Medaro IS メダルと共に   作:アマゾンズ

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女によるイジメの始まり

オニキス(ブラックスタッグ)が切れる

私の心を滾らせるなよ・・・と。


第十六話 Explosion Hit! KNOCK OUT FIGHTER!!

謹慎処分が解かれ、将矢は学園へと戻る事が出来た。だが、そこから始まったのは噂による責め苦であった。

 

曰く「学園を破壊した化物」

 

曰く「近寄れば殺される」

 

曰く「最低最悪の男」などと言った罵倒や噂の数々、それとは真逆に一夏の評価は上がっていた。

 

優しさとルックスを兼ね備え、笑顔を見せれば女生徒達は笑顔になり、倒れたとはいえビーストマスターとゴッドエンペラーへ立ち向かった姿は、映画やアニメの主人公を務めるヒーローに映っていたのだろう。

 

真実に蓋をして己の都合の良い物だけを見つめるのは人間が持つ防衛本能であると同時に、エゴでもある。

 

 

だが、それだけには留まらなかった。露骨な嫌がらせ、グループによる差別、持ち物の破壊、己の恐怖をいじめとして体現してきたのだ。

 

女性のいじめは男性とは違う、男性の場合では徒党を組んでの暴行などが主であるが、女性の場合は精神的に責めていくのだ。

 

だが、将矢はそれに耐える事を選択してしまった。無論、中には少数ではあったが味方もいたのだが、自分と関わると同じ目に遭うから辞めた方がいいと言ってしまった。

 

それを聞いた本音や静寐、清香、神楽、癒子達は悲しそうな目でそれを受け入れるしかなかった。

 

特に清香は納得できないと声を上げたが、それを神楽が止めていた。実力を認めている代表候補生達は立場があるために、いじめには加担していなかったが自分達が何も出来ない事に悔しさを滲み出していた。

 

 

そして悲劇は起こってしまった・・・。

 

 

 

 

放課後の訓練中、代表候補生であるセシリアと訓練していた時の事であった。突然現れたISを纏う10人のグループが現れた。

 

「ま、何ですの!?貴女達!」

 

「セシリアさん、悪いけど引っ込んでてね」

 

「え?」

 

その言葉を発したと同時に五人掛りでセシリアを押さえつけ、床に押し倒してしまった。

 

「セシリアさん!?」

 

「おっと、動くんじゃないわよ?アンタはそのまま的になってなさい!!」

 

そういって残った五人がマシンガンやアサルトライフルをフルオートにして放ってきた。その後ろには最低でも50丁はある予備が積まれた箱が置いてあった。

 

「ぐ・・うううううう!!」

 

「倒れなさいよ!」

 

「死になさいよ!」

 

「化物!!悪魔!!」

 

「男のくせに!!」

 

「さっさと失せなさい!」

 

セシリアを人質にされている状態であるために将矢は無抵抗のまま撃たれ続けていた。

 

「やめなさい!何故、このような事をするのです!?」

 

「はぁ?セシリアさんの方が何言ってんの?コイツは学園を破壊した化け物じゃない、だから私達が駆逐するの」

 

「っ!」

 

リーダー格の女の言葉にセシリアは咄嗟に何も言い返せない。確かに彼は学園を破壊してしまっただろう、だが彼はその罪を償って復帰したはずだ。

 

これではまるで異端者に対する差別行為と変わらないではないか。

 

ブルー・ティアーズを動かそうとするが、量産機といえど五人という数を押し返しきれない。

 

「やめなさい!やめてええ!!」

 

「う・・・・あ・・・」

 

将矢はそのまま倒れて気を失ってしまった。絶対防御で守られてはいたが、エネルギーが切れればその衝撃は直接受ける事になる。

 

「やっと倒れたか、はぁ、スッとしたわ。さぁ、戻りましょうか?私達が外に出たら開放していいわよ」

 

「あ・・・貴女達!」

 

セシリアは気づかれないよう、記録を残してはいたがそれ以上に怒りの方が優っていた。自分達の憂さ晴らしの為に『学園を破壊した化物を倒す』という名目を使ったのだ。

 

周りと同調しないのであれば、同調しない方がおかしい。現代における同調教育の負の部分とも言えるだろう。

 

同調できない者は異端とされ、仲間ではなく、敵とみなされる。その標的となった者に手を貸すのならば、お前達も同じような目に合わせるといった暗黙の了解が形成されていく。

 

 

「~~~っ!」

 

セシリアは悔しかった。何が代表候補生だ、何が貴族だ、何がIS操縦者だと。目の前で無防備に攻撃されている人間一人助けられない自分を呪った。

 

以前の自分はうぬぼれていると同時に軽度の人間不信になっていた。特に男に対しては極端に拒絶した。

 

彼女は社会と人間の闇というモノの被害者であった。彼女の両親は列車事故によって死んだとされているが、一説には事業争いによるテロだったのではないかとも言われていたからだ。

 

当時、彼女は10歳。両親が死んだ事で貴族や事業主であった事から莫大な遺産を受け継ぐ事になった。

 

しかし、幼いゆえの無知に付け込み遺産を狙う自称親族、適年齢に至っていないセシリアに対する強引な結婚の申し込み。

 

それはセシリアが知らなかった社会の闇そのものであった。だが、彼女はそれに屈しないために猛勉強を開始した。

 

遺産を渡すまいとありとあらゆる勉学、特に法学に関しての知識を母が雇っていた弁護士の力を借りて詰め込んでいった。それにより、自称親族には繋がりがない事を証明し、結婚を申し込んできた輩には年齢に至っていない事とその意思はないという事を徹底的に伝え、抗った。

 

それと同時にセシリアの中には成人に対する疑念と憎悪が凝り固まり、父親の道化を見すぎたせいで女尊男卑に染まっていってしまった。

 

そのままイギリスの代表候補生となり、IS学園に来た。自分以外は全て各下で敵という考えを持ったまま。

 

それを打ち砕き、初心を思い出させてくれたのが将矢であった。初心者だと甘く見ていたが、将矢はあらゆる戦いを想定し自分と戦って勝利を掴み取った。

 

忘れていた。自分も我武者羅に向上していた時を、それを思い出しセシリアは自らを恥じ、考えを改めた。

 

その恩人が自分の目の前で的にされてしまった事実が悔しかったのだ。

 

 

 

 

 

 

『待ってください・・・・!』

 

その声は女性的なものであった。ゆっくりと起き上がっていき、スラフティンは素体状態のままだ。

 

「何?まだ足りない訳?」

 

『我慢していましたが・・・もう、我慢できません。貴女達は完全に私の心を滾らせました!』

 

『スラフフフフフティン、オートトト・・モモオオオドドド・・・!ブブブラックスタッグ・・アクククククティィティィィブ・・・バグ・・発・・・ザザ・・・The strongest fist!“Round 1” Rock & Fire!』

 

何かしらのバグが発生したのか、訳の分からない音声が響き渡っている。どうやら将矢がプレイしているアーケードゲームのスタート画面の歌が影響を受けているようで音声が止まらない。

 

『行きます』

 

ブラックスタッグ一式のパーツがスラフティンの全身に装着される。眼帯に覆われ見えている左目からは黒い殺気が溢れ出ている。

 

「抵抗すんじゃないわよ!そこにいる人質がどうなってもいいの?アンタのせいで傷つくのよ!?」

 

『それなら、押さえているのを倒せば問題ありませんね』

 

「え?」

 

それは一瞬であった。セシリアを押さえていた五人のメンバーは一瞬にして全員が失神させられたのだ。

 

実際は一瞬ではなく、左腕のブラックビートを秒間に20発叩き込み続けただけである。怒りのままで行ったが故に出来た荒技だ。

 

『貴女にとってはゲームなのでしょう?遊びましょう!』

 

口調は穏やかではあるが、その内側に秘めた怒りは溶岩のように煮えたぎっていた。

 

「あ・・・ふ、ふざけるなぁ!アンタなんかただの化物で的なのよぉぉ!」

 

残った五人は闇雲にマシンガンやアサルトライフルをフルオートで乱射する。だが、オニキスの速さはそれを上回っており、右腕のブラックバイスで取り巻きの機体を切り裂いた。

 

「ぎゃがぁ!?」

 

「げぶぁ!?」

 

「ぐぼら!?」

 

「ぐぎゃ!?」

 

女性が上げるべきではない声と共に取り巻きの四人は口から泡を吹いて、失神してしまった。

 

人体急所と呼ばれる乳様突起と水月を殴りつけ、絶対防御でも殺しきれない衝撃を受けた為に脳震盪を起こしたのだ。

 

「く・・・このおおおお!!」

 

『貴女だけは特別になぶって差し上げます』

 

リーダー格の生徒はその声を聞いて寒気が走った。それは真正面からの明確な殺意ではなく、油断している時に、暗殺されるような底冷えする寒気だ。

 

「きゃあ!?」

 

殴り倒されたリーダーはオニキスの情け容赦のない引き裂きと拳のラッシュを浴びせられてしまう。

 

「ぎゃあああ!なんで、なんで私がこんな目に!?」

 

『因果応報・・・ですよ』

 

装甲を引き裂き、機体の絶対防御が発生しなくなると右腕のブラックバイスで引き裂こうとした時であった。

 

「止めてくださいませ!」

 

『っ?』

 

「もう、良いでしょう?許せないのは分かりますが、これ以上はただの暴行ですわ」

 

『・・・・わかりました』

 

セシリアの引き止めによって全員は無傷で気絶しているだけにとどまった。オニキスはセシリアに一礼すると素体状態に戻り、気絶している将矢だけとなった。

 

「・・・これはもう、わたくし達だけで解決できませんわ。このままでは、将矢さんは望まず暴力を振るい続ける事になってしまいますわ」

 

セシリアは将矢の今、置かれている状況を垣間見てしまった。恐怖による支配、圧倒的な力を持っているという示し、それに屈指たように見せかけて将矢を殺そうとしたり、追い出そうとする者がいる。

 

「皆さんに知らせましょう・・・それで解決策をお願いしなければ」

 

セシリアは将矢を肩に担いでアリーナから出ていき、医務室へ向かった。自身も軽い擦り傷を負ってはいた為である。

 

その後、セシリアによって提出された今回の将矢に対する仕打ち、我が身を守るために制圧した映像。それら全てが学園内部に広まった。

 

それを緊急職員会議で聞いていた千冬と真耶は頭を抱えている。会議を聞きながら二人は愚痴をこぼしてしまっていた。

 

「別の奴とはいえ・・・また、やったのか」

 

「これだけは、どうしても出てくる問題ですね」

 

生徒間によるイジメも表面化されてしまい、対応に追われる事となった教師二人は溜息を吐いていた。




またもやりましたが全員無傷です。イジメ回でしたので胸糞悪いかと思います。

イジメというのは本当にキツイです。加害者は被害者に対し「なんでお前が自分達に逆らうの?おかしくね?」といった感じで被害者ヅラしてきますのでそれが一番厄介です。

作者は首謀者を潰せば終わりになるんじゃない?と考えるタイプでしたので。

やったらやり返される。自分がやるのは良いが、相手からやり返されるのは嫌だ!というのは個人のエゴに思えます。

イジメは無くなる事はありません、やった方は覚えてなくても、やられた方は何年でも覚えています。

優しい人ほどターゲットにされますが、優しい人は爆弾を持っていることが多く、爆発したら必ず主犯が報復されます。

イジメは因果応報がつきまといます。出来る事なら止めておきましょう。
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