「外へ出かけよう?何でまたいきなり」
「う~ん、私ね、こういう『家族でのふれあい』が少ないと思うんだ」
は?
「いや~、ぶっちゃけ私にとって家族ってお兄様だけだしね~、コルテットっていう縛りがあるにしてもその……時にはちゃんと楽しみたいな~て……いたずらとかじゃなくて……」
お前、自分の行動がどんだけ破天荒かちゃんとわかってたのか?
それはそうとある休日、唐突に発したネリアの『一緒に遊びたい』という言葉、「コルテットの人間が何を言っているんだ?」と思うかもしれない……確かにそうだ
だが……今考えるとネリアを保護して三年間、いつもネリアが俺に話しかけて家で何かをする以外殆どかまってやった事がない気がする
曲がりなりにもコルテットの人間、行ける場所は限られているしその中に娯楽施設など当然ない、ネリアも俺も一人の若者として町中を歩いたこともない……いや、俺はあるのだが……オルタ時に……
それは置いといてだ、ネリアももう十五才、ふくざつなお年頃
テレビだって見るしファッションにも気をつかう、その中で今話題のブランドや飲食店、食べ歩きや娯楽施設、そういった物も多いだろう
俺はまだ我慢できる、しかしみんながみんなそうとは限らない、破天荒なネリアも今考えてみると本当に『駄目』と言った場所には行かないし我慢してる、同人誌などを周りに買いに行かせてるのなどがいい例だ
まぁ、媚薬諸々は置いて置いて
「ご、ごめんなさい!!忘れて、うん、今のは忘れて」
アハハ~と頭をかきながら笑う妹
……よし
「じゃ、行くか」
「そうだよね、駄目だよ……ね?」
「どこ行きたい?よっぽどの所じゃない限り行かせてやるぞ?」
「ケ、ケント様!?」
周りの奴がガヤガヤ言っているがキッ、と睨みつけて黙らせる
もともとコルテットなんか組織が出来てしまったのは俺のせい、こんな組織のせいで彼女の若い時の思い出が殆どない、どこにも行った事がない……なんていうのもあれだしな、多少の無理は聞いてやろう
「本当に……いいの?」
「ああ、何がしたい?食べ歩きか?それともテーマパークに行きたいか?それとも……」
確か……この前目を輝かせながら見てたよな……可愛いとかかっこいいとか……『危険』とか言われて行けなかったけど……まぁいいか
「動物園!!」
妹の心からの我儘も、たまには聞いてやるとするか
「見て見てお兄様~、ペンギ~ン」
「遠くにいくなよ~」
はしゃぎ過ぎなネリアを見て苦笑いする
結局こんな形になったけど……まぁいいか
『動物園の購入』、それがコルテットが出した決定だった
広く、開放的な園内に獰猛な動物達……まぁこれは言い過ぎかもしれないが用は『遠距離から狙われる可能性がある』という事も意味している
てかネリアの心からの笑顔ってひさびさに見たな、何だかんだ言って結構コルテットとしている事で溜め込んでると思うし
俺は前世の記憶、ある程度成長した状態でこの生活を押し付けられたがネリアは違う、何だかんだ言ってもネリアはまだ三歳、『コルテット長女』などという重荷を背負うのには重すぎる
今って中三なんだよな……女の子友達とゲーセン行って、クラスの友達と遊んで、部活に青春する時期、それをネリアは『コルテット』という縛りのせいでできない、それがどれだけ辛い事か
そのせいもあってこんだけ甘いんだろうな、俺、ネリアって今まで心からの『我儘』を言う事は無かったから……
「お~、これがライオン………親近感を感じる」
「気のせいだ」
こう見たら普通の女の子……はぁ、俺もしっかりしないとな……
姿さえ見せた事がない転生者ばかりに気を取られてよっぽどの事がない限りかまってやれないし……
それにしてもネリア、なんでお前はライオンとそんなに目を合わせてるんだ……ライオンもライオンでどうした?
「何でだろう……無性に倒したくなってくる」
「因縁じゃないのか?もっと深い所からの」
「ん?」
本能だよ、赤い王としての本能
俺は無性にこいつのモノマネしたい衝動にかられるけどな、油断したら着ぐるみ発注しちまいそうだ
ともあれ……俺らと護衛以外に人がいないって不気味だ、動物園ってもっとゴチャゴチャした雰囲気あるからな、ここまで静かなのも滅多にないだろう……てか普通ない
ネリアはこれでよかったのかな……テレビとかでみた動物園ってリポーターがいて周りにインタビューを受ける人がいてってガヤガヤしてた筈だし………
「私はお兄様と来れたら別にいいよ、お姉様を連れて来れたらベストだったんだけど」
さいですか、そういやネリアにとってフェイトはもう『家族』なのかな……お姉様って呼んでるし
それにしても家族ねぇ、両親はどこで何かんがえてるかわからんから実質二人だけなんだよな、まぁ俺は別にそれでいいけど
ネリアにとってはどうなんだろうな……コルテットの裏事業に直接両親が関わっているという確証がまだ無い今、自身を作り出したのはコルテットであって両親ではない
それなのに一度も顔を出し出していない、彼女にとってはどんな気持ちなんだろうか……まるで自分は認められていないと……考え過ぎか?
フェイトの方はネリアが誘ったのだが断られたそうだ、なんでも今日一日は人手が少ないと
何でも日頃から休み無しの労働基準法など完全無視な新人達に一日休みを与えるようで、中心部にみんな行ってしまうと思うので後は隊長陣が仕事する……なんだこの違和感、何か忘れている気がするのだけど……
「お~、何この動物」
「サーベルタイガーとか、次元世界にはまだ存在してたんだな」
だいぶ前に絶滅してなかったか?
そういやミッド最大級の水族館で鯨の飼育に取り組み始めたとか何とか、科学技術が進んでる次元世界ならでわだな
「むぅ~」
「どうした?」
「ちゃんとみてる?」
「見てるよ」
頬を膨らまして目の前で怒るネリア、男子共がコルテットを恐れずに告白する勇気がでるのもわかる
まっ、まだまだネリアは俺の妹だけどな、どこの奴かわからない馬の骨に渡す気はさらさらない
それにしてもどうしようか、ここはミッド中心部にある動物園、腹も減ってきたし一度外に出て何か食いに行くか……毒味?させれば大半の物食えるだろうし……ん?
「報告します、ミッド中心部市街地でガジェットが出現した模様、そのうちの一編隊がこちらに向かっているという知らせが!!」
……………あっ、新人達の休日って……ヴィヴィオ事件じゃね?