『我が才を見よ』
怒りに満ちた声で詠唱する
『万雷の喝采を聞け』
必死に闇に手を伸ばす
大切な物の為に、失わない為に
『インペリウムの誉れをここに』
そこには目には闇を消すことのみ
全ての元凶を……この手で……
『咲き誇る花の如く……』
俺は………
『咲き狂え!!黄金の劇場よ!!』
何だよ……寝覚め悪りぃ……
無事に退院だっつーのに
「よかったよ、よかったよ……無事に退院できて……」
「何でそこで泣くんだ、無事だったのはフェイトのお陰だろ?」
ぐすぐす泣くフェイトを何とか泣き止ませる
後ろでは苦笑いのはやて、何とかしろよ
てことで無事退院、自己回復能力が効いたね、たったの一週間だ
まぁ、その間二人とも大変な筈なのに殆ど毎日お見舞いに来てくれた、カリムはここにはいないが無理言って聖王教会から抜け出してきて来てくれたし
ネリアは学校、たぶん早退してくるだろう、ちゃんと最後までいろと連絡しとこうか……
「でもほんま、何事もなく無事でよかったで」
「後遺症とかも残らなかったからな、六課のお陰だよ」
「そんな事ないわ、結局間に合ったんはフェイトちゃんだけやし、私もケント君が大変やって事知らされとったのにすぐに動かれへんかった」
「そっちはそっちで大変だったんだからしょうがないだろ?それにそういう謝罪は入院中何回も聞いたしな、母親みたいにネチネチするなよ」
「は、母親って……ま、まだ早いわ」
えへへと体をクネクネしだすはやて……どうした……
「で、仕事はいいのか?ただ単に退院して帰るだけなんだけど」
「少しの間お休み作ったんだ、夜には戻らないといけないけど暫くは平気だよ」
なるほど……てか二人とも九歳の時からかなり休みが溜まってるんだよな……それを今使ってるわけか
「私は午後には帰らなあかんねん、色々と忙しいからな~」
「陳述会か?」
「それやねん」
『公開意見陳述会』、数年前に俺が襲われた会議だ
あれから一応警備は強化され、テロは起きていない
ちなみに俺はあれから毎年行ってるぞ?肩書きだけでも『少将』であることには変わりないからほぼ強制で行かないといけないんだ
まぁ、その代わり特例としてデュランダルの持ち込みが許可された、ぶっちゃけ俺の場合デバイス無しでも『破壊(クラッシュ)』持ってる時点で危ないからな、今更という感じだ
「そこで六課も警備に当たるからな、今年は予言の事もあって危ないし……本当はケント君に来て欲しくないんやけど……」
「ん~、俺としてもあのクソ怠い会議には出たくないんだけどな……決まりは決まりだから……」
俺も一応局員だからしょうがない
今年はマッドのテロもあるし……デュランダルがあるから大丈夫か?
「レジアス中将の方はどうやったん?予言ちゃんと聞いてくれたん?」
「あ~、まだ言ってない、てか会う機会がない、退院もしたし陳述会までには言えると思うんだけど……」
「う~ん、そっか……」
あいつもあいつで大変だからな、すぐに時間が空くわけでもないし
それにしてもあれだな、今まで何とも思わなかったけどお見舞いもかねて警備緩くなったな、コルテット
転生したばかりの頃はコルテットに関係ない他人との接触は全然させてくれなかったのに……それにこの二人は言い方は悪いが元犯罪者、コルテットがそれを知らないわけがない
う~ん、考えても仕方がないか、個人的には可愛い女の子がお見舞いに来てくれるなんてすごく嬉しいし……てかやべぇ、一週間ベッドに寝てたきりのせいで性欲溜まりすぎ
背中から抱きついて何故かクンカクンカしてる金の子犬襲ってもいいかな……可愛い過ぎて抱きしめたくなるんだけど……一日抱き枕として一緒に寝てくれない?割とガチで
「陣述会の時に六課隊長の誰か護衛につけさす……って事出来へんか交渉してくれへん?やっぱり不安やわ、私」
「大丈夫だよ、それにどちらかと言うとデバイス持って入れるんだから俺って一番安全なんだぜ?いざとなったら逃げるしな」
「う~ん、それでも……」
はやては優しいけどホント心配性だよな、まぁ負けて入院した俺が言えた事じゃないんだけどな……
「そういえばネリアは?学校?」
「学校だよ、多分帰ってくると思けど」
今思うと結構サボってるよな、あいつ
この頃はネリアのファンクラブも撃沈されまくってアタック少ないらしいから何か生き生きとしてた、ストレスはあるのね、ただ……やっぱり前の事件は自分のせいだと思い込んでいるらしく見舞いの時は暗いんだよな……俺は元気なネリアが好きなんだけど……
「さて、無事退院やけどこれからどうするん?私としても帰って体治すって事をお勧めしたいんやけど……」
「そう……だね、また来るよ」
「ん、そうしてくれ」
コルテット内部にはやすやすと入れられないからな、また六課に遊びに行くか……