「AA………ねぇ~」
だだっ広い学校の廊下を歩きながら一人つぶやく
学校二日目、入学式の後、家に帰ると俺の入学祝いパーティーが行われた
うん、まああれだ
アニメとかでよく見る盛大なパーティー
管理局のお偉いさんとか一度は名前の聞いた事のある大企業の大物とか、更にこの世界でいう大物女優、男優達…………
一日のパーティーだけに○○億使ったとか聞こえたが………贅沢は敵だ………
てか……せめて連絡ぐらいしてこいよ両親………
まあそんな事もあり今日は少し寝不足
それでも学校を休むわけにはいかない、てか始めての自由時間な様な物なのだ、休みたくない
そして今日は待ちに待った魔力測定の日、結果は………
「空戦可能なAAランク相当の魔力、更なる鍛錬で伸びる可能性有り………セイバーの特典のせいか?」
今言った通りのAAランク
大した事ない?ふざけんなよ!!
原作キャラのSランクやはやてのSSランクがどれ程のチートか………AAランクの俺は今年入学した一年の中で最高なんだぞ!!
ちなみに殆どの奴がCやB
時々A−やEランクの奴ら、俺を抜いたら一人だけAA−がいたらしい……
このStヒルデ魔法学院はミットチルダの中でもかなりのエリート局員、教会騎士を排出しているらしいが………SやAAAの鬼才がいるのは三年や四年に一人
確か……今の中等科一年にSランクがいたという
まあそんな訳で俺の魔力量はAAランク………普通に捉えると喜ばしいことなんだけど……
(嫉妬の目線がな………マジで勘弁してくれよ……)
あれから男子、女子両方からの嫉妬の目線が凄い
更に魔力測定の前に軽い自己紹介をしたのだが………その時に俺が『コルテット』の人間だという事がばれた
まとめると……
セイバーの容姿←自分で言うのもなんだけどむっちゃかっこいい、又、可愛い
魔力量AA←将来のエリート
コルテット家←『超』がつく金持ち
これで嫉妬が無い方が可笑しい
確かにまだ『かっこいい』などで俺を見つめてくる女子の視線もあるが……そのせいで男子諸君からの呪いに近い視線が増加
確かに、周りから見れば俺は完璧人間、いわば勝ち組に見えるかもしれないだろう……
だが、しかしだ!!
俺は元超普通の高校生!!
成績は常に中の中、運動も体育で困らないぐらいの感じだったし家も何処ぞによくある《両親がいない~、両親が最悪~》などではなくこれまた普通の公務員と専業主婦!!
友達も結構いたし休日はみんなで馬鹿騒ぎしてた普通の高校生なのだ!!
それが突然こんな……周りから見て完璧人間になったってキツイ!!
もうね!!孤独なんだよ!!
愛と勇気だけが友達なヒーローなんかよりも孤独なんだよ!!
みんなも考えてみ!?
六歳まで自我があり、更に同年代の友達が一人もおらず、周りからは嫉妬の目線しかない状況を!!
…………え?赤ちゃんの頃の記憶?
自我はあったよ、よくオリ主は暗黒の記憶とか言ってるけど………まあ……一つだけ言えるのは………
メイドさんのはおっきかった
しょうがないじゃん!!
飲まないと生きて行けないじゃん!!
いつも言ってる様に両親には二度しかあった事がないから乳母が就くのは当たり前じゃん!!
それがどんな人でも俺喋れないじゃん!!
そ、それがまだ二十代前半の『お姉さん』だったとしても………やべっ、鼻血
〜少々お待ちください〜
ゴホンゴホンッ、話が逸れた
まあ話は長くなったけど、まとめるとこのままでは友達0の学校生活になってしまうという事だ!!
それだけは回避したい!!
原作キャラがいない状況で一人だけは勘弁!!
つー訳で、誰かに話しかけようと思ったのだが……
トテトテ←俺の足音
ザザザザザザザザッ!!
…………トテトテ
ザザザザザザザザザザザザザザッ!!
((((;゜Д゜)))))))………………(゜o゜;;
避けられる………俺が歩くと半径五メートル以内に誰も入ろうとしない……
そこまでなの俺?
友達つくるつくらないの前に誰にも近づけねぇじゃねーか
『僕は友達が少ない』どころじゃねーよ、このままだと『僕は友達がいない』が新連載しちまうよ!!
仕方が無いので自分の教室に足を進める
ヴィヴィオってどうやってリオとコロナなんていう友達つくったんだろう
あれか?《名前を呼んで》か?
それで友達になれるんだったら出席簿を奪い取って教卓の前で全員の名前を読んでやるわボゲェ!!
もう一度ため息をついて廊下を歩いていたら誰かと肩がぶつかる
少し力を抜きすぎたか?
「ああ、ごめん「てめぇ何様のつもりだよ!!」……え?」
はて?
この学校では『ごきげんよう』や『はしたない』などを平気で使う様な場所であったはずだ
なのに『てめえ』って………
顔をあげてみるとこれまたいかにもアニメ一話、ニ話ぐらいで出て来そうなガキ大将と子分二人………リアルで見る事が出来た事に謎の感動
「廊下の真ん中は上級生しか通ることが出来ねぇんだよ、入学したての奴が調子こいてんじゃねーぞ」
中心のガキ大将が何か言ってるが……何処の世界でもやっぱり太ってるよね、ガキ大将
まああれこれ言ってるが………周りに野次馬が集まってくる
先生の姿は……ないか……
「なんか言ったらどうなんだよ!!ああ!!」
………さて、目の前にはニヤニヤ笑う子分二人と逆ギレしてるガキ大将、今にも殴りかかってきそうだ
はっきり言って、状況はあまりよろしくない
もし喧嘩になったとしてもこの体はセイバーの身体能力をフルに受け継いでる。負けることはまず無い
だけど俺は何度も言うが元普通の高校生、売られた喧嘩を全部買う様なオリ主ではないのだ
しかも入学早々暴力で生徒指導、なんかにもなりたくない
さらに………教師からそれぞれの家に伝わって……恐らくこの三人、社会的に抹殺される
かと言って逃げる……なんてしたらこれからの俺に対する評価は余り良くなくなる……今も良くないんだけど………
てかこいつらそれわかってんのか?俺の中身がこれだからいいけど、普通の六歳児なら即アウト、お前らの家族、一生日の光拝めなくなるんだぞ?
「さっきから俺の言うこと無視しやがって!!」
…………逃げよう
俺の評価が悪くなるのは……この際どうでもいい
あいにく、人の人生狂わせるのを平気でやる程、人間腐ってないもんで!!
つうわけで周りを見る……あれ?
(野次馬多!!)
何時の間にやら数十人に囲まれてる
これじゃ逃げれねぇじゃねぇか!!
もし俺がこいつらに一度でも殴られたりしたら即アウトなんだぞ!!
てか教師!!好い加減気づけ!!
同じクラスの奴!!誰か先生呼びに行ってこい!!俺が何処の家の子で今こいつらがやばい事わかるだろ!!
そう心の中で叫んでいる間にも腕を鳴らし始めるガキ大将………やっべーまじやっべー!!
「…………えっと~」
「二度とこんな事できねぇように、俺様がたっぷり教育してやる」
腕を振り上げるガキ大将……こいつの人生オワタ\(^o^)/
当たらないように除けようとするが……神はこいつを見放してなかったようだ(最高神に会ったことあるが)
「やめなさいタイラント君、暴力では何も解決しないわよ」
「カ、カリム!?」
俺とガキ大将との間に一人の女の子が躍り出る
髪は俺より少し濃い金髪、制服から見ると……中等科か?
「おい何をやってる!!」
「げっ!?先生!!」
この子が呼んだのだろうか、メガネをかけた細い先生がこちらに駆け寄ってくる
てか野次馬共よ、逃げ足だけは早いな、散らばる時のチームワークが半端なかったぞ
先生が俺を見て顔を青くする、最悪の事態を考えたのだろうか?
「タイラント、直ぐに職員室に来なさい
あと……ケント君とグラシアさんも、放課後に来てくれますか?」
「わかりました」
「ちょっ!?先生!!なんで俺だけなんだよ!!」
「さっさとついて来なさい」
引きずられて行くガキ大将、曰くタイラント
…………てか目の前の女の子……何処かで見たような?
そう思ってたら女の子がこちらを振り向く
まあ助けて貰ったんだ、お礼はしないとな
「助けてくれて有難う、君は?」
「当然の事をしたまでですよ、お気になさらずに。
あと自己紹介ですね、私は中等科一年の『カリム・グラシア』
初めまして、ケント・コルテットさん」
始めて名前を呼ばれて少しドキッとする
この子は……俺を『コルテット』だと知って躍り出てきたのか………
てかそれよりも……カリムって……
原作キャラじゃねーか……