「わかった、ならケント君が苦しい時は私が助けに行く、約束や」
「うん、よろしく頼む」
これが、私とケント君との間で交わした約束
あなたが忘れてしまっていても、私はずっと覚えてる……少し強引だったけど……右も左も分からず、どうやって闇の書の……家族が起こした事件の責任を取ればいいか全くわからなかったあの頃……恥ずかしそうにしながらも助けてくれた彼
初めの内はそんな事思わなかった……罪をお金で解決しようとする人……それでも助けてくれた事は事実やから何も言われへん……そう思ってた
でも、その常識はすぐに覆された
何度も誘拐されそうになる、命を常に狙われている、汚い大人達からの目線、周囲の偏見のみの評価、権力欲しさの女の人達、家そのものに対する恨み……考えれば考える程出てくる……彼はそんな遠い場所にいる人だった
こんな事を言ってしまってはなんだけど……私だったら耐えられない
あの事件が終わって、未だに私に対する悪い評価や偏見の目や恨みの目もあるけど……彼、ケント君があの時助けてくれたお陰で今こうして私は幸せに生きていられる
だけど……ケント君は違う、いくら頑張っても、いくら違うと言っても、いくら努力してもそれが報われる事はない、最後に評価されるのは後ろにある『コルテット』という組織だけ、ケント君の努力も、汗も……『コルテットの長男だから』で片付けられる……金持ちのお坊っちゃまだから……どうせ金で得た力なんだろ……そんな事ばっかり
ケント君は……そんな人じゃない
近くにいて、お話してそう感じた
恥ずかしがってるけど……本当はとても優しくて……カッコいい
だから……その優しさについ甘えてしまう自分がいる……この部隊を結成する時も……なのはちゃんが大怪我した時も……自分が不利になることを承知で助けてくれた
そして、いつもいつも私は助けてもらってばっかり……情けない
強くなった筈、大きくなった筈……でもそれは結局『筈』でしかなかったのだと実感させられる
「私が助ける」?今思うと全くそんな約束は果たせていない、ケント君は自分で何でも乗り越えてしまう
そんな彼を、はっきりと『好き』と感じたのはいつ頃だろう……はっきりと覚えてない
一緒にいると温かくて……優しくて……
彼は大きな存在、コルテットなんて関係ない、彼自身が大きい
身長は小さいんやけどな、まぁそれはしゃーない、可愛いは正義や
そんな、大きな彼の事が好き……はっきり言って無茶苦茶な事を言っていると思う、彼と私ではどう考えても釣り合わない
でも……誰にだって諦められないものがある、私はケント君の事が本気で好きやから
遠く、大きな存在、その隣に立ちたい、彼を、私がもっともっと頑張って支えたい
彼を守りたい、彼と一緒にいたい
欲張りやなぁとは私も思う、ライバルは多いしみんな可愛いし……当の本人は何か鈍いし
でも、この気持ちは本物
昔の私やったらどう思うやろ、今の私が普通の恋をして、こうして笑っていられるなんて
シグナムにヴィータ、シャマルにザフィーラ、なのはちゃんとフェイトちゃんと出会って……リィンフォースとも会って
今思ったらみんなと会う前の私は男の子との交流なんて無かった感じがする、だからかな?こうやって優しくしてくれたケント君をすぐ好きになってしもうたのは
でも、それで良かった、私は嬉しい、こうして恋が出来るなんて
今頃ケント君がいなかったら私は家族の罪を償うために恋なんか物とかけ離れた生活しとると思うし……ワーカーホリック?まぁ今はそんな感じなんやけど
こうして笑っていられるのもケント君のお陰、励ましてくれて、たすけてくれて
でも……そんな私が大好きな彼が、危ない
ジェイル・スカリエッティ……最初はカリムの予言を防ぐために六課の捕縛対象となった犯罪者
最初はその程度やった、でも今は違う
ケント君のレアスキルを狙って彼を襲う、アグスタでの事件、血だらけでボロボロな彼を見て気が狂いそうやった
もう彼を、ケント君をあんな目に合わせへん、一人で戦わせへん
ケント君が傷つくのは嫌や、苦しむのは嫌や
だから、もっともっと頑張って、早く彼の隣に立って支えないといけへん
私は、ケント君が大好きやから
作者の都合により明日から8月1日まで更新が出来ません
次回の更新は8月2日となります。