Fate/Bankrupt Murder(仮)   作:三角定規の角

1 / 5
直接的な単語は無いからR-15で良いんだよね(震え声)
でも、開幕コレはひどいと思う。

あと、主人公は結構後ろ向き+現実主義です。


Bankrupt Death

人気のない深夜、住宅街の路地に少年が倒れていた。

腹には包丁が突き刺さり、流れ出た血液が赤い水溜りを作り出す。もう生きてはいないだろうと考えた下手人は、道路に倒れ伏す()()を見るとニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべその死体の服を脱がし、自身の欲求のまま行為に及んだ。

 

…そして、自らの欲望を全て吐き出しその場から立ち去った。周囲には男性特有の異臭が漂い、その場にはベタついた少年の死体のみが残されていた、、

 

いや、死体という言葉には語弊があるだろう。何故なら――

   ――彼は行為が終わり、男が立ち去った後も生きていたのだから。

 

立ち去る男を凄まじい形相で睨みつけ、少年は誰にも聞こえないようなか細い声で何かを呟くとしばらく壁にもたれていたがやがてひっそりと息絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――俺は何のために生きているのだろうか。

――俺は何のために生きていたのだろうか。

 

 

俺の両親はとても優秀だ。

母は若くして天才と言われる研究者、なんの研究かは知らないが。

父は別名“ワンマンアーミー”と渾名されている社長、素晴らしい経営手腕とカリスマ性、甘いマスクを備えた化物だ。

弟と妹は両親の素晴らしい所を兼ね備えた様な人間に産まれてきた。

弟は父からカリスマ性と類稀なる分析力と観察眼、整った顔を受け継ぎ、母からは探究心と知識欲を受け継いだ。

妹は母の探究心と父の分析力、世渡りの才能、そして天才的な頭脳を持っていた、どれもこれも俺には無い。才能が無いと気付いたのは小学校2年生の頃だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優れた家族の中で自分だけが無能…それは幼かった彼からすればとても受け入れられない出来事だったであろう。

 

 

 

弟のカリスマに憧れた。

妹の知識量に驚愕した。

父の話術を研究した。

母の研究を理解しようと努力した。

 

 

 

しかし、現実は非情である。弟と妹がメキメキと才覚を現すのに対し、彼は特筆すべき能力は開花しなかった。そして両親から見放され始めた頃、彼は悟ってしまった――この親子には敵わない、と。

悟ってしまった彼の心は表現できないほどに荒れた。

 

何故自分には彼等彼女等の才能が無かったのか、何故自分だけ非才なのか、何故家族に出来て自分にできないのか…彼は自分を責め続けた。

 

 

それらができないのは全て己の責任だと、己の努力が足りないのだと

――彼は努力し続けた。

 

 

文字が綺麗に書けないのなら指から血が出るほどノートに文字を書き綴った、妹が料理を上手に作れるなら彼も料理を作り続けた、弟が勉強ができるなら自分も目を血走らせながら勉強した。

 

しかし結果はどれも追いつけなかった。練習により、どれもこれも一般人よりも上手くはできるがそれでも家族に勝てなかった。彼は泣いた、声が枯れるまで泣いた、そして理解した。己の限界(才能)を、努力などでは到底埋められない才能の差を。

 

彼は恨んだ、己を産んだ両親を、才覚溢れる兄妹を、そして才能の無い己を。その頃から彼は次第に家族に対する苦手意識を持ち始めた。弟からは侮蔑の目を向け、彼と会話をしなくなった。

 

しかし妹は彼の味方であり続けた。だが彼が一番距離を取ったのは妹だ、自らに近づく人間には距離を取っていたが妹だけは常人より更に距離を置いた、距離を置いた理由は妹が自分に構い、己の様に家族に見捨てられる事を恐れた…と、建前では言っているが本当は違う。

 

……それは、こんな非才の己を心配し慈しむ事ができる妹。そんな妹をただ恨む事しかできない己…彼女の近くにいればいるほど己がいかに矮小で愚かな存在かをありありと思い知らされるのだ。彼としては、弟の様に侮蔑の目を向けられる方がまだマシなのだ。

 

しばらくすると、妹も話しかけなくなった。心配そうな目を向けてくるのは相変わらずだが。

 

そして彼が小学校4年生になった頃…そこから彼の人生の転落が始まった。

 

彼の母が病気で死に、父が新しい妻を娶ったのだ。それだけならばいい、しかしその継母と彼の折り合いが良くなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

世間では素晴らしい家族と言われているが俺はそうは思えない。確かに傍から見れば素晴らしい親かも知れないが…どいつもこいつも最低だ。継母はもちろん、父も。

 

弟は俺に侮蔑の目を向けてくるし、継母は俺の事はストレス発散の為のサンドバッグと思っている。父も昔は優しかったが、母が死んでからは人が変わったように俺に当たり散らすようになった。

 

唯一妹は俺に優しくしてくれるが…それが逆に俺の心を締め付ける。非凡な才能を持っている妹を俺は恨んでいるのに、優しくされる。つまりは人間的な部分でも負けているのだ、俺は。

 

 

 

 

朝、親が俺の腹を蹴って起床させ飯を作らせる。

その後は学校に遅れるが家の掃除。うるさいと継母に罵られ、暴力を振るわれながらも掃除をする。それを終えると学校へ。

 

学校のクズ(いじめっ子)に毎日遅れて来るせいで目をつけられ、虐めの日々。

休み時間にトイレへ連れて行かれ暴行に耐える。

先生も俺をサボり魔だと決めつけ嫌がらせをしてくるが、今日はただの説教(体罰)で済んだ。周りの先生も俺の事を嫌っているので見て見ぬふりだ。

 

一度先生に「何故嫌われているのか」と聞いたことがある、返答は

「宿題もしない、学校は遅れ続ける、会話の反応がハイかイイエしかしない」などと散々言われた。

 

家に帰れば宿題等をする暇もなく晩飯の準備をし、継母からの暴力を受けてから風呂洗い。

親父が帰って来たらその日一日よ中で最も過酷な時間がやってきた合図、ビール瓶や灰皿で殴られる事は日常茶飯事で腹や腕、足などには青アザが大量にできている。

 

しかし、力加減はわかっているようで俺が骨折した事はあまりない。

…今日は会社で他社の社長から嫌味を言われたらしい、いつもより一段と酷かった。

 

晩飯を作って出したあと、昨日や一昨日の残り(ご馳走)に手を付ける。

虫が飛んでいたりする時もあるが問題ない、何故なら食えるから。

こんな環境で何年も暮らしていたせいか、味を感じる事ができなくなった。味覚だけじゃなく痛覚もほぼ無くなっている、もう既に人間としての機能は死んでいるのかもしれない。髪の色は抜けて白髪になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日もいつもの様に買い物に行かされた、そして気づいたらこのザマだ。腹に包丁を刺されて辱めを受けて…俺らしい最期だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、あの男には感謝すらしている。そりゃあ辱めを受けた事に関してはとても腹が立ったがそれでもこの地獄から抜け出す事ができるのはあの男のおかげだ。

そろそろ、眠くなってきた。もう良いだろう?俺はよく頑張ったと思いたい。努力はしたが才能の差は埋められなかった、ただそれだけの事なんだ。ようやくこのしがらみから開放される、悔いしかないがこんな世界に生き続けるならば死んだほうがマシだ…。俺…が死んで…困る人…間なん、居な…い、。

これで…よう、く、逝ける……………………………。

 

 

 

 

                小泉 龍馬 --享年 15--




こんな感じなの

感想とか批評とか…アドバイス等くれると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。