プロローグ【俺、天海春香の弟です。】
それは、13年前の事だった。
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俺は、会社に入りたての新入社員「咲浩二」。
「咲」という名字もあってか、子供の頃からいじられ続けていた。
それは今、会社勤めになっても変わらない。
会社の昼休みに入り俺は、会社にある一つの個室に入っていた。
その個室には、いつもは他の同僚がいるが、今日は何故かいない。
ゆっくりさせてもらおう。
「はぁ、この名字、嫌だなぁ...せめて、アイマスのキャラになれさえすれば...まぁ、そんなの無理だよな」
俺は筋鐘入りの「プロデューサー」だった。
もう初期のアイマスからプロデューサー業をしているので、10年以上になる。
ガチャッ
「あ、咲さん、どうしました?」
「いや、ちょっと...ね」
この個室に入っていた女の子、この子の名前は「天海花蓮」。
俺の好きなアイドルマスターのアイドル「天海春香」と苗字が一緒なことから、妙な親近感がある。
「あー、ひょっとして咲さん、苗字の事気にしてるでしょ!」
「え、なんでわかったの?」
「だって、咲さん、いつもいつも、苗字の事ばかり話してるんですもん...」
「あ、職場内で苗字が嫌だって何度も言ってるの、聞こえてた?」
「はい、バッチリと」
あちゃー、聞こえてたか...この子にだけは聞かれたくなかったんだけどなぁ...
「でも、私は、咲さんの苗字、いいと思いますよ!」
「え、どうして?」
「だって、その苗字可愛いじゃないですか!男子ウケはしないと思いますけど、女の子は好きだと思います!」
「いや、そう言われても俺男だし、男と連まずに女と連んでたらちょっとあれじゃん...」
「まぁ確かにそうですけど、そんなのは気にしないほうがいいんですよ。人は人、自分は自分、そう割り振れば関係ないですよ」
「そ、そうかな...」
俺は、花蓮さんに振り回されていた。
俺、男だろ。なんで女の子に振り回されてるんだよ...
「咲さん、今から一緒にお昼行きませんか?」
「いいけど、外か?」
「はい!いい店私、知ってるんで」
「わかった、だがあんまり高い所にはいかないぞ?」
「え?なんでですか?」
「そりゃ、金がなくなっちゃうからね。できるだけ食費は浮かせないと」
「わかりました...」
花蓮ちゃんはあからさまにシュンとする。
あぁ、可愛い...このまま見てたい...
「咲さん、どうかしましたか?」
やば、見られちゃった。
「いや、なんでもないよ」
「そうですか...」
「それじゃ、行きましょう!」
「あ、うん!」
俺達は職場の外に出て、彼女が言う美味しい店へと向かう。
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ガガガガガガガガカ...........
「このビル、潰れちゃうんですね...」
「そうなんだよな....」
会社の横にあったビルに入っていた小さなゲームセンター。
ここには現時点での稼働が極稀である「アイドルマスター」の初代筐体。いわゆる「アケマス」が10年以上経って現在でも稼働していたのだ。たまに仕事帰りにアケマスをプレイしたりもしていた。
そんな所が潰されてしまうと感じると、ちょっと悲しくなってしまう。
そんな事考えつつも、俺は工事現場の横を通り過ぎた。
その時だった。
ガシャン
「ん、なんだ?」
突然頭上の遥か上から聞こえる金属の音。
俺は、上を向く。
「や、やばい!!!」
そう、上から物が落ちてきたのだ。
その物とは金属製の板だった。
それは花蓮ちゃんめがけて落下する。
「花蓮ちゃん、伏せて!!!!」
「えっ?」
俺は花蓮ちゃんを伏せさせ、それに覆い被さる。
グシャ
自分の体から骨の砕ける音、その砕けた骨が臓器に刺さる。
幸いなのは心臓や肺に直撃しなかった事。
だが、臓器に骨が刺さっているせいか、血反吐を吐く。
その血反吐は花蓮ちゃんへかかる。
「え...?」
ゆっくりとこちらを振り向く彼女。
彼女の顔は段々と歪んで行く。
「さきさん!!!さきさん、しっかりしてくだい!!!!」
俺を呼ぶ彼女の声。だが、俺にはそれに返答するような力は残されておらず、ただヒューヒューと息をするだけであった。
意識も朦朧とし、視界もどんどんとぼやける。
「咲さん!!死んじゃいやです!!!!」
彼女はボロボロと可愛い顔をくしゃくしゃにしながら泣いている。
俺もできれば、死にたくはなかったよ。
だけど、もうそれは叶わない。
意識が完全に途切れた。
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「な、なんだここは...俺は死んだはずじゃ....まさか天国か!?」
目を覚ますととそこは狭く、暗い場所。
「いや、天国にしては暗すぎるし狭すぎる」
俺は一体どこに来たんだ、そう考えていた。
そのとき自分の体に不思議なことが起こった。
「な、なんだ...体が勝手に動く...!」
何もしていないのにもかかわらずひとりでに動く自分の体。
それはどうやっても、どう抗っても、覆らない状況だった。
「俺は一体なんなんだ...?」
次第に目の前が明るくなる。
「やった!!!!外だ!!!!」
オギャァァァァァァ!!オギャァァァァァァ!!!!
「よく頑張りましたねー!可愛い男の子ですよ!」
どう言うことだ。なぜ俺が産声を上げている。
そして可愛い男の子?どう言う事だ。そして周りの人達が大きすぎる。
俺の目の前には、体の大きな女性が。
「初めまして。私はあなたのママ。あなたの名前は「冬乃」。
「天海冬乃」よ。」
この時俺は、初めて自分の状況に気づいた。
あの暗くて狭いと言う場所は、言うなればこの女性の子宮。
そして産声を上げ、抱きかかえられる。
そう、自分は「転生」したのだ。それは異世界でもなく、普通の日本の一家族の子供として...
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そして、13年後。今に至るわけだ。
この13年間で、普通の家族とは違うと気づいた点がいくつかある。
1つ目は、この世界で俺は男として生まれた。
だが、容姿端麗、綺麗な長い茶髪、すらりとした体、白い肌、ごつごつしていない骨、高い声。
そして、極め付けの、童顔だ。
そう、男で生まれたはずだが、完全に見た目が女の子である。
天然の「男の娘」となったのだ。
そして、俺の髪の毛の両サイドには、赤いリボンが付いている。
これは俺の姉がつけてくれた。
「っと、そろそろ出かける時間だ」
俺は、髪の毛はそのままに、ジーパンにスウェットを着て、ポケット付きのパーカーを着る。そしてそのポケットに手を突っ込む。
見た目は完全に女の子だが性格も体も男なので、シンプルな男性ファッションだ。
俺は、1階のリビングへと降りる。
「おはよー...」
「冬乃、その服装はダメだよ...見た目そんなに可愛いのに、なんで男のファッションなの?」
「いや、俺男だし、この格好普通じゃん?なんでいけないんだよ」
「いやだって、あなたは女の子みたいだから、逆に男の子のファッションをしちゃったら、目立っちゃうの...」
「そんなの関係ねぇよ。俺はこの服装が好きなだけだ」
「もう、相変わらず頑固だね」
「それよりねぇちゃん、どこいくの?」
「ふふっ、それはついてからのお楽しみ!」
「あ、焦らした!そう言うの俺一番嫌いなんすけど!!!」
「文句言わないの!!!」
「はぁい」
俺たち姉弟は、家を出発した。
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電車に揺られる事1時間、ある場所へと到着した。
「ここは、まさか...?」
到着したそこは、隣にゲームセンターがある小さな雑居ビル。
1階には「たるき亭」と呼ばれる飯屋。
エレベーターのないビル。
階段を登る。
そして俺の目の前には、ある文字が書かれていた。
それはーーーーーーーーーー
「765プロダクション...?」
もう、お気付きの方もいるだろう。
そう、ピンク色のリボン、765プロダクション所属。
2つ目は、そう。
俺の姉は「アイドルマスター」のアイドル「天海春香」。
俺はその弟の「天海冬乃」だ。
まさか、転生した時、姉が天海春香だなんて思わなかった。
そんな俺がなぜ765プロダクションの目の前にいるんだって?
「うん、冬乃を私が所属しているアイドル事務所にアイドルとして入ってもらおうかな?って」
だ、そうだ。
「いや、俺男だし第一ここのプロダクション全部女子じゃん。合格するわけない」
「まぁ、いいからいいから!!!!」
「そう、抵抗しなくていいの!オーディションに受かったら私たちがいっぱいサポートするから!!」
「いや、そう言う問題じゃないでしょ!って、ちょ、姉ちゃん待って!!!!」
「それではようこそ!私たちの「765プロ」へ!!!!」
俺は果たして、本当に765プロのオーディションに合格し、アイドルになってしまうのだろうか...俺は春香、もとい姉に手を引かれながら、アイドルへの挑戦が始まる...!!!
はじめまして、今回からアイマス二次創作小説を書くことになりました。よろしくお願いします!
※投稿時の名前は「蓮華」でしたが、「春香」の「春」が季節なので、主人公の名前を季節の「冬」をつけて「冬乃」にしました。ご了承ください。