あっそうだ(唐突)中学生がアルバイトできるのかとか何の変哲もないそんじょそこらの中学生を執事にするのかとかいう疑問は捨てるんだ
あくまで創作の世界だからね。オーケー?
「んーと、星華さんでしたっけ。話が見えてこないんですけど・・・」
「何も難しいことはありません。麗華お嬢様の身の回りのお手伝いをしていただきたいのです」
「なんでまた急に。普段からそういうことしてる人はいるんでしょう?」
「えぇ、普段お嬢様の身の回りのお世話はわたくしともう一人、
「だったら俺がする必要は「ところがその東が急病を患い連休中は休むとのことでして」はぁ・・・?」
俺は唐突な話に戸惑いを隠せなかった。当然のことながら俺に執事なんてした経験なんぞないし、むしろ俺とアイツは今ケンカ中だ。気まずいだけだろうに
「詳しいお話は翔さんの保護者の方も交えてと存じますがよろしいでしょうか」
「はぁ、ちょっと待ってもらっていいですかね、なんせ急な話なんで」
「えぇ、構いません。むしろこちらが急に押しかけたのです。いくらでもお待ちしますよ」
俺は鞄を部屋に置くと、おばさんに事のあらましを説明して星華さんを居間にあげた。
おばさんは手早くお茶を入れると
「すいませんね、大したおもてなしもできなくて」
「いえ、こちらこそ急に押しかけてしまい申し訳ありません。さっそく本題の方に入ってよろしいでしょうか?」
「えぇ、詳しく聞かせてくださいな。どうしてうちの子を雇おうと思ったのかとかね」
詳しく話を聞いていくと、
まず、どうしても男手が必要な場面が出てくるということ。
次に、仮にも身の回りの世話をするのだから少しでも交友関係のある人間が好ましいということ。
調査の結果、麗華と現状一番仲のいい男子は俺、天野翔であるということ。
さらに言えば俺は一通りの家事が一流とまで言わなくともこなすことができるということ。
これらが俺に白羽の矢が立った理由らしい。
確かにもっともな理由ではあるが彼らは大事なことをひとつ見落としている
「あのぉ、ひとついいですか?」
「ん?あぁ、申し訳ありません。わたくしとしたことが賃金についてのお話を忘れていました」
そういうとどこからともなく電卓を取り出し叩くと俺たちに見せてきた
「連休をすべて仕事に費やしていただくことになりますが、突然ということもありますのでこれだけお支払して良いと旦那様、つまりは麗華お嬢様のお父上に当たる方から仰せつかっております」
「うわ、さすが東豪寺・・・」
「あらぁ、こんなにいただけるの?いいじゃないのよ。私は止めないわよ、いい経験になるんじゃないかしら」
「えぇ、普通では経験できないようなことも経験できると思います。ただ泊まり込みの仕事になるということも念頭に入れていただけると。あぁ、もちろん食住はこちらで保証します」
「いや、あの、そうじゃなくてですね、俺は麗華、さんと今ケンカしてっきりまともに口きいてないんすよね」
「えぇ、存じております」
「それでもいいんですか?」
「実を言いますとこちらでも数名ほど候補を絞りまして最終的にはお嬢様に選んでいただきました。その点に関しては問題ないかと」
「っ、そう、ですか・・・」
そう言うと俺はしばらく考え始めた
正直悪くない条件だ。普段からやってるようなことの延長線だし聞いた分にはさほど苦ではなさそうだ
ケンカしたとはいえ、それなりに気心知れた相手だ。顔も名前も知らない相手よりは遙かにいい
特に連休中に予定があったわけでもない。引き受けてみてもいいかもしれない
そして何より麗華が自分の事を選んでくれたのがちょっぴり嬉しくて、どこか誇らしいような気がした
「わかりました。こちらこそお願いします」
「引き受けてくださいますか?ありがとうございます。それではお屋敷に来ていただき、連休の間は泊まり込みになりますがよろしいでしょうか?」
「はい、わかりました。持っていかなきゃならないものってのは「連休中の替えの下着、可能であれば無地の白、黒の靴下。なければこちらで貸出しますのでおっしゃってください。あと寝る時の服ですね」あぁ、はい分かりました」
「昼間といいますか職務中はこちらで執事服を貸し出すのでそちらを着ていただくことになりますので、そのくらいの荷物で構いません。ほかにご質問は?」
「んー、あぁ、当日は何時ごろ行けばいいんですかね?」
「朝の8時ごろに来ていただければ問題ないかと」
「朝8時に家の前に行けばいいんですね?」
「はいそれでかまいません。到着次第インターホンを押していただければ。ほかにご質問等なければこれで失礼させていただきますが」
こちら側が納得したとみたのか星華さんは荷物をまとめて家を出ていった
そしてあっという間に初仕事の日がやってきた
「やっぱアイツの家でけぇよなぁ・・・今日からここで働くとか実感わかねぇよこんなの・・・」
そう呟いてから深呼吸を1回、インターホンに指を伸ばした時、門の陰からメガネのおじさんが出てきた。
まさにダンディとはこのことを言うのかという風貌のおじさんだった
「おはよう。きっちり5分前、感心だね」
「あっ、おはようございます。天野翔です。今日から数日間よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく頼むよ。私はこの屋敷の執事長を務めている新田だ。早速だがこれから執事服に着替えてもらって、麗華お嬢様の方へご挨拶に伺う。こっちだ、ついてきてもらおうか」
新田さんはそういうと俺を屋敷の使用人の控室に案内してくれた
「あら、翔さん。おはようございます。今日からよろしくお願いしますね」
「あぁ、星華さん。おはようございます。今日からよろしくお願いします」
「では星華くん、彼の事を頼んでもいいかな?着替えた後に彼と一緒にお嬢様のもとに朝のご挨拶に伺ってくれ」
「はい、お任せください。では翔さん、こちらの執事服をお使いになってください」
言われるままに執事服に着替えた俺は星華さんと麗華の部屋に向かってる間に必要最低限の事を叩き込まれていた
「忘れてはいけないのは私たちは使用人であるということです。普段は同級生であってもこの家でその執事服を着てる限りは使用人ですからお嬢様にも敬語を使うようにしてください。また、私たち使用人にとって主の命は絶対です。時には諭すのも使用人の務めではありますが基本的には従ってもらいます。ふむ、とりあえずはこんなところでしょうか、ちょうどお嬢様のお部屋の前に到着しましたしね。翔さんはここで少しの間待っててください」
そう言いながら星華さんはノックしてドアを開けると部屋に入った
「お嬢様、おはようございます」
「んぅ~?せいかぁ?きょうくらいはもうすこしねかせて・・・せっかくのやすみなんだからぁ」
「もう9時になりますよ。休みの日とはいえあまり生活リズムを崩されてはいけません。それに今朝は連休中に東の代わりを務めてもらう方のご挨拶もございますから手早くご支度をお願いいたします」
「はいはい、わかったわよ。洗面器とタオルは?」
「はいこちらに」
「ありがと。着替えは自分でするから下がっていいわよ。終わったら呼ぶから代理と一緒に入ってきなさい」
「かしこまりました。失礼させていただきます」
それから数分後麗華の支度が終わったのか星華さんを呼ぶ声がしたので一緒に部屋に入り、
「おはようございますお嬢様この連休の間東様の代わりを務めさせていただきます天野です。よろしくお願いします」
「なんで、なんで、アンタがここに、しかもそんな恰好でいるのよ・・・っ!」
えっ?
ずいぶんと時間がかかってしまった・・・
シーンというか情景というかは頭にあるのに言語化するのってわかってたけど難しいなぁ・・・
ちなみに感想とかこうしたらいいんじゃないかみたいな意見等もらえると作者のモチベーションが上がる可能性が高いと思われます
返信はできてないけどちゃんと頂いた感想は目を通してます
ありがとうございます
次回もご覧いただけると幸いです