リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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それぞれのside

 

side   コルテットの護衛

 

 

 

最近妙だと思う………

何が?……コルテットがだ……

つい数年前まで完全なる隔離、他者であれば誰も受け入れない筈のコルテットがここの所何度も部外者を中に入れている

更にそれをケント様の部屋に……だ……

ケント様の許嫁ならよい、彼もそろそろコルテットの事を考えてお相手が出来てもよい頃だ

しかし毎回部屋に入れるのはただの執務官や将官でもない左官

絶世の美女らしいのだが……それだけでコルテットの時期頭首であるケント様の隣にいる事など出来ない、そもそも周りが納得しない

皆……疑問に思わないのだろうか……いや、何故だ?

そもそも執務官がコルテットに来たのは大分前の筈、なのに……何で俺は今の今まで疑問を抱かなかった?

何で、俺は今になって疑問を持った?

ケント様が俺たちを説得した?確かにそれもあった

だけど……なんで俺たちが、コルテット重役がそれを許した?

普通はコルテットの幹部全員の首が飛んでも可笑しくない筈……なのに何故、なんで……なんで、なんで……

 

 

ナンデ

 

 

 

 

 

 

 

 

side   ネリア

 

 

 

お姉様達がお泊りして、お兄様は聖王教会に行った

大事な話らしいから我儘言わなかったけど……聖王教会にもまた行ってみたいな、殆ど行った事ないし

まっ、それはそれとしてどうにかお泊り出来てよかった、はやてさんはお姉様のライバルだけど嫌いなわけじゃないしね、私の最終的な目的はお兄様が幸せになる事だし

それにしても悪魔手帳、ホントに使えるね~、これだけ頭の硬いコルテットを簡単に説得出来ちゃうなんて!!

 

…………あれ?悪魔手帳なんてあったっけ?

 

そういえば無いよ~な、あれ?作った……よね?

う~ん、あれ程の物だったら忘れない筈なんだけど……あれ?どうやって作ったんだったっけ?

お兄様の写真は大量に撮ってるしエッチい事も知ってるとして……私ってお兄様やお姉様以外の個人情報について興味あったっけ?

そんな事集めてるぐらいならお姉様達と遊んでた方が楽しいんだけど……アレ?

ん?じゃあ悪魔手帳なんてない?

だったら私、どうやってコルテットを説得したんだっけ?お兄様みたいな言語力私にはないし………

あれ……アレ?

 

 

 

 

 

 

 

 

side   コルテットのメイド

 

 

何でだろう……この頃コルテットに対して素直になった感じがする

最初は仕事が少なくて、求人募集とされていたパンレットを見て応募して……合格して……

別段コルテットに対して思い入れがあったわけでもありませんし、メイド服を見てずっと着なければいけない事に嫌気もさしていた筈……

なのに……今ではこの仕事を覚えてしまってケント様、ネリア様のお世話をする毎日

やってみると案外楽しくて、職場の同僚も増えて

ケント様もイケメンだし……性格もいい、周りに迷惑もあまりかけないようにしているご様子だし私たちの様な下っ端のメイドに対しても優しい

ずっとここで働いてもいいかな~、なんて思ったりもする、ケント様の為に……

ん?ケント様の為?

確かにそうだけど……あれ?なんででしょうか……この違和感

ホントにケント様の為?コルテットの為?

お給料の為?生活の為?

いつからこんなに考えがゴチャゴチャになったのだろう……あれ?これって私の意志だっけ?

そもそも職場の同僚達ともこの頃あまり喋ってない感じもする……あれ?

口を動かすより体が先に動いているというか……まるで知らない内に……自我があるのに操られているよう……

そ、そんな事ないですよね、少し疲れているだけ、明日は休暇をもらいましょう……

あれ?休暇ってとっていいんだっけ?

休みなんてあっていいんだっけ?

 

 

 

 

 

 

side   ???

 

 

『幻術……か、長時間かけ続ける事で自分がしている事に違和感を感じなくする、まるでそれが自身の意志の様に行動させる……コルテットの技術とは恐ろしい、その様な物を作ってしまうとは』

 

『全くだ、まぁ、お前の目的である《ケント・コルテット》に対しては無効……と言うのが少々気がかりであるが……それもこれもお前がいう《魂の質》が原因と言うべきか……』

 

 

真っ暗な部屋、そこに浮かぶのは脳

そしてそれを見守るのは一つの影、口を動かさず、だだその様子を見守る

 

『局の財力ではここまで持って来る事は出来なかった』

 

『お前の働きで今こうして、我等が直に動き、こうして《平和と秩序》を守ることが出来る』

 

この物達にとっての平和と秩序とはどの様な物なのかは分からないが……それがどれほどまでに腐りきった正義なのか、それによってどれほどの人々が犠牲になるのか……それをこの影の人物は知っている

だが……それを知っていてもやるべきことがある、もうそんなこと、この人物にとっては『その程度』なのだから……

どうせこいつらは自分が『中心』となる為の踏み台でしかないのだから

 

『魂の質……《指示をして》作らせた人形……やはりオリジナルとは程遠い存在だった、あのまま魔力タンクとして使い潰せればよかったのだが生憎、ケント・コルテットに保護されてしまい、新たな人形を作ろうにもあやつが研究所を潰してしまう始末よ』

 

『ふむ、やはりあのレアスキル、一筋縄ではいかぬか』

 

『目的を必ず達成し、あのスキル、必ず平和に役立てろ』

 

「……………わかりました」

 

影は一礼し、その場を後にする

 

後に残ったのは真っ黒な空間と、三つの巨大なビーカーの内の一つにに浮かぶ『一つの脳』、ただ……それだけ

 


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