リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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男のロマン

 

アグスタの地下、ガサガサと動く『何か』

 

姿は全く見えない、ただその何かは、手に持つケースを抱え、逃げ出す事は……

 

「あんまり調子に乗るなよ?世の中上手く行く事は殆どねぇ」

 

『つ!?』

 

振り返った……のだろうか?

そこにいたのは金髪の青年、自身にとっては因縁の相手……

 

「まっ、そんな警戒すんな、いや、腕切っておいて警戒すんなって言う方が無理か……まぁ、細かい事は気にするなよ、お前に相談があるんだけど」

 

『ブオンッ』

 

「いいかっ……て!!」

 

当然、聞く気などない

 

 

 

 

 

 

問答無用で斬りかかってくるガリュー、当然か?

 

「あのなぁ、いくら透明になっても……」

 

何度か撃ち合うがガリューの斬撃は全て防御される、前回と比べて今回は片手なのだ、自然と攻撃数も減ってくる

 

「分かるし効かないんだよ」

 

『っ!!』

 

重い蹴りが一発

当然、防御の暇さえ与えない、脚力を強化して放たれた蹴りによってガリューの透明な体が吹っ飛ぶ、これで少しは黙ってくれるか?

 

「お前に言いたい事は全部で三つ、一つ目はスカ野郎のアジト、二つ目はある存在に対しての情報提供、三つ目はお前の主の保護……って、無理か?」

 

『(ガッ!!)』

 

目の前に展開したバリアで攻撃を防ぐ……何これ?

 

「鉤爪じゃ……ない?」

 

いや、おかしいだろ!?

ガリューの攻撃方法は鉤爪を使っての斬撃、なのに俺のバリアはなんか『ギュインギュイン』いって火花散ってるんだけど!?

ガリューってスピードで敵を翻弄するタイプだろ?こんな一撃が重たいのって……無かった筈……

 

 

「くっ!?ちょっ!!」

 

あまりの質量に耐えきれず破壊されるバリア

何とか躱したが……何だよあれ……

 

「ったく……計画がパーじゃねぇか」

 

オークションで本当にどうでもいい話して、アサシン先生特有の『気配遮断スキル』全開にしてここまで来たけど……ガリューパワーアップしてねぇか?

最初はガリューを少しだけ痛ぶってルーテシアによる強制的な退却、そこから魔力探知をして場所をあぶり出すって設定値だったんだけど……これは骨が折れるな

逆探知成功者してもルーテシアが話を聞いてくれる可能性も少ない、なのでゼストがいた今の時期を狙ったのだが……くそっ

ゼストならコルテットの技術力についてもよく知っているだろうと思ってたのに……これ失敗したら次いつだ?地上本部襲撃まで待たないといけないのか?

ヴィヴィオイベントの時に拘束するにしたって半分連れ去る様なものだし……てかあのイベントに介入出来る可能性だってあるわけでもないし……あーもう、イライラする!!

 

『(キイィィィィィ)』

 

「………えっ?」

 

えっと……ガリューって砲撃系使えたっけ?

てか……あの左腕何がついてるの?

 

「ぐおっ!?」

 

スレスレの距離で回避する

放たれたのはガリューと同じく透過している砲撃……ちょっ、ガチの殺傷設定じゃね?

くそっ、砲撃が使えない俺に対しての嫌味か!!

透過しているから『破壊(クラッシュ)』もロクに使えないし……下手に使ったら建物の自体を崩壊しかねないし……

だけど……

 

「スフィアなら使えるんだよ!!」

 

黄金期のスフィアを合計八個生成して放つ

それなりに魔力を込めた一発、並の魔導師ならこれで終わりなんだけど……

 

「ガチ……かよ」

 

ガリューの奴、左手の『何か』でスフィアを全部相殺しやがった……

またギュインギュインいってるし……もうあれだろ?あれなんだろ?

 

「あのマッドも……よくわかんねぇ」

 

まっ、あれならば一目見てみたいものだ、腕についたあれとかカッコよくね?

まぁ、原因は俺なんだけどさ……

 

『(ガッ!!)』

 

「おっと!」

 

鉤爪での斬撃をデュランダルで受け止める、これだけでも俺の体は弾かれそうなのに……左手がくると

 

「おっ!?おっ!?おぉぉぉ!!」

 

『(ギィィィィィィ!!)』

 

左手の攻撃をもう一つのデバイスで受け止めるが……刃こぼれしてねぇか?こりゃヤバイって!!

 

「うおっ!!」

 

ステルスデバイスが完全に破壊される

目の前には、てか見えないのだが恐らくあれ……当たれば抉られるな……当たればだけど……

 

『っ!?』

 

「成功、これって幻術魔法の応用だろ?いくらでも『主張』出来るんだって」

 

ガリューの後頭部と思われる部分に強い衝撃がかかる

 

そしてその衝撃で透過が解け、前乗りに倒れる体……油断大敵ってね?

 

理由は簡単、俺がさっき生成したスフィアが九個だった、ただそれだけ

違いと言えば一つだけ幻術魔法の応用で透過させていたということ、相手が無防備になった時に当てられるようにずっと待機させておいた

非殺傷だから大丈夫だけど……左手はやっぱりか

 

「ドリル……とか、これはスカ野郎の趣味なのか?ただ単に強いからなのか?」

 

必死に立ち上がろうとするがさっきの衝撃で動けないガリュー、そしてその左手には『ドリル』

 

いや~、立派だ、さっきの砲撃はこのドリルが開いて発射されたんだな……なんつー画期的なシステム

 

「はぁ、まぁそれはそれで嫌だろ?安心しろ、腕はちゃんと保存してあるから」

 

初期とそんなに変わらないぞ?

痛まないように保存してあるからな

 

「コルテットに来たら直してやるよ、ご主人様の母親の治療もしてやる」

 

「グ……ググ」

 

言葉は……一応分かるんだよな?

ただ喋れないだけで……全く……

 

「予想通りに進んでくれて助かるよ」

 

ガリューの真下に現れる紫の魔法陣、流石一流の召喚士、一瞬の内に消えちまった

まっ、魔力残痕はナカナカ消えないからこれを辿るのだが……その先にゼストもいるはずだし……

 

「転生者もいたら儲け物だけどな」

 

これまで一度も登場していない転生者、一番あり得る可能性は『管理局、原作キャラアンチ』

スカ野郎についてバッドエンドにしたい~とか考える奴、今回このイベントに参加してる可能性が十分にあるからな、ここで仕留められたらいいんだけど……

 

「解析完了、行くか」

 

 

そういやそろそろ俺がいない事バレたか?

六課の仕事増えちまうな……あとではやてに謝ろう

 


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