俺は、流されるがまま、勝手にアイドルになってしまった。
しかも、「男の娘」アイドルだ。
この世界に来て、天海春香の弟になってよかった。
が、誰もアイドルになりたいとは言っていない。
家でのんびり暮らして、単なる天海春香の弟として暮らしたかった。
なのに、何でこうなったのか。
だが、俺の人生はこの「アイドルマスター」の世界。
そして俺はアイドルになった。
これは揺るぎない事実。
だったらこの世界で人気になってやろうじゃないか!と、心に決めた。
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「冬乃くん、どうだった?」
「小鳥さん、どうもこうもないですよ...勝手に決められるし流されるがままアイドルになっちゃったし...」
「ふふ、そうだよね。いきなりアイドルにさせられたら誰だって困るよね...」
「でも、すぐになれると思うわよ?みんな、色々と世話焼いてくれるから!」
「そうですね...頑張ります!」
「うん!新しいジャンルのアイドルの一番星になってね!」
「はい!!!」
ん?一番星?SideMの天道輝のセリフじゃないか...?
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俺は、765プロダクションを離れようとした。
「冬乃くん!!!」
名前を呼ばれ振り返ると、アイドル全員が集結していた。
「アイドルになったんだね!!!」
笑顔で俺の方を向いて、そう言ってくる。
「笑顔で言われると、勝手にアイドルにさせられたなんて言いづらいじゃないですか...」
「別に言って大丈夫だよ!誰だって勝手に決められたら、困るよね...」
「でも安心して!私達が、精一杯サポートしてあげるから!」
「ありがとうございます!先輩方に言ってもらえると心強いです!」
「うん、これからも分からない所あったら、みんなに聞いてね!」
「はい!!!」
ここから、俺のアイドル人生が始まるんだ。気を引き締めていかないと...
そう考えていると、春香がこちらに走って、こう話しかけてきた。
「冬乃、プロデューサーさんが、集まって欲しいって!」
「わかった、姉ちゃん!」
どうやらプロデューサーが呼んでいるようだ。
急いで全員、プロデューサーの居る場所へと集まる。
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「みんな、集まったな?」
一同「はい!!!」
「よし、冬乃もいるな、じゃあ、話を始めようか」
赤羽根Pが、この場所に皆を集めた理由について、語り始めた。
「今日、みんなには「宣材写真」を撮ってもらいたいと思う」
なるほど、宣材写真か...これは俺たちアイドルの顔売りの、地味だがとっても大事な活動の一つだ。
「ねぇねぇ兄ちゃん!宣材写真って手をゴシゴシ洗う洗剤の事?」
亜美真美はやはり、天然というか、バカというか、何も知らないというか...
何というボケの仕方だ。これがネタじゃなかったらとんでもないぞ、おい...
「いや、そうじゃないよ。宣材写真って言うのは、アイドルになって、テレビ局や色々な方に顔売りをするための資料というふうに考えて貰えばいいかな!」
さすがはプロデューサーだな、その辺りのことはわかっているようだ。
「なるほドンキー!」
なるほドンキーとか、さすが亜美真美の考えることだ。ぶっ飛んでる。
それにしても、さっき入ったばっかりの俺も...?そこが気になり、質問をした。
「プロデューサー、それって俺もですか?入ったばかりなのに...」
「ああ、そうだ。社長が、すぐに向こうの方に話をつけてくれたみたいだからな...」
「社長曰く、「男の娘」アイドルという話をしたら、相手さんがすごいテンションが上がったらしく、すぐに宣材写真をお願いしたらしいんだ」
いや、社長の行動力凄まじいな。
あの短時間で話をつけたのか。
それと「男の娘」の需要がやばすぎる。確かにアイドルってのは珍しいかもな...しかも13歳だし...
「わかりました!」
とりあえず今はそこまでの細かいところは気にしないでおこう。
プロデューサーの説明も終わり、俺達は、撮影のスタジオへと向かった。
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「はぇ〜、ここがスタジオかぁ...」
撮影スタジオについたのだが、そこはモデルが使うようなしっかりとした設備の整ったスタジオだった。
被写体を照らす照明、しっかりとした大きなカメラ、白い背景。
それは前世のテレビでよく見る撮影現場だった。
そりゃ前世に見てた撮影もアイドルとか女優だから一緒みたいなものか。
俺は、感動しつつも、しっかりと撮影の用意をした。
プロデューサーからのアドバイス曰く、メイクなどはこれからテレビに出ることがあると思うので、しっかり勉強すること、とのことだった。
まぁ、メイクをしっかりしなきゃテレビ映りとか撮影で顔がはっきりしないっていうもんね。
服装は、今の私服でいいようだ。というか、コスチュームを用意する資金がまだないらしい。
さすがは初期の765プロだ。
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パシャッ!!!
他のアイドル達が、写真を撮っていく。
「もっともっと!自然な笑顔で!!」
「は、はい...」
だが、 千早はアニメ同様、自然な笑顔を出せずにいた。
「一旦撮影ストップしてください!!」
プロデューサーが一旦撮影を止める。
アドバイスするタイミングができたので、俺は、少し千早にアドバイスをしてみた。
「千早さん、自然な笑顔が出せないんですか?」
「冬乃さん...は、はい」
「そういう時は、無理して笑顔を作らなくていいんです」
「...え?」
「無理に笑顔を作ろうとすると、自然な笑顔じゃないので、やっぱり写り方が変になっちゃいます。」
「こういう時は、自分の好きな事を考えれば、自然と笑顔が出ますよ!」
「こういう時は自分の好きなことを考えれば、自然と笑顔が出るよ!」
「あっ...」
まさかの赤羽根Pとセリフがシンクロしてしまった。
「あはは、冬乃も同じこと考えてたんだね」
「は、はい...」
「とまぁ、そういうことだ。好きなことを考えよう。例えば、歌を歌っている時とか...」
「なるほど...実行してみます!!」
少し千早に自信が出たように見えた。
これで笑顔になるといいけどな...
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「カメラマンさん、撮影お願いします!!!」
カメラマンは撮影を再開した。
「(私は、歌うのが大好き...だったら、歌ってみよう...)」
千早が歌い始めた。
歌っているその表情は、楽しげな表情で満ちていた。
「千早さん、いい笑顔してますね...」
「そうだな、さっきとは全く違う、自然の笑顔だ...」
さっきの説明が功を奏したのか、千早の表情に自然な笑顔が出ていた。
これは言う価値があったようだった。
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「冬乃さん、お願いしま〜す」
「はい!!!」
「さて、次は俺の番だな」
俺は、椅子から重い腰をあげ、撮影場所へと向かっていく。
メイクアップもしてもらった。
メイクをしてもらった人に「君、男の子なんだってね?それにしては髪の毛長いしちゃんと手入れされてるし、顔立ちも綺麗だし、腕も細いし、もう女の子にしか見えないわよ!」
と賞賛されまくりだった。
正直むず痒さを感じるレベルだ。
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「撮影、始めまーす、よろしくお願いします!」
「は、はい!!!」
だがいざカメラの前に立ってみると、緊張してガチガチになってしまう。
そして、ライトが点いて、俺という被写体を照らす。
「(うぐっ)」
少しライトの光でくらっときてしまった。
だが、ライブとなるともっときついライトが俺を照らし、観客達も皆サイリウムを振って、俺たちを応援する。こんなところで緊張などしてはいけないのだ。
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「冬乃くん、ちょっと笑顔硬いよ〜!もう少し、自然に、自然に!」
「は、はい!!!」
だが、自然にと言われてもそう簡単にできるわけでもなく、しばらくの間苦労していた。
「カメラマンさん、撮影ちょっと止めて!」
その時、撮影を止め、プロデューサーが駆け寄ってくる。
「冬乃、さっき君が言ったじゃないか。「自然な笑顔は楽しい気持ちになってる時に出る」って!」
アドバイスをくれたプロデューサー。さっき俺たちが千早にアドバイスした時の千早の感情は、こういう感じだったのかもしれないな...
「はっ、そうでした!アドバイスありがとうございます!!!」
「いいんだよ!」
「カメラマンさん、撮影、続けてください!」
俺の気持ちは吹っ切れ、もうどうにでもなれ!という気持ちで、撮影に挑んだ。
だが、いきなり楽しいこと、と言われてもなかなか思いつかない。
その時、前世のある記憶が蘇った。
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「よーし、今日もアケマス、やるぞ!」
「やべっ、今日1クレしかできねぇじゃん...まぁいいか!」
春香「おはようございます!プロデューサーさん!今日は、レッスンをいっぱいやりたいです!!!」ワクワク
「お、今日も春香は元気だね〜!」
社長「おお、アイドルランク上昇だ。これからも精進してほしい。」
「やった!アイドルランク上がった!」
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それは前世、アケマスで遊んでいた頃の記憶だった。
あの頃は楽しかったなぁ...でも今は逆の立場だ。俺がプロデュースされる立場だ。がんばるぞ!!!
その感情のまま、笑顔をし、親指を上に立て、人差し指を前に出し、指をピストルの形にする。
そのまま、撃つような体制をとり、ウィンクをする。
パシャッ!!!!
そのカメラに映った俺は、ピストルを撃つ体制をし、ウィンクをするその姿は、美少女そのものだった。