Medaro IS メダルと共に   作:アマゾンズ

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将矢と内なる将矢が入れ替わる。

今まで抑圧されていた大悪魔を冠するメダロットが目覚め始める。


第十八話 我は影・・・真なる我

模擬戦闘の相手である上級生の煌羅と伊勢木はラファールを纏ってはいるが、それぞれに僅かな違いがあった。

 

煌羅は射撃に重点を置き、伊勢木は格闘に重点を置いており二人のコンビネーションは長年の戦友のように1を出せば10を分かりあっている。

 

煌羅はハンドガンタイプの銃でブラックビートルを誘導し、足止めするためにマシンガンを放ってくる。弾切れの瞬間を狙おうとすれば、伊勢木がスタンクローで接近戦を仕掛けてくる。

 

『なるほど、基本に忠実かつオリジナリティを含めた見事な連携攻撃ですね』

 

ヌーマイトは二人に対し、尊敬を抱いた。これほどまでに緻密な連携とお互いの長所、短所を理解し、実践するまでにはどれほどの訓練や月日をかけたのかは分からない。

 

「っ!煌羅!!」

 

「任せて!」

 

火力のあるランチャーを撃つと同時に伊勢木はその場から離れ、爆発から逃れた。着地と同時に雲母の傍に立ち、粉煙が晴れるのを待っていたが、その中からガトリングが発射されてくる。

 

「なっ!?」

 

「あぶなっ!」

 

二人は散開する事で回避したが、噴煙から足音が聞こえてくる。それは僅かに装甲を傷つけたブラックビートルの姿であった。

 

「嘘でしょ・・・?」

 

「あれだけ私達の連携を受けてほぼ無傷だなんて・・・」

 

『次はこちらから行きますよ』

 

右腕のブラックヒューザでライフル射撃を雲母へとブラックビートルはライフル射撃を放つと同時にブラックバリスタから誘導ミサイルを放ち、伊勢木を追尾させた。

 

「なんて正確な射撃!」

 

「追尾型ミサイルだなんて聞いて・・・!?しまった!煌羅!」

 

「え?ああっ!!」

 

回避に専念していた二人は衝突するよう誘導されていたのに気づかず、衝突してしまい追尾ミサイルも直撃してしまった。

 

「うう・・・」

 

「まさか、誘導されてたなんて・・・」

 

『JACK POT・・・!と言っておきましょうか』

 

全ての砲口から発射された弾丸と弾頭は容赦なく、二人の機体のエネルギーがゼロになるまで撃ち込まれた。まるでパズルゲームの連鎖が終わって全てを消し去るかのように。

 

「負けた・・・!」

 

「まさか負けるとは思わなかったわ、相応の実力があるって事ね」

 

『もう、よろしいですか?』

 

「ええ」

 

「それじゃ、また機会があったら訓練しましょ!」

 

『ええ・・・』

 

その後、スラフティンのオートモードを解除し、休憩のために自販機のある場所へと向かう。スポーツ飲料を購入し、ペットボトルのキャップを開けて飲むと水分が染み込むように体内へと行き渡った。

 

疲れが来たのかベンチに座ると眠るように目を閉じてしまい、意識を失った。

 

 

 

 

 

将矢は自分が立っていることに気づく、だがそこは自分の知らない未知の場所であった。

 

「ここは、どこだ?俺は・・・確かIS学園のアリーナに」

 

「土谷将矢、悪を倒すためなら悪にでもなり、この女尊男卑に染まった弱肉強食の世界を力により支配しなければならない」

 

背後から聞こえてきた声に将矢は振り返る。そこには人の形をした黒い何かが、自分に向けて話しかけてきている。

 

「支配って、俺はそんな事をするつもりはない!それに、俺にそんな力は・・・」

 

「その機体、スラフティンの中にある「禁断の大悪魔」のパーツ。抗うIS達を倒し、その命を吹き込んで、パーツを完成させるのだ」

 

「お前は・・・お前は一体誰なんだ!?」

 

「我が名は―――「覇王」この世界を支配する者、そして俺は貴様だ」

 

「覇王・・・」

 

『いけません、マスター!その声に耳を傾けては!きゃあ!?』

 

『スタッグ!?キャッ!』

 

二人のブラックシリーズは将矢に弾かれ、そこには目つきが鋭くなり何者も信用せず、孤独の道へ歩もうとする存在だけが立っていた。

 

『マ、スター?』

 

「ヌーマイト、オニキス、キサマらは俺の配下だ。だが、しばらくは眠ってもらう」

 

『マス・・・ッ!』

 

ブラックビートルとブラックスタッグの意思だけを封じ込めた覇王は、将矢の肉体を寄り代として表に出た。

 

「・・・挑んでこい。グレインを完成させるために」

 

数時間後、覇王は俺が気に入らないならば、お前達の力の象徴であるISで挑んでこいと宣言した。

 

この発言は女尊男卑に染まりきった生徒が次々とアリーナへと殺到し、覇王に挑戦したがことごとく返り討ちにあい、打鉄やラファールの意志という命を奪い取っていった。

 

「嫌、や・・やめて!何でもするから!!」

 

「慈悲はない、ホワチャー!!」

 

怪鳥音と共に打鉄を身に着けた生徒はブラックスタッグを纏った覇王に殴られ、そのまま気を失った。

 

「グレインがあと少しで完成する」

 

気を失った生徒が身に纏っていた打鉄からエネルギーのような何かが吸い上げられ、スラフティンに吸収されていく。

 

残った打鉄は外見こそ変わらないが、コアに関してはただの機械と遜色がなくなっており、わずかに機体の色がくすんでいる。

 

「臨海学校時に奪えば完成する。残りは10機分」

 

挑戦してきた生徒達を蹂躙した覇王は、将矢が用意していた臨海学校用の荷物を確認すると自室でシャワーを浴び休んだ。

 

 

 

 

 

臨海学校当日、バスの中では女生徒達は盛り上がっていたが一箇所だけ空気が張り詰めていた。その一箇所とは覇王こと将矢が座っている場所である。

 

突然、雰囲気が変わった将矢にセシリア、本音、清香達などが驚いていたがそれ以上に恐怖があった。

 

彼の言動が極端に冷たくなり、物事に興味を示さなくなっていたからだ。

 

「ねぇ~、つっちー」

 

「煩いぞ、席に戻れ」

 

「う、うん」

 

本音は話しかけようとするが、圧倒的な威圧に怯んで席に戻ってしまう。それを見た一夏が注意するように話しかけた。

 

「おい、将矢。そんな言い方無いだろ?せっかく、のほほんさんが」

 

「余計なおしゃべりをするつもりはない、俺が気に食わないのなら現地についた後に力を示せ」

 

「なんだよ、それ!」

 

「言葉は交わした。もう話すことはない」

 

そう言って窓の外に視線を向けてしまう。いくら声をかけても存在していないかのような扱いに根負けし、一夏も席へ戻っていった。

 

 

 

 

 

旅館へ到着し、出迎えた女将さんにも挨拶を済ませると将矢と一夏が千冬に呼ばれる。

 

「織斑先生、なにか?」

 

「ああ、お前たちの部屋割りをな」

 

「・・・・」

 

「織斑は私と、土谷は山田先生の部屋だ」

 

「わかった」

 

「あ、土谷君!?」

 

素っ気無く部屋へと荷物を置きに行ってしまい、真耶は急いでその後を追った。後ろ姿を見送った千冬は将矢の変貌に気づき、警戒しておく事を強めた。

 

「グレイン・・・この力を完成させれば」

 

大悪魔の名を持つ機体はスラフティンという子宮の中で、誕生の時を静かに待ち続けている。その復活はすぐそこまで間近に迫っていた。

 

 




将矢くん、本来の優しい性格から冷酷非情な一面に取り込まれました。

同時進行でグレインも次回、復活です。

福音戦・・・どうなるか
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