リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

94 / 176
増殖する『G』

 

「アクセルシュート!!」

 

エースオブエースが並み居る犯罪者達を捉える時に使うスフィアを放つ

大概の魔導師がこのダウンするだろう

 

「プラズマランサー!!」

 

電撃を纏った直射魔法、それは的確に、正確に敵を貫く

 

「破壊(クラッシュ)!!」

 

歩くロストロギアの代名詞、その攻撃にかかった敵は、塵も残さず消えうせる

 

突如起こった最終戦争

敵は最強のロストロギア

星が残した憎い奴、人類の最大の敵であり唯一対抗できる生命物体

人はその生命物体をこう呼ぶ

 

『G』………と……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐおーー、消しても消してもキリがねぇ!!」

 

「貫いても動くよ!!感電させても動くよ!!」

 

「フェ、フェイトちゃん!?潰したら卵撒き散らしたんだけど!?」

 

なのはぁ!!Gに『潰す』という概念は通用しねぇ!!

奴らは確実に、次世代の種を残す!!潰すことによって卵を撒き散らすんだ!!

新聞紙&スリッパ隊!!絶対に潰すな!!

さっきまでの!?ちゃんと消毒したさ!!

 

「ふ、ふにゃ、ふにゃ、ス、スターライトブレイ……」

 

「やめてなのはちゃん!?六課が消えてまう!!」

 

暴走しようとしたなのはをはやてが必死に制止する

 

『うわぁーーーん!!マーーーマーーーー!!』

 

「ヴィヴィオ!?今行く……ディバインバスター!!」

 

廊下が無残な姿へと変貌しはやてが血の涙を流す

はやて、そんなにこっちを見ても出さないぞ、修理費、これはお前の部隊の問題なんだから

それにしてもヴィヴィオいたのね、この事態ですっかり忘れてた

恐らくはアイナ……だったか?その人と一緒に非難しているのだろうが……そこにも現れたか……

ちなみに今俺達がいるのは六課の中でも激戦区、『部隊長室前廊下』

 

どうやらさっき俺が案内された部屋にあったダンボールは『これくらいの大きさ』という見本であって本物は部隊長室に置きっぱなし

いくら俊敏なGといってもすぐに移動出来るわけではない、というかその場に固まる

そう、部隊長室、そこが決戦の舞台なのだ……そして今俺らがいる場所は前の廊下……どんだけいるんだよ……もう数十匹は殺したぞ?一人で

 

ん?そういや卵?

 

(ゴキブリを潰したら卵が飛び散る、だけど目には見えない筈……なんでなのはは飛び散ったとわかったんだ?)

 

分からん、確かめる為にさっきまでなのはがいた場所を見てみる

 

 

孵化した幼虫がいました

 

 

はい、魔法ですね、わかります

 

 

「クラァァァァァシュ!!」

 

プシャーンと消える幼虫

蟲の成長促進魔法……手間取りかけやがって!!

 

「え?Gってこんなに成長早いん!?」

 

「んなわけないだろ!魔法だ魔法!!絶望的な状況だぞこれは!!」

 

なんせ卵を完全消滅させないといけないのだ、無茶ぶりにも程がある

今の所完全破壊が出来るのは俺だけ、はやてやフェイトは部隊を出来るだけ壊さないようにしているが……これでは数が増える一方だ

 

「どうにかして一箇所に集めたいんだけど……シグナムとの連絡は?」

 

「あと数十分で着くって、カートリッジも問題無しや」

 

よし、炎熱系の魔法が使える人間が一人いるだけで全然違う

部隊長室に関しては一度軽く焼き払った方が良さそうだ

 

「ケント様……ってうわ!?」

 

「なんかコルテットで収穫あったか!?てかないんなら作らせる!!」

 

「これを!!」

 

投げ渡される一つの缶、こ、これは!?

 

「コルテット製のゴキジェットです!!これを一吹きすればGは器官レベルまで死滅します」

 

「これをありったけチャーターしろ!!大至急!!」

 

「了解!!」

 

やっぱりコルテット、伊達に財閥名乗ってねぇ!!

一吹きで終了とか、画期的過ぎるのにも程がある!!

 

「フェイト!!パス!!」

 

「うん、いくよ!!ゴキジェット!!」

 

いくよ、バルディッシュのノリでゴキジェットを片手に持つフェイト

そして、その後ろから放たれるオレンジ色の魔力弾

 

「フェイトさん、私が動きを抑えるんでその隙に!!」

 

「ありがとうティアナ!!うぉぉぉぉ!!」

 

ゴキジェット片手に雄叫びをあげる美女、シュールだ

それにしてもG相手に魔力弾を全て的確に当てるなんて凄ぇ、それを連射してるし

 

くそっ、まさか過激戦力で無敵の部隊とまで言われた六課がたった一つのダンボールで機能停止するとは……本局、地上本部に向かって大量のGを放っとけば原作でマッドは目的を達成できたんじゃないのか?

 

それはともかく、ここは俺や隊長陣が抑えているのでまだマシだが他は結構苦戦しているらしい、どこから現れるか、どのような攻撃を仕掛けてくるか全く分からないからな

クソッ、それにしても部隊長室までの道のりが遠い、ドンドン出てくるしゃねぇかG!!

 

「これだったら部隊長室でどれだけ繁殖力してるか……想像したくもないな!!」

 

「うう、あそこには私の宝物があるのに……」

 

宝物?それは……どうするか……

 

「ちなみに何?」

 

「写真」

 

「誰の?」

 

「それは……秘密や!!」

 

好きな人とデートでも行ったのだろうか

あれから結構経ってるから……付き合ってても不思議じゃないよな……

 

背中を合わせる、相手はG、油断は出来ない

 

しかし………

 

「あーーもう、ディバイン」

 

「え?なのはちゃん!?」

 

目に涙を溜めたなのは

ヴィヴィオの所でだいぶ苦戦したらしいな、そして何だ?その杖の先にたまる絶大な魔力は……

 

「バスタァァァァァ!!」

 

ズバァン、と廊下以上の大きさを誇る砲撃が通り過ぎる

向こう側にはどでかい穴、うん

 

「はやて、やっぱり修理費出してやる……」

 

「ハハ、ハハ……」

 

真っ白に燃え尽きたはやての肩に手を置く

ダメだ、返事がない

 

それにしても、今の一撃で廊下にいたGがまとめて消し飛んだな、これで少し楽になる

 

「なのは………」

 

「なのはさん……」

 

「なのは………」

 

「え?私のせいなの!?」

 

あなた以外に誰がいる

 

「まっ、残るは部隊長室一つ、後はコルテットの人間に任せればいいよ、それともシグナムが帰って来るまで待つか?」

 

「う~ん、シグナムが帰って来るまでに部隊長室にいるアレが外に漏れたらまた駆除しないといけないからね、私達で出来るようなら終わらせよう」

 

「了解」

 

取り合えず護衛が持ってきたゴキジェットを左手に持ちながら部隊長室のドアの前に立つ

左なのは右でスキル使うから、まっ、いざとなれば直観で何とかなるだろ

 

「なのはの砲撃でドアが壊れてるね、力づくで開けるしかない……か」

 

「ドアを吹っ飛ばすっていうのは?」

 

「考え方が暴力的過ぎる、てかそれしたら俺達だけで対象出来ない時に閉められないだろ?ザフィー呼ぶのが一番だって」

 

俺?力無いのです

セイバーの腕みてみろ、筋力Aには思えん、てか俺にはあいつみたいは無限魔力ってわけじゃない

 

「じゃあザフィーラさん呼んで来ますね、すぐに戻って来るので」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

ティアナがザフィーラを呼びに行く

それにしてもホント、殺風景になったな、廊下

はやてはもう戦力外か、ヴィヴィオに突っつかれて遊ばれてる

………ヴィヴィオ?

 

「ちょっ!?何でヴィヴィオがここにいるの!?」

 

「ん~とね、アイナさんが倒れちゃったの」

 

アイナさん……気絶したな、幼いこの子にGの恐ろしさが分からない、よく言えばGに対抗しうる最強の手札、魔法が使えたらの話だが

 

「えっと、ちょっといいかな、ケント」

 

「どした~」

 

肩をフェイトにちょんちょんと突つかれる

仕草がいちいち可愛らしいのは天然なんだ、うん

 

「あのね……お願いがあるんだけど……いいかな?」

 

「お願い?何でまた……」

 

「えっとね……はやての宝物っていう写真、どうにかして取り戻して欲しいんだ……私とはやてはライバルだけど、やっぱりそういうのは良くないと思うから」

 

ライバル……ねぇ……

いいよなホント、リア充は………

 

「まっ、出来るかぎり頑張ってみるよ、写真なんて紛失したら二度と戻って来ないからな」

 

「うん、ありがと」

 

そうこう言っている内にザフィー到着

どうやらコルテットで『G生命反応レーダー』なるものが開発されていたらしい、それを使って今その部屋には何匹のGが潜んでいるか調査したのだとか

それを聞くとゆっくりだが順調に駆除は進んでいるらしい、後はこの部隊長室……

 

「では、開けるぞ」

 

なのははヴィヴィオを安全な場所へ、はやては戦力外、俺とフェイト、ザフィーだけだが何とかなるだろう

ザフィーはゴキジェット二刀流だし……拳使えよ盾の騎士……

 

ザフィーがとびらに手を当て横にずらす

配置としては扉を開けるザフィーの後ろに俺とフェイトが構えている状態………なぁ、一つ聞いていいか?

普通さ………

 

 

 

真っ黒な部屋ってないよな?

 

 

 

ピシャッと音がしてとびらにが閉まる

ザフィーは無言、俺も無言、フェイトは震えて俺に抱きついている……当たってるがそんな事を考えている余裕がない

……どうやって駆除すんだ?

 

「…….さて、どうする」

 

「………」

 

「………」

 

ザフィーの問いかけにも終始無言の俺達

いや、いくらなんでも繁殖力高すぎ、ダンボールが届いてどれくらいの時間が経っているのかは知らないがあれだけの量となれば逆にグロいぞ?

 

「ケン……ト」

 

そしてこの半泣きand上目遣いの子猫、持ち帰りホントに駄目ですか?

可愛い過ぎて全俺が萌えた

 

さて、かと言って問題が解決したわけでも無し

シグナムが帰って来ても一度で燃やせない可能性大、逆にやられるんじゃないか?

 

……どうするか

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。