リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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よくある事 2

 

「おお、これは誉高きコルテット家の次期当主様ではありませんか、はじめまして私は~」

 

「あ~、うん、わかった、ちょっと用事あるからすまんな、また今度」

 

「えっ!?あの!!少しお待ちを!!」

 

必死でアピールしてくる小太りのおっさんを護衛に任して前を歩く

服はスーツ、髪は一つに縛り手には黒の手袋、後ろからは黒スーツにサングラスの男達がズラリ

周りからの目線が凄まじいが気にしない、何人かは俺に話しかけようと近づいてくるが辿り着く前に止められてしまう……ハニートラップも多そうだ……

 

「ようこそおいで下さいましたケント様、お部屋にご案内致します」

 

「ん、ありがと」

 

白の髭を少し生やした優しそうな男性がお辞儀をしながら話しかけてくる

……このホテルの総主任だろう、こいつも大変だな……

 

「じゃ、さっさと案内してくれ、ここは疲れる」

 

特に金持ちが多く集まるオークションなんてな

 

さて、もう気づいているとは思うが俺が今いる場所はあの『ホテル・アグスタ』

時期は丁度オークション当日、何とか来れたな

まぁ……俗に言うスペシャルゲスト、ホテルのオーナーでもありオークション主催者であるコルテットからの

見た所結構有名な奴が多数来ている事から簡単に許可が下りた、それだけ警備も頑丈になるらしいし

扱うロストロギアも暴走の心配が無い事が再度調査をさせてクリアした

で、ガジェットについては……可能性は低いだろうと言う事で

原作の六課が几帳面過ぎたと言うのがあるな、あくまでもガジェットが狙って来ているのはレリック、そして今回出品される中にレリックはない

ガジェットがレリック以外を狙って現れたという例は今までにない、そんなわけだ

ちなみにネリアはお留守番、というか学校

あいつも学生、ずっと家にいる事は出来ない、渋っていたが強制的に連行した

 

「うおっ、むっちゃいい部屋じゃん」

 

そんなこんな言っている内に部屋に到着……豪華じゃねぇか

高級ホテルのスイートルームだからな、てかどれだけ広いんだ?バーカウンターなんて置かれても俺酒は飲まないんだが……

あ、言っていなかったがオークションは二日に分けて行われる為多くの客がこのホテルに宿泊する。恐らく原作では事件の為に急遽オークションは中止、ホテルが使われる事も無かった

う~ん、勿体無い

 

「オークションは午後から、ケント様は初めのご挨拶をお願いします」

 

「りょーかい」

 

ん~、そういえばこのオークションであのユーノが登場するんだよな、無限書庫の……何だったっけ?

まぁ偉い位についていたのは覚えている、てかさっさとなのはと結ばれろと前世では何度感じた事か………

 

「取り敢えず暇な時間でこのホテルの間取り図を~」

 

ディスプレイを目の前に展開して少し弄る

表れたのはこのホテルの間取り図と警備位置……だいたい覚えた

 

ちなみに俺はティアナの事件に関わる事はない、あれはあれでティアナの成長に欠かせない事だったと思うしあいつと殆ど話した事が無く、特典なんてチートを持っている俺があいつに何を話しても聞いてくれそうにないしな

 

取り敢えず俺がするのは『転生者』の情報収集、この事件だって原作では重要な位置にあるイベント、ティアナの事で転生者が一枚絡む可能性だって十分にある

 

そしてもう一つ、出来る事ならルーテシアの保護

あいつの友達、ガリューの腕を斬ったのは俺だ、何があったにしろあの純粋な子に辛い思いをさせてしまった事には変わりない

だがコルテットにはガリューの腕をくっつけるだけの技術がある、メガーヌを助けるだけの力がある……上手くいくといいのだが……無理か?

近くにはあの渋男がいた筈だし……本職の『騎士』には勝てる気がしないんだよな……俺の、形だけの力じゃ

 

「……そういえば」

 

記憶が曖昧だがユーノの他にもロッサが来ていた筈、一度も見てないがまだなのか?

はやてといい雰囲気になるんだったか?てかロッサってはやてかシャッハかどっちなんだろうな、結構どちらでもお似合いだと思うが

 

………暇だし会いに行ってみるか?

 

「どちらに?」

 

「すこし散歩、オークションが始まるまでには戻るよ」

 

立ち上がって部屋からでたところでさっきの護衛が俺の後ろに並ぶ

う~ん、大名行列だな、これ

 

「あの~、すみません」

 

「……どうかしましたか?」

 

前の方からオドオドした女性が話しかけてくる

この階には俺の部屋しかないはずだが?

 

「えっと、道を迷ってしまって……教えてくれたら嬉しいのですが」

 

「私がご案内しましょう」

 

護衛の一人が名乗りをあげるが女性は地図を広げて俺に歩みよって来る……ったく

 

「で、どれ?」

 

「えっと……この階なのですが」

 

妙にひっついて来る彼女、やはり胸を当てて来てるな………またこれかよ

 

「そこのエレベーターを乗って五階に行って下さい、出た所を右に進めば部屋番号と同じ部屋があるはずです」

 

「えっと……よくわからないので教えてくれたら」

 

「却下です」

 

「えっ!?」

 

驚いた顔になる彼女、だって……なぁ……

 

「あなた、○○サービスコーポレーション社長の一人娘だろ?

あそこは昔からの大会社だがこの頃コルテットの進出により業績が悪化、今度コルテットによる買収が決まっている……だったか?

このホテルの常連客だし道は間違える筈がないとおもうのだが……気のせいか?」

 

「えっと……あの……」

 

「そんでもって父、社長は長年の疲労と業績悪化が重なって倒れ、そのまま入院、でもってそれを助けたのがコルテットだったか?

ま、色々負けて悔しい気持ちも分かるがその手首の部分に隠している短剣はしまえ、

魔力が無いとは聞いてはいたがまさかこんな方法で仕返しをしに来るとは……」

 

「……………」

 

ここまで言うと完全に黙る彼女、でもって今まで守り続けて来た会社をコルテットに吸収される事が悔しいんだろうな、負けず嫌いたとも聞いた事もあるし……

で、可能性が隠している短剣、ここまで接近はしているが護衛がそれを見破れていないわけではない、初めに取り押さえようと動こうとしていたのだが俺が目で止めたのだ。まあこの距離でも短剣が届く前に取り押さえちまうんだろうな……ったく、人間相手だったら頼れる奴らだ

 

「私は!!父さんが守りつづけて来た会社を潰すお前達が許せない……父さんをあんな風にしたお前達が許せない!!」

 

「許せないのは勝手だが俺を殺したその後はどうする?もうすぐお前の所の会社はコルテットに吸収される。そんな立場の人間が問題を起こしたらどうなるだろうな、確実にコルテットの力によって立ち直りそうなお前の会社は潰されるだろうな、他ならぬコルテットに」

 

「ぐっ……」

 

「……ったく、はよ帰れ、今なら何も見なかった事にしておいてやるからな」

 

「なっ!?危険人物ですぞ!!」

 

「いいからいいから、で、返答は?」

 

女はすこし顔を伏せた後その場を立ち去る、もう慣れたな、このやりとりも

 

さて……

 

 

「散歩いくか」

 

 

どうせ暇だしな

 


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