Medaro IS メダルと共に   作:アマゾンズ

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ロクショウがチャンバラソード二刀流。

VTシステム?起動


第十一話 目覚めろ、その魂

片付けと話を終えた翌日、一夏とシャルルは千冬に呼ばれていた。

 

なんの事かと思いきや、大事な話があるとの一点張りで分からない。防音の効いた生徒指導室に入ると同時に千冬は直球で言葉を発した。

 

「シャルル、お前は女だな?」

 

「な、何を言っているんですか!僕は男ですよ!」

 

「そ、そうだよ!千冬姉!シャルルは男だぜ?」

 

予想通りの言葉に千冬は将矢から聞いていた見分け方を使うことにした。女の身で使うのは心苦しいと思いながらも実行する。

 

「やれやれ、少し強引になるが」

 

千冬はシャルルの胸元と股間部に手を当てようとした。その瞬間にシャルルから悲鳴と女のように身体をよじった。

 

「な、何をするんですか!?織斑先生!」

 

「千冬姉!?」

 

「やはり、男であれば晒のような硬い布を胸に巻くわけがないだろう?喧嘩支度でもない限りな」

 

「あ・・・」

 

千冬の一言と悲鳴を上げてしまった事で隠してきたものが、全てバレてしまったとシャルルは直感した。

 

「それだけではない。お前が男ならば世間が騒いでいるはずだろう?」

 

「ま、待ってくれよ!じゃあ将矢の奴は何で騒がれないんだ!?」

 

「私の知り合いを通じて、本人から公にしたくないと連絡があったからな。これでハッキリしたとにかく座れ」

 

千冬の言葉は正論であった。女性にしか反応しないISをシャルルが男として動かしたとなれば世界的なニュースになっているが、男装した女性であるのならば動かせることにも納得がいき、話題にならない事も理由がつくと。観念したのかシャルルは椅子に座った千冬の前に座り、話を始めた。

 

「なるほどな、デュノア社の社運を強引に託されたという事か。性別を偽ったのは宣伝広告という訳だな」

 

「はい」

 

「私が完全になんとか出来る訳ではないが、手を打ってみよう。デュノア、お前の本名は?」

 

「シャルロットです。シャルロット・デュノア」

 

「そうか」

 

「ほ、本当になんとか出来るのかよ!?」

 

「ただし、デュノア自らが話したことにする」

 

「え?」

 

千冬の言葉に一夏は呆気にとられた声を出すが、シャルロットは頷いていた。

 

「性別の間違いによる書類不備、これくらいしか報告できん。スパイ活動に関してはある程度伝えるがな。デュノア、しばらくの謹慎と監視は覚悟しておけ」

 

「分かりました」

 

「な、なんでだよ!?謹慎と監視って」

 

「当然だ馬鹿者、未遂に終わったとはいえスパイ活動していた事に変わりはない。再犯する可能性を視野に入れるのは当たり前だ」

 

「だ、だけど!」

 

「良いんだよ、一夏。ボクはそれだけの事をしてるんだ、謹慎と監視で済むなんてかなりの温情だよ」

 

「っ・・」

 

納得がいっていない一夏ではあったが、シャルロット自身が納得しており説得したため何も言えなかった。

 

「みんなを守るとか言っておいて俺は何一つ守れてないじゃないか・・・くそっ!」

 

一夏は自分の中で悔しさを爆発させていた。誰のせいでもなく、誰も責める事は出来ず、自分の弱さを改めて自覚させられた。自分でなんとかしようと思い立ち、友人だと思った将矢に協力を頼もうとしたが、返って来たのは自分達の置かれている立場を自覚させられる言葉だった。

 

特別待遇されている一介の高校生が、大企業相手に何ができるのかと。

 

将矢の言葉は自分以上に現実的で正確であった。自分はそんな考えに至ってはいなかった。自分の中にあった特記事項に関する知識をいかせば、シャルロットを助けられると確信を得ていた。

 

だが、現実には問題の先送りというだけであった。シャルロットは代表候補生、更には学園の外から出れば特記事項は適応されず帰国命令が出れば帰る事になってしまう。

 

そこまで読み切って将矢は一夏を止めたのだろうか?将矢自身は一夏を否定はしていない、ただ考えの違いが強すぎるだけなのだ。

 

守りたいという考えは男なら誰しも持つだろう、自分の恋人、財産、生活、居場所、家族、友人、自分とこれらは己と関わった全てともいえる。

 

将矢の場合は自分の手の届く限りという一本の境界線を引いている。大を生かすために小を切り捨てるといった思考は持っておらず、全員を救おうとも考えてはいない。

 

どんなに助けようとしても助けられない命がある。寿命であったり、大病であったり、致命的な怪我を負ったりなど多数だ。それこそ、彼の考えの中にある切り捨てなければならないものである。

 

 

それは一夏も同じだ。守りたいものは将矢とほとんど変わらない。

 

だが、彼の場合は助けようとする範囲が広すぎて、助けられるはずもないものまで助けようとし、助けられるものすら助けられない事が起きやすくなってしまうのだ。

 

更には救おうとしても手に負えなくなると、自分から自発的な行動をしなくなってしまう。

 

具体例を上げれば心臓を貫かれ、あきらかに致命傷を負っているのにも関わらず助けると希望を持たせた後、別の誰かを助けようと動くが手に負えなくなり、結果、全てを見捨てて逃げる形になってしまう。

 

それでは、信頼を寄せた相手が失望し、逆恨みされてしまう事になる。

 

今回のシャルロットの件は見捨てる形になりやすいものだった。将矢もメダルからの知識アドバイスがなければ、余計な事をしたと恨まれてしまう事になっただろう。

 

早い段階で千冬に明かした事で、シャルロットはフランスの刑務所に入る事はしなくて済んだのだ。

 

「一夏、この事は他言無用だ。もし、話せばデュノア社から個人に訴えが来る事になるぞ」

 

千冬からの釘差しに一夏は黙って頷く他なかった。

 

 

 

 

 

 

 

シャルロットことシャルルは四日間の謹慎の後、授業に復帰していた。それに伴いタッグトーナメントについて説明を聞いている。

 

二人一組でペアを作り、申請すればよいというものらしい。一夏にはかなりの人数が殺到したが将矢には来なかった。

 

クラス代表を決める戦いで起こったビーストマスターの暴走、さらには無人機乱入事件でのゴッドエンペラーによる破壊行動。それらの出来事と合わせ将矢からの報復を恐れて、誰一人として将矢の所に現れなかった。

 

中には女尊男卑の意志が強い者、イケメンではないからなどのミーハーな理由もある。

 

本音を始めとする、相川清香、四十院神楽などは既にペアを組んでしまった事を将矢に伝え、謝っていた。

 

本人は至って気にしておらず当日、抽選で決まるという話を聞いていた為、それで構わないと。

 

「今回は・・・、二刀流で行こうかな。それとも火力で行こうか」

 

組み換えパーツの一覧を見ながら、トーナメントに備えどちらの戦法にするか考えながらも時間は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてトーナメント当日となった。将矢はペアが決まらず今日の抽選でペアが決まることになる。セシリアと鈴は機体に不備が見つかり、出場は不可だそうだ。その原因としてブルー・ティアーズはハンターで設置したトラップによるダメージ、甲龍はオーバードライブ状態のスラフティンと戦った際の無茶な反応速度による過負荷にものだ。

 

「出場できないのは悔しいですわね」

 

「仕方ないわ、私達が無事でもISが無事じゃないんだもの」

 

「その代わり、スラフティンの戦いを見させてもらいましょ」

 

「ええ」

 

彼女達はいつの間にか、親友に近い関係になっていた。共に切磋琢磨し合い、直感を重んじる鈴と理論を綿密な確率に基づいた理論を重んじるセシリア。考え方は全くの正反対だが、確率や角度による命中率の計算、確率では測れないタイミング。

 

それら正反対の要素が彼女達を引きつけ、友人にさせたのだろう。二人の流れは交わったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

将矢はトーナメント表を見ようと廊下に来ていた。そこには一夏の姿もある、将矢を見て一夏は声をかけた。

 

「将矢、どうやら改めて戦うことが出来るみたいだぜ?」

 

「なんだって?」

 

「トーナメント表を見てみろよ」

 

催促され、トーナメント表を見るとそこには組み合わせが発表されており、将矢は驚いた。

 

土谷将矢・ラウラ・ボーデヴィッヒVS織斑一夏・シャルル・デュノアと書かれていたのだ。

 

「なるほど、だから戦えると言ったのか」

 

「あの時のようにはいかないからな?」

 

「勝負は時の運、どちらに転ぶかはわからないさ」

 

一夏の闘気を将矢は受け流すように言葉を紡ぐ。闘志が無い訳ではない、真っ直ぐに闘志をぶつけるだけが闘気とは言わない。内に秘めて燃え上がらせるのも闘気なのだ。

 

「それじゃ、試合でな」

 

「ああ」

 

一夏は彼に怒りをぶつけなかった。いや、ぶつけることが出来なかったのだ。将矢自身は何一つ一夏に対して怒りをぶつけられる事はしていない。怒りの原因は自分自身の弱さにある。その為に矛先は自分へと向けるしかない。その怒りを他人にぶつけるのは、ただの八つ当たりでしかないのだから。

 

 

 

 

 

将矢は控え室であるロッカー室に来ていた。シャルルの機体に関しては銃火器を使う事、盾殺しと呼ばれるパイルバンカーを装備しており、量産機であるラファールの改造機だということしか分からなかった。

 

ロッカー室にはラウラが椅子に座って目を閉じていたが、開くと将矢に鋭い眼光を向けた。

 

「いいか?織斑一夏を倒したら次は貴様だ!」

 

「タッグマッチでパートナーを倒す宣言かい?」

 

「ふん、本来ならば私一人で十分だ」

 

ラウラは現役の軍人であり隊長でもある。それだけにプライドが高く戦闘に関しても自分が格上だと自負しているのだろう。

 

将矢は気にすることもなく、予定した通りロクショウ、メタビーとの打ち合わせを始めた。

 

『最近、ロクショウばっかりじゃねーか!』

 

『仕方ないだろう。射撃武器を使いながら格闘戦を仕掛けた結果だ』

 

メタビーは実務授業の時、射撃武器を使い弾切れになった時、装甲に任せた格闘戦を仕掛けて勝利してしまった。負けず嫌いのメタビーらしいといえばらしいが、それ以降、強すぎてバランスが取れんとのことでメタルビートルの使用を控えるよう千冬に頼み込まれてしまったのだ。

 

『うう・・・俺の自業自得かよぉ』

 

「ごめんよ、出番の時はちゃんと活躍させるから。行こう、ロクショウ」

 

『うむ』

 

試合時間となり、将矢とラウラはアリーナへと入っていく。既に一夏とシャルルは入っていたようだ。

 

「遅かったな」

 

「そっちが早すぎるんだよ。さて、スラフティン、起動!モード・クワガタ!ヘッドシザース、アクティブ!!頭部・左腕パーツ換装、ハンター、マッハソードR!」

 

頭部・ハンター 右腕・チャンバラソード 左腕・マッハソードR 脚部・タタッカー

 

「パーツがバラバラだ」

 

「今回は二刀流で行かせてもらうよ」

 

ヘッドシザースの右腕であるチャンバラソードとマッハマッシヴRのマッハソードR、二本のチャンバラソードを装備したロクショウは、心静かであったが感情は高ぶっていた。

 

『一度は装備してみたかった二刀のチャンバラソード・・・感謝する』

 

「いいよ、その代わりサポートを頼む」

 

「無論!」

 

「それでは、ロボトルゥゥゥ!ファイトォォォ!!」

 

試合が開始され、一夏とシャルルが突撃してくる。この様子では恐らく分断してくるだろう。ならば

 

「悪いけど勝手に行動させてもらうよ、ラウラは一夏と戦えばいい」

 

「ふん、勝手にしろ。貴様も倒すことを忘れるな」

 

分断されるのならば先に相手を決めてしまえばいい。そうやって行動した将矢は早かった。

 

「な!」

 

「え?」

 

二人は想定していなかったような表情であった。一夏はラウラの相手をシャルルに任せ、将矢を相手にしようとしていたのだろう、目論見は崩され逆の立場になってしまったのだ。

 

「織斑一夏、貴様の相手は私だ!」

 

「予定を狂わされた!?」

 

「ご覧のとおりみたいだから、シャルル・・・君の相手は俺だ」

 

「良いよ、一度は手合わせしたかったからね!」

 

そういってシャルルは両手にマシンガンを構え、撃ってきた。ヘッドシザースの機動力で楽々と回避しているが問題はそこではなかった。

 

「まるで・・・湖に映った月を掴むみたいな感じだ」

 

攻撃を仕掛けようとチャンバラソードを振るうが、間合いを外され、引こうとすれば攻撃と共に距離を詰められる。

 

シャルルが使っているのは純粋な技術であり、砂漠の逃げ水と呼ばれる高等技術である。砂漠のオアシスを掴もうとすれば陽炎のごとく消え失せ、諦めて去ろうとすれば再び見えてくる。

 

『まるで蜃気楼だな。将矢、目で追うな・・・心を落ち着けて気配で感じろ』

 

「ああ」

 

負う事を止め、身体を自然体にする。構えを取っていないため観客やシャルルからすれば諦めたようにも見える。

 

「諦めたのかな?それなら一気に決めさせてもらうよ!」

 

シャルルは一気に間合いを詰め、盾殺しと呼ばれるパイルバンカーの砲口をスラフティンへと向ける。これこそがロクショウの狙っていたタイミングであった。

 

『今だ!』

 

「!はっ!」

 

「え?うああああ!」

 

自然体からの一閃。日本の剣術の技である居合抜きと同じ要領で切り払ったのだ。これには観客達も驚愕せざるを得なかった。

 

「う・・・自然体に見せかけて一撃を狙うなんて」

 

「日本剣術は西洋剣術と違って「斬る」事に特化してるからね。それだけのことさ、もう・・・蜃気楼には惑わされないよ。ハンター、起動!」

 

頭部パーツのハンターを使用回数限界まで使い、シャルルの砂漠の逃げ水を塞ぐ作戦に出た。スラフティンはハンターの対射撃用トラップを限界まで設置した。

 

「うおおおおおお!」

 

「っう!武器を斬られる!?」

 

シャルルの機体であるラファールのカスタム機は手数が多い踏んで、武器を潰していく作戦に出たのだ。主に中距離で使うマシンガンタイプの武器を潰す事で、遠距離攻撃だけに集中させようとしている。

 

 

「あとはライフルと盾殺しだけ・・・でも、負けない・・・きゃあ!?」

 

アサルトライフルを撃つ瞬間、ライフルが暴発する。それはハンターによって設置された対射撃用トラップの攻撃であった。

 

「銃火器を使うってデータにあったからね。悪いけど対射撃用トラップを仕掛けさせてもらったよ」

 

「対射撃用のトラップだって!?」

 

「そう、銃火器を使えばさっきみたいに反応して攻撃するトラップさ。どうする?まだ、戦うかい?」

 

自分の手持ちの武装を確認するシャルルであったが、盾殺しを除けば全て射撃武器だった。このまま戦いを続けてもなぶり殺しの状態になる。そうなる前に降参するのが正しい選択であった。

 

「降参だよ・・・」

 

その瞬間、ラファールは戦闘不能と放送され、ラウラと戦っていた一夏が驚く。

 

「シャルルがやられたのか!?」

 

「よそ見をしているとは、随分と余裕があるんだな!」

 

「ぐっ!」

 

ワイヤーブレードとプラズマ手刀だけでラウラは戦っている。将矢は手出しせずにアリーナの隅っこで待機していた。

 

戦う前に一夏と戦うのは自分だとラウラに念を押されたためだ。同時にハンターを設置する可能性が高い事を伝えたために、レールガンは使わないほうがいいとで伝えてもある。

 

「これで教官の弟とはな、やはり貴様は始末する汚点に過ぎない!あの方に相応しいのは私だ!」

 

「ふざけんな!千冬姉はものじゃねえ!俺の家族だ!自分勝手に扱ってんじゃねええ!」

 

一夏は無意識に鍔迫り合いに持ち込み、競り合う中で零落白夜を発動した。だが、これが零落白夜の正しい使い方でもあった。

 

「何!?」

 

射撃用の機体には間合いを詰め一撃で落し、中距離、近接の相手には競り合いの中で発動しそのまま切り倒す。

 

「うおおおおおお!」

 

「ぐああああああああああ!?」

 

体重の乗った零落白夜による唐竹を受け、ラウラは吹き飛ばされ大破に近い状態でスパークを起こしている。

 

「ば、バカ・・な・・・私が」

 

「自分の物差しだけで他人の実力を計るからだよ・・・人というのはどこで底力が出てくるかわからないものさ」

 

吹き飛ばされた先は将矢のすぐ近くで、一夏は雪片の鋒を二人に向けている。ラウラは立ち上がるが機体の方が限界に近い。

 

「負けん、負けられん・・・私は教官に相応しくなった・・・!認めん!私は認めん!!」

 

『ナラバ、ウケイレヨ・・・ツクラレシ、イノチヨ』

 

「な・・なんだ!?うああああああああああああああ!!!!!!!」

 

低く、聞いたこともない声が響いた瞬間、ラウラはレーゲンそのものに取り込まれた。その姿は憧れていた織斑千冬と暮桜・・・そして。

 

「ブロッソメイル・・・だって!?」

 

将矢と戦った際に一撃で仕留められた記憶があったのだろう。織斑千冬とブロッソメイル、二つの姿を持ってラウラを取り込んだレーゲンは手始めに将矢へ襲い掛かった。

 

理由はない、あるとすれば近くにいたという事だけだろう。将矢は変化したレーゲンを飛び越え、距離をとった。

 

「てめえええ!千冬姉の真似なんかしやがってええええええ!!」

 

「!まずい!」

 

一夏が突撃したと同時にレーゲンはブロッソメイルへと姿を変え、姿を消した。見失った一夏はキョロキョロと周りを見渡すが見つからない。

 

「ど、どこだ!?」

 

「後ろだ!一夏!!」

 

「え?」

 

「テキニアタイシナイ・・・タオレロ」

 

「うああああ!?な・・なんで・・・?一撃・・・」

 

背後から殴られた一撃で白式は機能を停止してしまった。それはブロッソメイルを使用していた将矢にはわかる。

 

「デストロイ・・・一撃破壊までコピーしてるのか」

 

「ツギハ、オマエダ」

 

『まずいぞ、織斑一夏を回収しなくては』

 

「わかってる」

 

将矢は一夏を担ぐと急いでピットの扉へと向かった。その間、一夏は暴れだしたが生身では意味がない。律儀にもレーゲンは追ってこず、ピット内部へと逃げ込むことができた。それに続く形でシャルルも避難している。

 

「離せよ!将矢!!アイツは、アイツだけは俺がやらなきゃ意味がないんだよ!」

 

「デストロイを受けた白式は戦闘できないだろう!!無茶な事を言うな!」

 

「なんだよ!デストロイって!!」

 

「デストロイは背後から一撃必殺の停止プログラムを撃ち込む破壊系の攻撃だよ。見失った隙に背後を取られてやられた訳さ」

 

「だったら、白式を修理して」

 

「何言ってるのさ!あの中にはラウラが取り込まれているんだよ?今からの修理には時間がかかって、死んじゃうかもしれないんだよ!?敵対してたとはいえ死なせるなんてできないよ!」

 

あくまでも自分が戦うという主張を曲げない一夏に、シャルルが問題点を口にする。ラウラは取り込まれ、自分の身体の限界以上の負担がかかっているはず、修理の時間の間にラウラが死亡してしまう可能性が高いと主張したのだ。

 

「じゃあ、どうすれば良いんだよ!俺は・・・!そうか、将矢、スラフティンを貸してくれよ!!」

 

「無理だよ」

 

「なんでだよ!?」

 

「スラフティンは俺しか使えないISだ。展開方法も従来のISとは違ってて特殊だし、何よりこれがないと動かせない」

 

将矢が見せたのはデビルのファーストメダルであった。手に取らせないようすぐにしまってしまう。

 

「なんだよ、今の?」

 

「ISのコアみたいなものさ。これがないと起動できない」

 

一夏は貸せと言わんばかりに詰め寄るが、将矢はチャンバラソードの切っ先を首元に突きつけ歩みを止まらせた。

 

「いい加減に一皮むけなよ・・・一夏。今の自分がどれだけワガママを言ってるか、わかってるのかい?」

 

「ワガママだって!?」

 

「そうさ、あれだけ強力な相手に自分じゃなきゃ、倒すのはダメだっていうのはワガママじゃないか。教員部隊とか戦力を出せば勝てるんだよ?もっとも、もう一つの形態があるから難しいけどね」

 

「ぐ・・・」

 

「遊撃してくる。スラフティン、パーツ換装!オール・ヘッドシザース!!アクティブ!!」

 

「あ、待ちやがれ!」

 

ヘッドシザースの完全な状態でピットを飛び出し、レーゲンと相対する。姿はブロッソメイルとなり自然体だ。

 

「・・・・やれるか?」

 

「キサマヲ、クラウマデ」

 

ブロッソメイルは完全なメダチェンジを行い、四足の獣となって将矢へ襲いかかってきた。




謎の声の正体はメダロットの中にいます。

VTシステムを利用してでのバトルに勝てるのか?

次回は皆さんお待ちかね、あの力が発動します。

メタビー出番少なくね?と思われますが、すみませんクワガタバージョンの思い入れが強いのです。
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