リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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進行する『G』

 

「さて……どうする」

 

「…………」

 

「…………」

 

ザフィーラもフェイトも何もいわない、そりゃそうか

扉を開けてから数十分、そう、本当はシグナムが帰ってくる時間

しかし彼女は……来ない

 

理由は簡単、ミッドに出没した犯罪者が近くにいるので捕まえてほしいとの局からの連絡があったから

当然、それが現行犯ならなおの事、彼女自身かなり渋ったようなのだが『部隊にGが出没した為出動できません!!』なんて言えない、てかふざけるなと返されるのがオチ

そういうわけでシグナムは来ない、現場検証やら事後処理やらで夜まで戻らない、ふざけるなっつーの

 

で、恐らくだが部隊長室では未だにGが増殖を続けている、原作Fateでの蟲蔵並みに充満しているのではないだろうか?

桜はあの中にいたんだね、ガチで同情するよ

 

「…………もう、六課ごと破壊するしかない感じがする」

 

「さっき言ってた写真は?」

 

「背に腹はかえられないよ」

 

フェイトさんが鬱になっております

彼女も乙女、長時間こんな空間にいる事自体が耐えられないよね

それはそうと部隊長室からはGはこれ以上外に出てこない

理由はと言うと俺の結界、皇帝特権使って『Gのみ対応』の封鎖結界作った、術式ならSランク並みの

そのせいで魔力凄い使ってるんだよな、俺だって無限に魔力があるわけでもないし早く解決しないとヤバイ

 

「ふむぅ、やはり『バル○ン』を投げ込むのが一番手っ取り早いと思うのだが……」

 

「コルテット製のか?駆除能力は保証するけど暫く部隊長室使えないぜ?完全破壊よりはいいかもしれないけど」

 

特に後処理、そこまでは面倒見ないぞ?

 

「それを抜きにしたらやっぱり焼き払う、かな?結界して外に炎がもれないようにしてから」

 

「まぁ、あの竜がいるから出来ない事もないと思うがあの大きさだと火力発電不足だな、少なくとも大っきくすればなんとかなるがどうやってはいるかが問題となる、開けた瞬間流れ込んで来るぞ?」

 

「うう……」

 

固有結界に閉じ込める……けどなぁ

『黄金劇場』を使ったのはもうなん年も昔の事だしあの時は二人だったから出来た芸当で……

まぁ歳月によってできる様になってるかもしれないけどあれ、みんな知らないんだよな、主に記憶の改変で

それに主な理由が黄金劇場にアレを入れたくない、汚れる

 

「フェイトちゃん、ケント君!!シグナムさんの代わりに助っ人呼んだよ~」

 

「はぁ?」

 

助っ人って、てかなのは、今までどこにいたんだよ

 

「ヴィヴィオを訓練場まで非難させてたんだよ、それとケント君が結界使ってるって聞いて助っ人呼んだんだ」

 

「へぇ、あ、話変わるけどお前、はやてがこんなになってる事に心当たりあるか?」

 

目線を移す

 

真白な灰、もといはやてがそこにいた

口からフワフワしている物が抜けそうだが放置で

そんな彼女を見て頬に指を当てるなのは

うん

 

「どうしたの?はやてちゃん?」

 

「………」

 

それは素で言ってるのかどうなのか……

取り合えずこの廊下見ろ、夢の部隊の成れの果てだ

まっ、話をもどして

 

「助っ人って誰?てかどこにいんの?」

 

「もうすぐ来ると思うよ、あっ、メール」

 

相手は……ユーノか……

ん?ユーノ?十九年間全く会ってなかったから忘れてた、確かなのはの恋人第一候補だよな?

いつまでも『友達以上恋人未満』の関係、本気でいつ結婚すんだよ、お前ら

 

「お待たせなのは」

 

タッタッタと走り寄って来る美男子……アレ?

 

(キャラ被ってる?)

 

今まで気にした事は無かったのだが……うん

 

後ろでくくった金髪の髪

エメラルドの瞳

どことなく『女』とも見える風貌

どちらもスーツ(俺は黒、ユーノは茶色)

自分で言うのもアレだがどちらも美男子

俺は今大人モードの為身長も差異無い

 

………違っているという所を上げれば……どちかと言うと俺は『凛々しくて』ユーノは『優しい』と言った感じか?

向こうも同じ事を思ったのだろうか、ユーノも少しの間硬直する、あ、焦ってる

 

「えっとえっと!!け、ケント・コルテット少将!!お初にお目にかかります!!」

 

「あ~、そんな硬くならなくていいよ、リラックスしていこ~」

 

硬過ぎも、ねぇ?

まぁ初対面でこれならまだいいほうかな?ガチな奴は何も言えなくて硬直したままの奴もいるし

 

「まぁ、はやて達と違って勤務外だろ?プライベートな感じでいいよ」

 

「「うっ!!」」

 

フェイトとなのはが今度は硬直する

お前らは勤務中、上官に対してホントは敬語なんだぞ?わかってるのか?

 

「け、ケント・コルテット少将」

 

「いや、冗談だから、無理して言わなくていいぞ?」

 

何でそこで涙目になるんだ、フェイトは?

 

「だって、ケントが何処か遠い存在になっちゃった感じがして……」

 

「はぁ?」

 

だからって泣くか?

 

「えっと、どうすればいいのかななのは?見た所かなり高度な結界が張られてる様だけど」

 

「け、ケント少将は術式のコピーお願い出来ますか?後は、こ、こちらが引き受けるので」

 

お前まで無理しなくてもいいぞ、なのは

てかこいつら、はやてに対してはちゃんと上官として扱うのに何で俺に関してはそんなに違和感MAXなんだよ、そんなに似合わないか?

まぁ……

 

「どうするつもりだ?結界の術者を移すと言っても問題解決にはならないだろ?」

 

「それは簡単、ユーノ君に結界を収縮してもらえばいいんだよ、ある程度小さく、Gをその場に集めたらケント君で全部破壊するって戦法」

 

「……………なるほど」

 

つまりは結界を搾まして中のGを小さい結界の中に集めるって戦法か

で、俺の手が空き、尚且つ小さい事で範囲を定めやすくなった『破壊』で一網打尽って事か、中々やるな、なのはも

 

「けど大丈夫なのか?相当難しいぞ?この結界」

 

「それは任せて下さい、支援は僕の本業ですから」

 

なるほどね、やっぱり本職は違うか

偽物の能力より日頃な努力だもんな、最終的には

 

「じゃあお願いする、ある程度縮小出来たら扉開けるから言って、俺が全部『破壊』する」

 

「はい、お願いします」

 

コピーが終わって教えたんだけど……凄え理解力、数分で読み込んぢまったよ、この天才

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、なのはの案は上手くいった

部隊長室にいたGは全てバルーン状の結界の中に集められ、俺が完全破壊

気持ち悪かったな、アレ、なんだよギュウギュウにしてあの大きさって、四畳部屋一つ入るくらいの量いたぞ?Gが

グネグネ動いてるのは気持ち悪かった、トラウマだな、あれ

まっ、はやての宝物とかいうのも守られたし、部隊長の損傷もゼロ、センサーにも六課内にGがいない事も確認済み、これでようやく終わったという事になる

 

ただ………

 

「後片付けまでは……しないぞ?」

 

「………どうしよ、これ」

 

いや、誤算だったのよ、俺は『G』を完全に封じ込める結界を作ったけど……Gの排泄物までは考えてなかったんだよな~

おかげで部隊長は違う意味で真っ黒、そして臭い、うん、ドンマイ

はやてもまた違う感じで真っ白になってるし……はぁ

 

「取り合えずネリアが早く帰ってこいとうるさいから今日は帰るな、疲れたし」

 

「あっ、うん、お疲れや~」

 

アハハ~、と若干請われたはやてを尻目にその場を後にする

……また明日清掃班送っておいてやろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フム、それにしてもセイン、ウェンディ、この前君達が私に魔改造を頼んできた『アレ』はどこにやったんだい?」

 

薄暗いラボで一人の男が後ろではしゃいでいた水色の髪の女性、赤色の髪の女性に声をかける

二人は動きをピタリと止め、クスクスとお互い笑い合う……どちらかといえば悪役の笑い方ではなく『イタズラに成功した子供の笑い』に近いだろう

答えは簡単、数日前、この二人の父のラボ、研究機材の廃棄場である生物を見つけたのが事の始まり

探せば数匹を発見、何か面白い事に使えないかと思い父に魔改造を依頼、最強の『繁殖力』を……と……

たった数匹は一日で数十匹に増え、『ある場所』に到着するまでにまだまだ繁殖するだろう

そう考えると笑いが止まらない、これは一足早い宣戦布告なのだ、と

二人の父が疑問そうな顔をするので二人は「せーの」とくちを揃えて言う

 

「六課に送った(ッス)」

 

 

この事がバレて二人は六課前線陣+ケントからの地獄の晩餐が代わりに送られる事になるのだが、それはまた先の話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カサカサカサ………

 

影でなにかが動く

クネクネした触覚、黒光りした体

 

「ホント、いなくなってよかったね~」

 

「レーダーに反応ないそうだよ、これで安心だね」

 

 

カサカサカサカサ………

 

 

生物は生き残る為に日々進化する

科学の領域を超えた場所へと……

 

 

カサカサカサカサ……

 

 

壁の隅に空いた小さな穴

その中へスッポリと入る『何か』

そして……そこから光る幾つもの『目』

 

 

 

 

カサカサカサ………

 

 

 

カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ

 

 

 

 

奴らに滅びなど、ない

 


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