そっか……」

 

思わず苦笑いする

俺もどんな顔して会えばいいかわからないからな……

九月、ジンジンと照りつけていた太陽?も大分収まり、秋の息吹を感じさせるこの季節

俺がいるのは、時空管理局地上本部

 

そう、今日は『公開意見陳述会』当日

テレビカメラが動き回り、会場も大分騒がしくなってきた……まぁ当然、一年に一回行われる管理局の総決算、全管理世界の総決算でもあるのだから………

 

そして俺がいるのは……国会で与えられている様な椅子ではなく『小部屋』

例えるならば……野球で言う放送席を八倍ぐらい大っきくした感じ、発言する舞台を一階だとするとここはだいたい三階

前方は一面ガラスになっており、下の様子がよく見える……声はマイクで拾え、スピーカーで流す事も可能

睡眠の為のベッドや、飽きた?時用のテレビも完備してあるので……ぶっちゃけやろうと思えばここに住める

当然外には警護の人間が陳述会が終了するまで交代で、どこのスキもなく護衛している

まぁ……護衛がこの部屋に入ることは出来ないのだがな……理由?

 

うん、ホントは俺も生で聞く事は出来ないんだよね、普通

だってこれ、管理局で一定の権限を持った人間関係と報道の為の記者しか入れない会議、もちろん、一般人はテロ防止の為一人も入れないし、民間企業での権力者ですらこの会の出席は出来ない

 

では何故俺がこの会議出席しているか……うん、じゃあ説明するよ

 

『時空管理局本局所属少将ケント・コルテット』…………おk?

 

つまり局入りしました、俺、親が色々手を回したせいで

ま、あくまでも臨時、正式に局入りした訳じゃない

 

だけど……なんで本局なんだ?

陣述会は地上本部でするからてっきり地上本部所属になると思っていたのだが……

 

まぁ、そういう訳で俺は『局員として』正式に陳述会を聞く権利を与えられた、ぶっちゃけいらねぇ

そして、何故小部屋を与えられたかと言うと……これも特例

誘拐やらなんやらを防ぐ為に

もし局内で俺の身に万が一が起こったら局の信用問題にもなるからな…管理局も必死だ

 

そんでもって俺の部屋には権力者でもない、局員でもない護衛達はは陳述会を聞く事が出来ないので入る事が出来ない

 

なので十数時間ずっと俺一人でこの部屋貸切、まぁしんどくなったら途中で息抜きも出来るのだが……

で、今俺の部屋にはクロノ、こいつもう提督だからな、参加してて当然だ

フェイトは……地上本部の護衛に、彼女は執務官、将官などの権力者ではないからな……Stsの様に周りの警護に当たってる

 

「それにしても……豪華だな」

 

「十数時間もご苦労様なこった、鬱にならないのか?」

 

「もう慣れたさ」

 

慣れた……ね……

こいつは下にあるあの席の一つに座るのか?

……絶対寝ちまう、俺なら……

 

「そういえばカリムも来ている筈なんだが……もう会ったかい?」

 

「いや、全く見てない」

 

まぁ彼女達が来ていても可笑しくないよな……だけど全く見てないぞ、いつも絶対挨拶しに来る筈なのに………

 

「そうか……また迷っているのかもしれないな」

 

「だな」

 

カリム……けっきょく卒業するまで学校内の構造を覚えられなかったからな……

何度道案内したことか……

 

「ん、もうこんな時間か……それじゃあ僕は下に降りる」

 

「暇なら何時でも来い、俺は寝てると思うけど」

 

「ちゃんと聞いておけよ、その為の将官職なんだから」

 

「りょ~かい」

 

ハハッと笑いながら部屋を出て行くクロノ

う~ん、それにしても臨時とは言えいきなり将官ね~……これはマジビビった

まあそう言っても教会騎士であるカリムが原作で少将だったから……ある意味妥当なのか?

まぁ、最初から最後まで聞く気はさらさらないし……とりあえず……

 

「お休みなさい」

 

寝ましょうかね………

持ち込み不可のデバイスもあるし……大丈夫だろ

 

 

 

 

 

 

 

 

で、結局……

 

「油断した……って訳か」

 

「もう一度言う、動くな」

 

首元には魔力で出来た剣……マジ油断した

まさか目が覚めた瞬間『動くな』だからな、フードのせいで顔が見えないし……デバイスも手が届かないし……

金髪だけどカリムやフェイトじゃないな、先ず声が全く違う

さて、取り敢えずどうやってここまで来たか……外で別段騒ぎになった訳でも無かったし、先ずデバイス自体コルテットの技術でもなければ持ち込みは出来ない筈……

まぁ、だいたいわかってるのだが……

 

 

カチッ

 

 

「ウフフ」

 

「…………………ん」

 

拳銃……久々に見たな

まぁ、そんな事どうでもいいから気絶しているカリムに銃口向けるのやめろ四番、見ていて気持ちいいものじゃない

 

「無駄な抵抗はするな、不自然な動きをすれば彼女を殺す」

 

「わかりましたわかりました、抵抗しなければいいんだろ?」

 

多分こいつはナンバーズの二番、潜入方法は四番のステルスと六番の壁抜け

カリムは恐らく保険、俺が抵抗しないようにするための

魔法は上手く使えなくてもレアスキルには効果がないからな……少し力を入れれば一瞬でこいつらをただの灰にまで破壊出来るのだが……

人質取られたら動けないよな……

 

「で、俺をどうするの?襲うかい?」

 

「静かにして下さい」

 

「……………」

 

冗談は通じないタイプらしい

そう言ってる間にも六番は戻って来ているだろうし……さて……

 

 

どうするか……

 


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