Medaro IS メダルと共に   作:アマゾンズ

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将矢が吹っ切れる(闇堕ち)

助けてくれる相手はいない。




第十七話 Get the glory in the chain! PERFECT PUZZLE!!

あれから将矢は回復し、授業にも出るようになったがどこか様子が変わっていた。勉強と特訓に対し異常なまで取り組むようになったのだ。

 

人付き合いも必要最低限、セシリアや鈴、清香達が話しかけても食事しか付き合わず交流を断ち始めている。

 

「このままではいけませんわ・・・」

 

「うん・・・セッシーの言う通りだよ」

 

「このままじゃ・・・アイツは孤立しちまう」

 

セシリア、本音、清香の三人と癒子達を含めた将矢を気にかけるクラスのメンバー達は、将矢の異常な行動を心配していた。

 

清香の言葉の通り、将矢は自ら孤立を深めようとしている。学園のアリーナを破壊した負い目もあるのだろうが、追い込みすぎている事に変わりはない。

 

心配をよそに将矢はコンピューターでスラフティンの中にあるパーツのデータを隅から隅まで目を通し、射撃火力、格闘威力、メダルの相性、熱量、充電、機動といったステータス面などを考慮にパーツの組み合わせを行っていた。

 

「これだと機動力が足りない、フィールドは変わるからこれを。ふふ・・足りない、足りないんだ。ビーストマスターやゴッドエンペラーに頼らないカスタマイズを見つけなきゃならないんだ。パーツが足りないよ」

 

コンピューターの画面を見つめながら組み合わせを考える将矢は正に、狂気の沙汰ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

二日後、学園全体の朝礼があり、全員が体育館に集められる。そこで生徒全員に千冬からの言葉が伝えられた。

 

「学園内部で起こっている事ではあるが、どうやら複数で一人を攻撃しているという意見が入ってきている。隠しても構わんが、私達は徹底的に調査する方針だ」

 

その言葉を聞いて一部の生徒たちが驚愕する、まるで自分達の悪事が筒抜けになっているのではと疑い始めるほどに。

 

全体朝礼終了後、授業が午前中で終わり、セシリアは真っ先に鈴のクラスへと向かってしまった。

 

シャルロットとラウラは将矢をどうにか説得し、臨海学校に必要な買い物の約束を取り付けていた。

 

「だから、一緒に行こ?根を詰めるのも良くないから・・・ね?」

 

「・・・・」

 

「私も行く、将矢・・・貴様には誰にも手出しさせん」

 

「・・・わかった。買い物だけだよ」

 

渋々といった様子で承諾し、将矢は買い物に付き合うことにした様子であった。セシリアと鈴の二人も合流し、ショッピングモールへと向かうべく電車へと乗るため駅へと向かう。

 

将矢は何も喋らない。女性陣は話し込んでいるが将矢自身、己の殻の中に入ってしまっているような状態だ。

 

ショッピングモールに着くと女性陣と将矢はそれぞれの水着を買う為に別れた。将矢は適当に涼しげな青の配色がなされた水着を手に取り、考えていると声をかけられた。

 

「よっ、将矢も買い物か?」

 

「織斑か・・・」

 

今の将矢にとって一番会いたくない相手と出会ってしまい、将矢の中に黒い感情が渦を巻き始めるが、声をかけてきた本人は気にしていない。

 

「将矢も買い物か?なら、一緒に見ねえか?」

 

「遠慮する。もう、終わりかけてからね」

 

「えー、良いじゃんか。男同士の友情を深めるのも悪くないだろ?」

 

「君は良いかもしれないが、俺は嫌だと言っているんだから、それで終わりだよ」

 

水掛け論だが、あまりに単純な事だけに議論する気はないと言った感じの将矢ではあったが、しつこく迫られ、断り続けていると一人の女性が将矢の買い物用のカゴに水着を大量に入れてきた。

 

「ん?」

 

「アンタ、これも買っておきなさいよ。もちろんお金はアンタ持ちね」

 

どうやら女尊男卑に染まりきった女性が、自分の気に入ったものを男に買わせようとして入れたようだ。おそらく将矢を標的にしたのだろう。

 

「何を言ってるんです?貴女の買うべきものは貴女が料金を支払うべきでしょう?」

 

「そうだぜ!」

 

「うるさいわね!男は黙って従ってればいいのよ!私は女よ!ISを動かせるのよ!」

 

この言葉に将矢自身が切れた。だが、将矢は切れた時は怒りに身を任せるのではなく、頭の中が冷静になっていくタイプだ。

 

「ほう?それならば今、貴女のISを見せて下さいよ」

 

「なんですって?」

 

「動かせるのでしょう?だったら専用機があるのでしょう?スポンサーは?実績は?大会出場経験は?対戦のライバルは?ISの特徴は?」

 

「お・・・おい!将矢」

 

「黙っててくれるかな?織斑。続けましょうか?それで、専用機の名前は?貴女の所属は?企業はどこですか?」

 

怒りに沸騰した将矢の声を聞いた一夏は、冷たい金属を触ってしまったかのような感覚を受けた。そんなことはお構いなしに質問の弾丸は容赦なく女性に襲いかかる。

 

「うう・・・うるさい!黙って言う事を聞きなさいよ!!」

 

「言い返せないみたいですね。それなら脅迫罪で警備員さんを呼びます」

 

「なっ!?」

 

将矢は近くにいた警備員を呼び、隠して起動しておいたスマートフォンの録音アプリを立ち会いの下で再生し、物件証拠として女性は警備室へと連行されていった。

 

「将矢、何もあそこまでやらなくても良いじゃないかよ・・・!」

 

「織斑こそ何を言っているんだ?ああいった人には一度ガツンとかまさないと、何度も同じ事を繰り返すんだよ」

 

「だけど、相手は女の人だぞ!少しは」

 

「黙れよ、温室育ち・・・!」

 

精神の限界ギリギリのところで踏みとどまっていた将矢は、とうとうヒビが入り本音を少しだけ漏らしてしまった。

 

「なんだよ!それ!?誰が温室育ちだって言うんだ!」

 

「聞こえてたの?さっきから聞いていていれば、甘い理想論ばかりで嫌になるんだよ・・・もう、俺に構わないでくれ!」

 

「なっ!?」

 

水着をすぐに購入すると将矢はすぐにその場を離れてしまった。それを一夏は見送っていたが、表情は怒りに満ちていた。

 

「なんだよ、アイツ・・・人がせっかく忠告してやったのに」

 

一夏は自分が無意識に見たくないものから目を背けている事を知らない、将矢がいじめの被害に遭っていることも、彼自身が自分に降りかかる最大の壁になるということも。

 

 

 

 

 

 

 

ショッピングの途中でセシリア達と合流した将矢は、全員でフードコートへ足を運んでいた。そこには買い物を済ませたセシリア、鈴、本音達が座っていた。

 

テーブルには女性が好みそうな食物が並べられており、それぞれが飲み物を飲みながら話し合っていた。

 

「やはり、連れてきても」

 

「勝手に帰っちゃってる可能性が高いわね」

 

「つっちー、やっぱりわざと独りになるようにしてるみたいだよ~」

 

三人の心配はもはや過保護レベルと言っていいほどまでになっていた。だが、将矢を助けようとすると同時にセシリアはビーストマスター、鈴はゴッドエンペラーに対する恐怖が蘇ってきてしまう。

 

戦う事が無かったとしても、戦う立場になった時を考えさせる威圧感はそう簡単には拭えないだろう。

 

「どうしてこんな事に・・・」

 

「原因はやっぱり将矢の専用機よ」

 

「つっちーの専用機~?」

 

本音が疑問を投げかけると鈴は自分の考察を含めた意見を話し始めた。

 

「原因は脱皮機能とあの謎の光よ」

 

「謎の光?暴走したISを一撃で倒した?」

 

「そうよ、あれだけ強力なら目をつけられてもおかしくないわ。自分のものにしようとする奴だって出てくる」

 

その言葉に全員が黙ってしまう。だが、本音は一つの疑問を抱き、それを口にした。

 

「そういえばリンリン、イッチーの事、なんとも思ってないの?」

 

「パンダじゃない!って・・・まぁ、いっか。一夏の事だけど私も分からなくなっちゃったのよ」

 

「わからない~?」

 

「そう、無人機の襲撃の時があったでしょ?その時のゴッドエンペラーに向かっていくアイツを見てからね」

 

「どういう事ですの?」

 

「恐怖で固まってたけど、アイツがゴッドエンペラーに斬りかかったのを見て、一瞬でも馬鹿なのコイツ?って考えちゃった自分がいたのよ。可笑しいわよね、初恋の相手にそんな考えを持つなんて」

 

「いいえ、そんなことありませんわ。ビーストマスターやゴッドエンペラーにISの初心者が挑んでいくなんて愚の骨頂ですもの、実力が少しでもあれば戦おうとは思いませんわ」

 

セシリアは冷静な目線で自分の意見を口にした。それを聞いた鈴は驚いた表情でセシリアに問いかける。

 

「随分と冷静な意見を言うのね?てっきり一夏の味方をするものだと思ってたのに」

 

「確かに、わたくしがあの方に心を揺さぶられたのは事実ですわ。一瞬だけでも恋した事も認めますが・・・すぐに冷めましたわ」

 

「どうして~?」

 

「ビーストマスターの件もありますが、将矢さんには返しきれない恩があるのですわ」

 

購入していた紅茶を口に含むと、喉を潤して話を再開した。

 

「わたくしは自惚れていました。その事は本音さんがお詳しいと思います、偏屈した固定観念を壊して初心を思い出させてくれたのが、将矢さんだったのですわ」

 

「なるほどね」

 

「でも、今の将矢さんは危うすぎます・・・このままでは」

 

「うん、また暴走しちゃうよ~。ビーストマスターやゴッドエンペラーがまた出てきたら、大変だよ~」

 

三人は黙り込んで、飲み物を飲みながら考え込んでしまった。将矢に対しては恩や借りがあるセシリアと鈴、純粋に心配する本音、どうすれば以前の彼に戻ってくれるのかと。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、将矢は三人に連絡を取らないまま帰宅してしまい、セシリアへ電話すると改めて謝罪した。

 

「ごめんね、勝手に帰っちゃって・・・嫌な事があったからさ」

 

「大丈夫ですわ、鈴さんたちにも伝えておきます」

 

「うん、よろしく」

 

通話を切ると将矢は溜息を一つ吐き、再びコンピューターの前に座り直した。そこには反射・反撃パーツを軸にセッティングされた仮の組み換えが表示されている。

 

「・・・これじゃ意味がない。防御重視は相手の実力が高いか、各下でしか使えない、やはり・・・」

 

キーボードのキーをカタカタと叩き続け、たどり着いたのがサムライのパーツであった。サムライは格闘タイプでありながら光学射撃と同等の威力を誇るパーツである。

 

「メタビーもロクショウも眠ったまま・・・今はブラックの二人の力を借りるしかない・・・」

 

そう、サムライのパーツはロクショウであるクワガタメダルの力を借りなければ、使う事が出来ない制限が掛かっている。

 

将矢はそこで反転の存在であるBカブト、Bクワガタメダルの力を借りようとパーツをチェックした結果、女性型のパーツを使わなければならい結果が出たのだ。

 

女性型は特殊、補助、応援、反射などのパーツを使うことが出来る代わりに、火力が低いという弱点がある。

 

それを覆した存在がブラックビートル、ブラックスタッグのパーツである。この二機はメタビーとロクショウの反転した姿である為、運動性、装甲、火力が落ちていない。

 

「やっぱり、ブラックの二人のパーツが一番の火力か・・・もう、なりふり構っていられるか。敵対した奴は容赦なく叩き潰してやる」

 

 

将矢の思考は少しずつ報復という黒色に染まり始めていた。本人はそれに気づいておらずパーツに慣れるための鍛錬を行うためにアリーナへと向かった。

 

 

 

 

 

 

未だ意思の眠っているカブトメダルを使い、鍛錬をしていると二人組の女生徒がやってきた。将矢のクラスの生徒ではなく、リボンの色からして上級生だろう。

 

「ふーん、君が噂の二人目の男性操縦者君か」

 

「イケメンではないね、磨けば光るフツメンって所かな?」

 

どうやら品定めをしているようで、将矢はその視線が気に入らなかった。むしろ敵対心を持たせるには十分すぎるものだ。

 

「・・・・何か用ですか?」

 

「そんなに睨まないでよ。私達と模擬戦して欲しいの」

 

「?どうしてです?俺とやるより織斑とやった方が」

 

「いや、君の実力を純粋に知りたいの。織斑君は大体わかるから」

 

「そうそう、織斑君イケメンだけど・・・それだけって感じだよねー、何人も女の子を泣かせてるでしょ。きっと」

 

話を聞くと二人はどうやら本気で操縦者を目指しているらしく、色々な武装で対応してくる将矢に興味を持ち、模擬戦を申込みたかったそうだ。

 

「わかりました。でも、予め言っておきます・・・八つ当たりも入りますからね?」

 

「え?」

 

「それって」

 

「二人で来てください、ヌーマイト・・・任せるよ」

 

『はい』

 

『スラ符符f・・・オオオオモモ・・・モード、Bカカカブト!ブラックビートトトトル、アクティブブブブ、深刻なエラーがががが・・・What's the next stage?What's the next stage?』

 

意思がブラックビートルであるヌーマイトに切り変わり、ブラックスタッグであるオニキスがオートモードになった時と似ており、またもや意味不明な音声が流れ出している。

 

「あれって確か・・・ゲームのスタート画面音声みたいな感じだけど?」

 

「二人で来いって相当自信あるのか、よほどの自信過剰か」

 

二人はラファールを身に纏い、戦闘準備を始め将矢が纏うのを待っている。

 

『戦闘・・・開始』

 

ブラックスタッグとは真逆の黒色に覆われた全身に眼帯のような装甲、それに覆われている顔面の右目からは相手を倒すという意思がひしひしと伝わってくる。

 

「遠慮なく!」

 

「いっくよー!」

 

『最初に言っておきますが、私は殺す気で戦いますので甘くありませんよ』

 

ヌーマイトの言葉に上級生二人は僅かに動揺しながらも、模擬戦闘へと突入していった。




いじめと自己否定で闇堕ち仕掛けている将矢君ェ・・・。

とうとう、言ってしまった一言。このままズルズルと行くのか。

このままだと某カードゲームに登場する超融合を使う闇の王に成りかねない。

上級生はただ、将矢君の実力が知りたいだけでパイロットを目指すモブです。

片方はミーハー、もう片方は気が強いタイプです。

次回は臨海学校へ向かう最中になります。
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