リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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バレる

 

「楽しかったな~、まだ明日もあるんやろ?」

 

「はやて、抱きつかないでくれる?

ここのホテルに泊まる予定だよ、明日はこの世界の観光」

 

『一日目の』結婚式が終わり、皆揃って歩く

エイミィさんもクロノも同僚や先輩、後輩に囲まれている

 

そう、この結婚式は二日、一日目はれっきとした結婚式で二日目は新郎新婦を中心とした観光

凄まじいぐらいに自然しかないこの世界、さらにその全てに手入れが入っていると言うのだから驚きだ

ま、小さな世界だからな、クロノが本気で飛べば二時間ぐらいで一周出来る

はぁ、それにしても出遅れちまったな、帰ってきたらもう式も終わり、呼んでくれたクロノには悪い事をしてしまったものだ

と、その時だ

 

「ケント・コルテット、いるか!?」

 

「なんや~シグナム、ケント君ならここにおるで?」

 

好い加減はやて……どいてくれないだろうか?

それにしてもシグナム、彼女とは面と向かって話したことはない筈だが……そんな緊張した顔で一体どうした?

 

「テスタロッサからだ、代わってくれと」

 

「フェイトさんが?」

 

そういえばここに戻って来てからフェイトの顔を見ていない、何処へ行っているのだろうか……

 

「ケント………今すぐ船まで来て」

 

「フェイトさん?どうしたんですか?」

 

通信機を受け取り、皆と離れた場所で開く

そこには顔を伏せ、何かを考え込んでいる様な彼女の姿……暗い顔してどうしたんだ……

それに……船って……

 

「いいから来て、今すぐに」

 

「今すぐって「あの子……なに?」っ、!?」

 

聞き返そうとしたらフェイトからの爆弾発言

なんでフェイトが知ってんだよ……あの子保護してからまだそんな経ってねぇぞ……

気分が悪くなって船の医務室行ったのか……いや、医務室ならこっちにもある……

わざわざ俺が船の医務室を使ったのは周りにバレない様にする為であって……

 

「いいからすぐ来て、あの爆発の跡の事も……詳しく聞かせてもらうから」

 

「…………わかった」

 

彼女、真剣だな

あの『のほほ~ん』とした天然では無くて本当の『執務官』としての顔

そりゃ扉開けたら俺のそっくりさんがいたら誰だって驚く、そして……その分野に関しては彼女自身が一番よく知っている

はやてやロッサならまだしも……一番にフェイトにバレる事になるとは……俺の完全な不注意だ……

 

「どうせ一度戻ろうとは思っていましたしね、詳しい事は俺にも分かりませんけど知ってる範囲なら」

 

「うん、お願い」

 

通信を切る

さて、船に行くのは決まったとして今度は周りを上手く撒かないとな…………トイレ行こう……

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……一日にこう何度も使うとくらくらすんな」

 

またまたトイレの中から移動して船の中

ホント、転移魔法って便利だよな……普通は転移専門の魔導師でしか扱えない高度な魔法なんだが……こういう時に皇帝特権は便利だ

 

さて、フェイトと待ち合わせしたのは医務室、あのクローンちゃんも数日は起きないから特に問題は無いと思うんだけど……流石に放置って訳にもいかないからな

 

あ、それと俺が爺に言い聞かせられ、戻った後にこっそりと付けられていた発信機、悪いが全部外させてもらった

今頃トイレの水道管を通ってよくわからん場所に流れているだろう、直感舐めんなよ

 

ま、そんな話題を変えるような現実逃避は無しにして医務室のドアを開ける

そこにはやはりねむったままのクローンちゃんと椅子に座ってこちらを見つめるフェイト、金髪もこんだけ集まれば壮観だね

 

「ケント、この子は一体……」

 

「単刀直入に聞いてくるね、まぁフェイトさんの予想通り、俺のクローンだよ」

 

フェイトが目を見開く

当然だろうな、自分自身がクローンなのだから、そんな事を言うつもりはないが

ただ……これで責任を感じないでほしいのだが……

 

「どういう……こと、あの爆発は一体…」

 

「そうだな……取り合えず座っていいか?」

 

フェイトが出してくれた椅子に座る

そこからは延々と説明

 

一つ、この子は俺のクローンだと言う事

 

一つ、この世界は基本無人なので人体実験には最適だと言う事

 

一つ、この子は身体中に傷を負っており、命が危なかったと言う事

 

一つ、あの爆発は恐らくこの子が起こした物で、この子の魔力はSS+だと言う事

 

まぁ、まとめるとこんな感じ

流石に『コルテット』の名前を出す様な事はしない、今度はフェイトが危なくなるからな

 

「この子が作られた理由は……」

 

「たぶん俺のレアスキル目的、この子に受け継がれているかどうかは知らないけどさ」

 

特典ってコピー可能なのか?

レアスキルと違って魂そのものにインプットされているから………無理なのか?

 

「それだけのために……」

 

「それだけのためにするだろうさ、世の中そんな人間ばっかりだ」

 

みんながみんなって訳ではないが俺の周りを見渡してみるとこういう事は余り不思議ではないからな

実際に見たのは始めてだが……今でも一日に一つを目標に研究所を潰している

その過程で実験データがあるからな……そういった『話』に関しては残念ながらなれてしまった自分がいる

 

「ケントは……どう思うの」

 

「俺?」

 

「だってじぶんのクローンだよ?その……気分が悪いとか、実在してほしくないとか」

 

「なるほど……ね」

 

確かに、現実味のある質問だ

よくアニメや二次創作などでは「クローンにだって生きる価値はある、この子と俺らとは何が違うんだ?」などと綺麗事をよく抜かしているがそんな事はあり得ない

確かに、この子と俺とは雰囲気や性別は違っているとはいえ俺の写し身、悪く言えば偽物

普通の人間ならそんな相手をみれば「二度と目の前に現れないで」などという態度が当たり前、素であんなカッコいいことが言えるのは本当の主人公体質を持つ人間かただの馬鹿、もしくは………

 

「こうなったのも俺の責任、俺が面倒を見るよ」

 

俺の様な『偽善者』

ハッキリ言っておこう、俺は今こうやってこの少女の治療をし、助ける事をしたが今、こうやって眠っている彼女を見るだけでも嫌な気分に襲われる

想像してみて欲しい、ある日突然自分の偽物が現れるのだ、それをすぐに受け入れ、認める事なんて出来るだろうか?

無理だ、どう考えても

だが……何度も言うが今回は俺の責任、俺が『転生』なんて物をして、この世界を変えてしまったので生まれてきた命

目の前にこうしている以上、『助ける』という選択肢以外を選んでしまう事は俺の心に一生傷を残す事になる

ただの偽善、純粋な『助けたい』という心なんて一つもない

ただ……それが『義務』だからするだけ

 

「そう……なんだ………方法は考えてあるの?」

 

「ああ、この子を『養子』にする、もちろん親名義でな」

 

「養子?」

 

「簡単に言うと俺の妹にする、そうやって世間一般に知らせる事でこいつを闇から助け出す」

 

「コルテットの人間にしてしまって……その知名度で助け様とするって言う事?」

 

「ま、そういうことだ」

 

上にこいつが逃げたと言う事を知られる前に俺の妹にしてしまう

コルテットの長女となるのだ、さらに世間一般にもその存在は知られている

裏で処分するのは難しい……

まぁ、これもすべてこの子が了承してくれたらなんだけどな

 

「ま、取り合えずフェイトさん、この事は内密にしといてくれませんか?

この子の為にも」

 

「うん、わかってる」

 

クローンなんて世間に知られてはいけないからな、

フェイトもそれを分かってくれている

さて……と

 

「取り合えずフェイトさん、この子の体を拭いてくれません?」

 

「え?」

 

「いや、風呂とか入れないじゃないですか?

かといって俺が拭くのも抵抗ありますし」

 

「え、あ、うん、大丈夫だよ」

 

結果オーライと言うべきか……女手が増えたのは少し嬉しいな

 

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