Medaro IS メダルと共に   作:アマゾンズ

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月からの落下物の強襲


二十九話 学園祭と強襲

『地球に落下した隕石は機械的な物であるらしく、研究所において急ピッチで研究が進められています。また』

 

ニュースは数日前に日本に落下した物の事で持ちきりであった。隕石かと思われたが未知の物質らしくISに使えないかと研究を進めている。

 

「宇宙からの落下物・・・か」

 

このニュースだけは珍しく束が観ていた。宇宙からの飛来物という点に非常に興味深く思えたのだ。

 

しかし、彼女は一つの懸念を抱いていた。

 

「嫌な予感がする。なんだろう?もう、もう二度と・・・つーくんやメタビー、ロクショウ達と会えなくなるような」

 

「考えすぎですよ。束様」

 

クロエが不安を払拭しようと声をかけたが、束の中に芽生えた不安は拭えなかった。

 

人間の悪い考えというものは大部分が当たるものである。

 

「出来れば、束さんが開発した最終兵器MBE(メダル・ブレイク・エナジー)を使わずに済ませたいね」

 

「最初で最後の切り札として、メダルの命を使って開発したものですね」

 

「うん、メダル達が端末を通して自分タチヲ使ってくれって言ったのには驚いたよ。ロクショウとメタビー達を次世代まで残らせたいって」

 

束の胸元に何かを小さく瓶詰めにしたようなペンダントが首から下げられている。彼女がアクセサリーを身につけること自体珍しいのだが、これはMBEを作製する際、自らの命を使って欲しいと志願してきたメダル達の欠片が収められたものだ。

 

彼女は自らの発明に命を捧げてくれた事に最大の感謝と哀悼を込めて身につけているのだ。

 

「化学者が祈るなんておかしいけど、どうか・・・そんな事が来ないで」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、同時刻・・・IS学園では学園祭が行われていた。将矢の所属するクラスではメイド兼執事喫茶の出し物となっていた。

 

だが、主な接客は一夏が担当しており将矢は席の案内をしているだけである。これはセシリアの計らいであった。

 

彼が人に接客する程、心が癒えていないと判断したセシリアは案内担当をお願いしたのだ。

 

店のキャッチコピーを宣伝しつつ、席の案内をする。これだけでも協力していないとは言えず、負担はあまり大きくならないはずとの判断だ。

 

「いらっしゃいませ、こちらへどうぞ」

 

将矢が案内すればメイドに扮したクラスメイト、女性には執事に扮した一夏が対応する。それだけでも人気が高く、人の出入りが激しい。

 

「つっちー、休憩だよー」

 

「わかったよ、本音さん」

 

本音から伝えられ、将矢は休憩を取る。やはり呼び込みや席の案内だけでも気を遣うために負担は出るのだ。

 

「ふう・・・」

 

『将矢、気をつけろ。よからぬ気を感じる』

 

「ロクショウ?わかったよ」

 

『大方狙ってくるのは俺達か、織斑の機体だろうしな』

 

ロクショウとメタビーが警戒を強める。機体を狙ってくる輩は居なくなったわけではなく、鳴りを潜めているだけに過ぎない。

 

故に警戒を強めるよう忠告したのだ。その瞬間、それは起こった。突然、校舎の一箇所で爆発が起きたのだ。

 

「なんだ!?」

 

駆けつけるとそこには一体のメダロットらしき機体が、無人機のISのような姿となって暴れていたのだ。

 

「あれって・・・」

 

『どうやら暴走しているようだな』

 

『仲間のメダルを暴走させられてた昔の事件を思い出すぜ』

 

「被害を出さないためにもやるしかないな!スラフティン、転送!モード、カブト!アークビートルD!アクティブ!!」

 

頭部アペンディクス 右腕スカッター 左腕スプリンク 脚部ブレイザー

 

『久々のロボトルだ、腕が鳴るぜ!』

 

「皆さん!落ち着いてください!これから始まるのは野外の特別試合です!」

 

混乱している客に対して、これはあくまでもイベントの一環だということを強くアピールする。この方法は生徒会にいる盾無から教わった方法である。

 

「メタビー、楽しませつつすぐに撃破するぞ?」

 

『わかってるって』

 

戦いが始まり、相手はア・ブラーゲと呼ばれる巫女服を着た狐がモチーフの格闘型メダロットのようだ。

 

レイピア、フェンシングと呼ばれる格闘パーツを繰り出してくるが、リズムが一本調子で今の将矢には見切れるものであった。

 

左から右、そこからフェイントのブレイク攻撃などを見切り、間合いを計る。

 

「アークダッシュをなめるなよ?スカッター、スプリンク!同時発射!」

 

ライフルとマシンガンの弾幕を浴び、ア・ブラーゲは動きが鈍くなってしまう。そんな事で情けをかける彼ではない。

 

「アペンディクス!発射!!」

 

『よっしゃあ!』

 

アークビートル同様の角に似た部分から光学のビームを発射し、ア・ブラーゲを機能停止させた。

 

中から出てきたのは銀色のメダルえあった。本来、メダルは金色に近いはずだが、何かの役に立つだろうとメダルを回収し、機体も片付けた。

 

「お騒がせしました!」

 

客人やギャラリーであった生徒達は拍手をして楽しかったなどの声を上げている。悪い気はしないが、将矢は素早くその場を去り、教室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

それと同時に一夏も巻紙礼子という女性に襲われていた。彼女は専用機の力を借り、襲いかかってくる。

 

「!アンタ!一体何が目的なんだよ!?」

 

「知りてえか?クソガキ、目的はてめえの機体だよ!!」

 

「!白式を?」

 

「ついでだ、てめえも研究所送りにしてやる!」

 

彼女のISの爪が襲い掛かり、それを避けるが何かペイントボールのようなものをぶつけられてしまう。

 

「な、なんだよこれ!?白式が、動かない!?」

 

「対IS専用の剥離剤って奴だ!お前は接近戦しか出来ねえんだろ?遠距離からこいつをぶつければ簡単なんだよ」

 

「!?」

 

この女性も白式の距離に関して対策を打ってきていていた。そう、これは将矢が言っていた事そのものだ。

 

相手の情報を会得し、対策を考え、得意とする行動をさせないよう妨害する。自分が卑怯だと思っていた事を再びされたのだ。

 

「ひ、卑怯だぞ!」

 

「ああ?戦略に卑怯もクソもあるかよ、とんだ甘ちゃん思考してるんだな?さて、機体は・・・!?」

 

「悪いけど、させないわよ?」

 

白式を奪われそうになった瞬間、礼子に一撃を加えるISがあった。手には水のように透き通る槍を構えている。

 

「た、盾無さん?」

 

「織斑くん、早く撤退しなさい。ISを展開できない今は足手まといよ」

 

「ぐ・・・わかりました」

 

「逃がすか!」

 

「残念だけど、貴女はご退場願うわ!」

 

礼子と盾無の戦いは盾無が優勢であった。爪による連続攻撃を仕掛けようとも水というナノマシンを利用した無形の盾と矛によって機体を中破させられたのだから。

 

「くそがああああ!ガキめえええ!」

 

「さようなら」

 

「ちっ!」

 

礼子はその場を撤退し、すぐさま逃走してしまった。姿が見えなくなるのを確認すると盾無はISを解除した。

 

「まずいわね、形振り構わなくなったってとこかしら?」

 

「盾無さん」

 

考え事をしていると一夏に声をかけられた。その顔は悔しさが滲んでいる。

 

「ありがとうございます。でも、女性に守られるなんて・・・」

 

「織斑くん、それは女性差別よ?今の世で女性が弱いなんて事はないの、肝に銘じておきなさい。私だったからいいけど、君は無意識に嫌な事をかき消そうとするみたいだから」

 

「っ・・・!」

 

盾無の言葉に一夏は黙り込む。先ほどの言葉は確かに自分が女性を差別してしまった、自分は忘れやすいのだろうかと考えてしまった。

 

「戻りなさい、私は戻るからね」

 

「はい」

 

一夏も教室に戻り、模擬店の作業を再開した。どうしても頭から離れない盾無の言葉を思い返しながら。

 

 

 

 

 

月の内側では次なるメダロットの尖兵が向かおうとしていた。

 

『ヤハリ、ウラギリモノカ・・・』

 

その巨大な身体がモニターに映り込む。ブラックメイルのようであるが細部が違っており、その大きさも全く違う。

 

『ニンゲンノ、モホウキカイデワレラハタオセヌ、ケッコウハミッカゴ、スベテヲハカイシテ、ワレラガダイニノフルサトニ』

 

月の存在はもはや自分の楽園を築く事しか考えていなかった。己を裏切ったメダル達とそれを扱っている人間を抹殺するために。

 

楽園を夢見る巨大な悪魔はメダルと会話をする青年、将矢に狙いを定め、モニターを切り呟いた。

 

『キサマヲ・・・・ショウキョスル』




束さんは最終局面のフラグを立てました。

いよいよ、侵略開始。

その前にまたまた一夏からの戦いがあります。
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