リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

72 / 176
自重しよう

 

「………………寝た…な?」

 

よだれを垂らしながら眠るフェイトを見て心の中でため息をつく

『万が一』の為に設置していた催眠ガスが上手く効いたようだ、お陰で大事にならなくて済んだ

俺の魔力に反応して発動する特注のガスだ、もしもの時の為に作っておいた

デバイスが無くたって魔力は流せる、まぁそのガスのせいで俺も今息が出来ないんだが……

 

(取り敢えず窓を……)

 

部屋の窓を全開にしてガスを外に出す……さて……

 

「ネリア、『やり過ぎは良くない』って言ったよな?」

 

タンスの上に置かれていた超小型カメラをつまんで自分でもビックリするほどのドスの聞いた声で威嚇する

片手にはデュランダル……さて……

 

 

 

 

 

「少し、頭冷やそうか?」

 

 

 

 

 

俺がこれを言う事と時期的に早い事に違和感があるがそれ程怒っていると言う事だ、世の中にはやっていい事と悪い事がある

指の力だけでカメラを破壊する、フェイトはせっかく寝ているのだ、起こすのはよくない

遠くの方で護衛の奴らがネリアを呼ぶ声が聞こえる、大方逃げ出したんだろう……

 

「逃げ切れるとでも思ってんのか小娘よぉ?」

 

口元が笑う、直感舐めんじゃねーぞ?

 

「転移」

 

足元に現れるのは黄金の魔法陣、転移先はネリアの真後ろ……いくぞ?

 

「エクス………」

 

「えっ!?ちょっ!?お兄様!?」

 

「カリバァァァァァァ!!」

 

屋敷の中で黄金の魔力が勢い良く噴射される

窓ガラスやら何やらが盛大に吹き飛ぶが関係ねぇ、先ずは……

 

「へぇ、避けるのか?」

 

「当たり前じゃん!!妹に向かって何全力出してんの!?」

 

「………潰す」

 

「えっ、あっ、す、すみませんでした!!だから許してってアー!!」

 

超遠距離特化のお前が超近距離特化の俺に勝てると思ってんのか?

今回は許さねぇ、少し反省だ馬鹿野郎

 

「だ、だからさっきから謝ってってまってぇぇぇ!!」

 

「エクスカリバァァァァァァ!!」

 

「そ、それでもお姉様のエッチな体見れたでしょ!?それもこれも可愛い妹のお陰じゃん!!」

 

「エクスカリバァァァァァァ!!」

 

「あのまま一線越えれば良かったのにぃぃぃ!!」

 

「エクスカリバァァァァァァ!!」

 

さて、まだ避けるか……夜は……長いぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと……ネリアはどうしたの?」

 

「今日の朝飯は抜きだ」

 

「た~す~け~て~」

 

あーと叫んでるが知らん、自業自得だ馬鹿

 

「えっと、ネリアキツそうだよ?解いてあげようよ」

 

「フェイトさんは昨日の事を覚えてないからそんな事が言えるんだ、少しネリアは自重と言うものを覚えろ」

 

「お姉様~」

 

「えっと……頑張って?」

 

「神は私を見捨てた!?」

 

見捨てる前に見てないと思うぞ、神ってあいつだろ?

ちなみにネリアは俺が吊るした、ロープで

下ろしてくれやら腹減ったやらほざいているが一切無視だ、俺も怒る時は怒る

 

「せ、せめて朝ごはんだけでも!!」

 

「はい海苔」

 

「………これだけ?」

 

「これだけ」

 

わーと言いながら必死に抗議してくるネリア、味付け海苔?俺はそんなに優しくない

 

「こ、こんな事続けるとホントにシャワー写真流すよ!!」

 

「お前の部屋は全部調査して俺やフェイトに関わる物を全て処分した、俺たちだけじゃなくはやてやなのはの写真があった事に激しく疑問を抱いたんだけど」

 

「えっ!?もしかして見たの!?」

 

「なんでお前の部屋に同人誌があるんだ?」

 

「買って来てもらった」

 

「お前は少しぐらい恥じらいを知れ」

 

わざわざ買いに行かせるのかよ……

 

「と、言うわけでそれも含めて全て処理した」

 

「えっ、わ、私の宝が……」

 

何が宝だ何が……

 

「えっと……昨日何があったの?出来れば詳しく教えてほしいな~て」

 

「お姉様がお兄様を押し倒グバブッ!!」

 

「ネリアが調子に乗り過ぎただけだよ、そんでもってフェイトさんは日頃の疲れでダウンしたってだけですよ」

 

「えっと……うん」

 

それにしてもフェイトが昨日の事を覚えていなくて良かった、あんな事知れたら今後一切口聞いてくれなくなる可能性だってあった訳だし……

さて……

 

「フェイトさんは午後には六課に戻るんだったよな?送るから荷物の整理だけしてほしい」

 

「あ、うん」

 

六課までそれなりの距離あるし……早めに出た方がいいかな?

 

「えっと……あの……」

 

「?」

 

フェイトが妙にモジモジしてる、料理は食べ終わったので帰ろうとしていたのだが妙に帰り辛い

………どうした?

 

「えっと……一つだけ、お願いしてもいい?」

 

「ん?何?」

 

返答を返すとまたモジモジし始めるフェイト、俺にどうしろと?

 

「さ、さん付けじゃなくて呼び捨てで呼んでほしいな~て」

 

「………は?」

 

「い、嫌ならいいんだよ!!私のワガママだ「フェイト」っ!!」

 

いや、結構呼んでると思うんだけど、呼び捨てで

時々忘れるんだよな、フェイトさんよりフェイトの方が言いやすいし……

 

「お~、一歩前進だねお姉様!!」

 

「お前は少し黙ってろ」

 

うむ、ネリアに対する扱いが雑になったが気にしない、こいつにはあまく当たり過ぎたからな、今回からは厳しく当たらないと

 

「えっ、あっ、あ、ありがとう」

 

「ん、どういたしまして」

 

そう言うと逃げる様に部屋に戻るフェイト……どうした?

てか……呼び捨てにしてって言う事はもしかしてフラグ?上着の内ポケットに俺の写真とか言っていたし………いや、ない、どこでフェイトにフラグを立たせるイベントがあったんだよ……俺別にPT事件とかに関与して慰めたり心の支えになった事ないし

う~ん、やっぱりなのは流友達の作り方『名前を読んで』なのか?あれってさん付けは当てはまらないのだろうか……

 

「お姉様が成長して、私は嬉しいよ………」

 

「お前は少し変わろうな、いい方向に」

 

「ネリアを調教する気なのか……性的な方向に……」

 

「自重しようって言ったよな?」

 

ロープを更にキツく締めてネリアが表面上だけの悲鳴を上げる

さて、次の六課のイベントは……地球遠征か?それには関われないとして………アグスタのあれだな

 

さて、どうやって介入するか……

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。