リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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攻防

 

 

(さて………)

 

首元に魔力刀を押し付けられながら少し考えてみる

相手は恐らくナンバーズの二番、四番、六番、そして今俺の目の前にいるのは二番と四番

そしてカリムが人質に取られていて、六番が脱出経路の確認……だと思う

 

カリムさえ人質にとられていなければどうにかなったんだが……実質相手方の主要戦力は二番のみ……あとはどうとでもなる

しかし……銃弾以上の加速でカリムを助け出すなんていくらなんでも無理、最悪の場合この部屋ごと全て『破壊』するという手はあるのだがな………

そして二番が俺を何時までも気絶させない理由……皇帝特権が知られたからな、向こうも俺の事を警戒していると思っていい

俺を気絶させるにはなんらかのアクションを起こさないと無理、そしてその一瞬が命取りとなる

 

つまり………硬直状態ってわけだ

ま、恐らくだが六番が脱出経路の確認と一緒にお仲間を連れて来る可能性があるんだがな………多分三番

五番の幼女……チンクの能力は音が大き過ぎるから騒ぎになる……だけど弱った、三番がここで来られたら完全にスキが無くなってしまう

硬直状態と言っても動かなければこっちが不利になるだけだな………

 

(上手く……いくか……)

 

デバイス無しで魔法を使おうとしてみるが……やっぱり無理

Stsではお決まりだったAMFが使われているな……デバイス無しでの魔法は不可能だな

 

となると……いよいよヤバイな……

 

ったく、デバイスを今からスキをついて取っても展開できる時間も無いし……こいつらにとってカリムを殺す事は簡単だからな

まず躊躇なんてしないだろうし……

 

「セインは?」

 

「今トーレお姉様を連れてこっちに向かってきてま~す、これで終わりですね」

 

やっぱり三番かよ……クソッ、流石の俺でもこれだけの戦闘機人を人質取られながら相手にするのはキツイぞ

 

「フフ、これであの脳味噌達の依頼も終わりってわけですか」

 

「クアットロ、気を抜くな」

 

「は~い」

 

気の抜けた返事で再び銃口をカリムに押し付ける四番………油断したな?

 

「っ!?」

 

「ケントさん!!」

 

銃口を押し付ける直前にいきなり目を覚ましたカリムがそばにあったデバイスを俺に投げつける

戦闘機人達もそれには流石に反応出来なかった、俺を押さえつけていた二番は反射的にクアットロの方を向く……それだけあれば十分!!

 

「そらよっ!!」

 

「っ!?ぐっ!!」

 

俺も確かな確信はなかった

だが……これも直感、カリムの不意打ちとも言える行動に反応し、自分を拘束していたバインドを『破壊』によって木っ端微塵にし、まだ追いつけていない二番に軽い手刀を浴びせ、デバイスをキャッチする

 

「くっ!!」

 

「ふざけてんじゃねーぞ!!」

 

「えっ!?キャッ!!」

 

カリムに発砲しようとしていた四番をデバイスで殴り飛ばす

よし、これでカリムの安全は確保された

そして………

 

「ケント様!!ご無事でございますか!?」

 

「何者だ貴様ら!!」

 

これによって生じた音に反応して外で警備していたSP達が続けざまに部屋に入ってくる

皆見ているのはフードを被った二番と悔しそうに顔を歪めている四番……終わりだな

 

「ケント……さん」

 

「無事でよかったカリム、怪我とかないか?」

 

「はい、なんとか」

 

やはりこの狭い空間でこの数と戦う事がどれ程無謀かを理解したのだろう……二人がジリジリと真ん中に追い詰められる

そらにしても……カリムのおかげで形成逆転だな

 

カリムが投げ渡してくれたデバイスを構える

形状は相変わらずの剣、いや、ステルスにする時に余分な機能は全て捨て、軽量化重視にしたこのデバイスはまさに『刀』と表した方がいいだろう

 

さて、この二人にはさっきの『脳味噌』発言を含めていろいろと話してもらう必要があるな

それにもうこれ以上襲われるのは嫌だしな

 

と、その時だ

 

「ウォォォォォォォ!!」

 

「ぐっ!?グアッ!!」

 

天井から突然現れた『何か』によって吹き飛ばされる数人のSP

くそっ、これ以上逃がすか!!

 

「二人とも、セインに掴まれ!!」

 

「トーレお姉様!!」

 

「トーレ、すまない!!」

 

トーレが現れたことによって硬直している中で二番と四番がセインの元へ急ぐ

三番が逃げようとしているが……こっちの方が早い!!

 

「逃がすかっつーの!!」

 

「はぁ!!」

 

俺の斬撃と三番の攻撃がぶつかる

こっちのデバイスがスピード重視の分ガッシリとした体つきの三番には力負けしてしまう

だったら……一度戻して数で勝負すればいい!!

 

「オラァ!!」

 

「くっ!!」

 

防戦一方になる三番

せめて一人だけでも捕らえておけば後々だいぶ違ってくる……ならば三番を……

 

「調子に……」

 

「っ!?」

 

「のるな!!」

 

大きな一撃を放つ瞬間に腕を止める

理由は簡単、近くにいて、騒ぎに駆けつけた局員を掴み、盾にしたのだ

そして………

 

「うっ!!」

 

「セイン!!行け!!」

 

「あいよ!!」

 

局員を蹴り飛ばして俺の方へと飛ばす

だから……

 

「逃がすかっつーの!!」

 

飛ばされた局員をかわして奴らが潜ったかべに手を伸ばす……くらえっ!!

 

「破壊(クラッシュ)」

 

多少の怪我はあるだろうが……命に別状はない

 

だが、その程度の力で放った破壊も不発に終わったようだ……そこにあるのは瓦礫と化した壁のみ

 

あいつらが潜ってから俺が放つまでのタイムは殆どなかった、普通の早さなら今頃目を回して捕まっているはず……なら……

 

「ISの……同時使用か……」

 

三番と六番が持つISの同時使用

確か三番のISが速度上昇のようなスキルだったからな………壁の中でスピードをあげたか……

 

はぁ……下の方は今の騒ぎで話し合いも一時中断して混乱してるし……

 

……事後処理がめんどくさい……

 


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