リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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コウノトリさん

 

「このたびは、このたびは!!」

 

「あ~、はいはい、わかったから、そんでもって鬱陶しいから頭下げんな」

 

「で、ですが」

 

「わかったって聞こえなかった?」

 

「は、はぃぃ」

 

すごすごと戻って行くお偉いさんっぽいオヤジ

あの襲撃から数時間、地上本部の前にはマスコミや野次馬がズラリと並び、今か今かと俺が出てくるのを待っている

あれからは……色々と大変だった

まず陳述会は中止、地上本部と本局、二つの大組織による合同での犯人追跡

まぁ、もちろんだが捕まっていない、当たり前だろうな……

 

そういう俺は事情聴取やら犯人についての詳細やらを聞かれたのだが……ぶっちゃけ話せる事なんてごくわずか

彼女達が戦闘機人だということ……親がスカリエッティだということ……脳味噌の事……そのような事を馬鹿正直に話す事なんてしない

 

まず信用性、管理局のトップが脳味噌?

体が機械で出来た人間?その事を信じる人間がどれだけいるだろうか

それにリスク、なぜ俺がそんな事を知っているのか、それに脳味噌達は自分達の存在を知られたくない………

コルテットは巨大組織だが司法や行政を一括して行っている管理局程ではない、そりゃあコルテットが管理局を見限れば管理局に経済的なダメージを大きく与えられるが所詮ダメージ……真っ向から争って勝てるとは思っていない

 

そんな相手の、更には裏のトップの情報を安易に流す?………危険だ……

それにスカリエッティなどはまだ大きな活動を開始していない、それなのに箱入りの俺が脳味噌の計画を大きく反らす?

………これから先狙われる未来しか思い浮かばねぇ……この件については俺自身で調べないといけないな……

 

「ケント!!」

 

「ん、クロノか」

 

息を切らしながらこちらに走ってくるクロノ後ろにはロッサもいる……何か用か?

 

「大丈夫だったのかい?襲われたって聞いたけど」

 

「何とか無事、ギリギリだったけどな」

 

「よかった……それにしても壁の中を移動するなんて………やっかいなレアスキルがあったもんだね」

 

まぁ……六番のISはスカリエッティからしても予想外なんだったか?

はぁ……四番の透明マントといい……六番の通り抜けフープといい……厄介だよ

 

「それにしても地上本部の守りを抜けてくるなんて……一体何者なんだ?」

 

「さあな、ハッキングがうまい奴でもいるんじゃないの?」

 

これは半分ホントで半分ウソ

確かに、四番の能力は高いがそれでも『俺』がいる地上本部のネットワークを制圧し、誰にも気づかれずに俺の所まで辿り着くなどまず不可能

 

前にコルテットで襲ってきたときもそうだ、壁を潜る程度ならいつばれてもおかしくない

 

内通者がいる……コルテットに詳しく、地上本部にも顔のきく人物………

 

それがわからないから困っているのだが……ぶっちゃけコルテットの人間関係で地上本部との商業目的で派遣している人材育成など数えきれない程だ……その中から内通しを探し出すなど不可能に近いからな………

 

だがそんな事を言ってもまわりを無駄に混乱期させるだけ……それにあくまでも俺の推測でしかないからな………むやみやたらに言いふらすつもりはない

 

まぁそれは置いといて……だ

 

「カリムは?」

 

「姐さんなら『もしかしたら』って事もあるから聖王教会の病院へ、気絶している間、連中に何をされたかわからないからね」

 

「そうか」

 

お礼を言いたかったんだがな……あの時カリムが起きている事を隠し、咄嗟に動いてくれなかったら今頃俺は培養液の中かもしれなかったわけだし

ん?でもあれだけピンチになったのはカリムが油断して捕まったから?

 

………お礼、どうしよう………

 

「まぁ、無事でなによりだ、まぁそれでも当分会えなくなるだろうけど」

 

「まあな、狙われてるってわかったから暫く外出できないと思う。犯人が分かればいいんだけどな」

 

ま、見つかる事は無いと思うけどな

今回の件で脳味噌やら俺の両親やらが関与している事がわかったんだ、調べた情報なんて全部上で消されるに決まっている

それにしても……俺の両親は何をしたいんだ?

ぶっちゃけスカリエッティが何かをしてコルテットに有利になる様な事は何も無い、いや、逆にスカリエッティの技術がコルテットを超えてしまってマイナスになりかねない

 

両親が、脳味噌どもに肩入れする理由はいったい……

 

「ああ、それはそうとケン「ケント」………」

 

クロノが話している間に挟み込んできたのはフェイト………あれ?

 

「えっと……その……」

 

「え~と……」

 

まさかの不意打ちで面を食らってしまう

やべっ、最近生で会ってなかったからわかるけど………もうまさに『大人』じゃね?

管理局の制服なのに色気が出てるってどうよ?

髪は下ろしていて胸は大きいし………それにこの前の話のせいで顔が真っ赤だ

 

「その……こ、この前はありがとう!!」

 

「え…っと……どういたしまして」

 

気まずい、物凄く……

こんな可愛い女の子相手にいきなり性の勉強させて、そんでもってありがたがられる俺って………

 

「エ、エリオには上手く説明したからね、まだ六歳だし!!」

 

「大丈夫か?少しテンションが可笑しい気が………」

 

「大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫………ふにゃあ……」

 

顔から煙を出しながらふにゃふにゃと崩れるフェイト

やっぱり……内容が内容だけあって顔が真っ赤……

ちなみにエリオになんて説明したんだ?

 

「コウノトリさんが運んで来てくれるって~……ほにゃあ」

 

やべぇ、何この動物、すっげぇ可愛い

テイクアウトってOKですか?フェイト見てるとなんかすっごい誤ちをおかしてしまいそうで怖いのだが………

 

「コウノトリ?何の話だい?」

 

「大人の階段のぼる~♪」

 

「??」

 

ロッサよ、お前は大人なんだからすこしぐらい察しやがれ

 


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