Medaro IS メダルと共に   作:アマゾンズ

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それぞれの日常

束が始まりである遺跡を調査


三十二話 失って気付くもの

ブラックデビルとの激闘から翌日、IS学園では全校集会が行われていた。

 

「日本、いえ・・・世界の危機を救ってくれた土谷将矢君に黙祷を捧げます。黙祷」

 

生徒会長である楯無の合図で全員が黙祷を開始する。沈黙が支配し哀悼を示す。

 

「黙祷、止め」

 

黙祷が終わり、将矢が亡くなった事を告げると一般生徒は驚きを隠せず、激闘に関わった人間達は俯いていた。

 

「それでは全校集会を終えます」

 

生徒達はそれぞれの教室に戻っていく。将矢が所属していた一組では将矢の使用していた机の上に花が添えられている。

 

「皆、全校集会で聞いた通り・・・土谷将矢はあの日の激闘で亡くなった。辛い出来事だとは思うが授業は通常通りに進めるぞ」

 

千冬は冷酷さを装う事で己を奮い立たせていた。本当ならば自分の担当する生徒を一人死なせてしまったのだから泣きたいはずであるが、それを堪えている。

 

この日は珍しく、セシリア、シャルロット、ラウラ、箒の四人が欠席しており教室にはいない。

 

 

授業が始まり、IS学園は何の事もなく日常へと戻っていく。それが悲しみを覆い隠すことになると信じて。

 

 

 

 

 

 

 

授業が始まる一時間前、束は将矢がロクショウとメタビーのメダルを発掘した遺跡に趣いていた。

 

激闘後にメダルを回収し、溶液の中へ浸すことで生命活動を復活させようとしている。

だが、束の技術を持ってしてもメダルの活動を復活させる事ができない。

 

復活のヒントを得る為に束は遺跡へと趣いたのだ。

 

「この遺跡に何かヒントがあれば良いんだけど・・・つーくんだってきっと」

 

束は生命活動が停止している将矢を回収し、生命維持を支えるナノマシンによって外界の力で肉体を生きながらえさせている。

 

束は将矢を徹底的に調べ上げ、その結果、メダルとスラフティン、この二つと一時的に一体化した事でロクショウ達と同じ状態になってしまったのだと突き止めた。

 

「ダメか、この遺跡・・・一階部分しかないし、壁画もヒントになるものが、わぁ!?」

 

壁に手をかけた瞬間、隠し扉らしきものが開き束は勢いのまま転んでしまった。

 

「痛たた・・・これって、階段?」

 

ヒントがあるかもしれないと考え、その階段を下りていくことにした。どうやらかなり深い場所まであるらしく、全て降りきるとライトやルートガイド以外の機械電源が切れてしまった。

 

「ん?これって・・・地底湖?にしては規模は小さいし、浅めだけど間違いなく地底湖だ」

 

降りた先には小さな地底湖が清水を流しつつ、水面をライトの光で輝かせている。

 

「ん?これって・・・古代文字?ああ、もうこんな時に翻訳機の電源が入らないなんて!でも、絵だけでも解読できるかな?」

 

壁画に描かれた絵を見ながら束は持ち前の想像力を働かせて読み取る。

 

「この地底湖にメダルを沈めると復活する事が書かれているのかな?ん、だけどそれを行うには・・・月が上空に・・・つまり満月の日に行わないとダメってことなのかな?ああ、もう!この古代文字さえ解読できれば!!」

 

苛立っていると、束は思い立ったように発信機を壁画に取り付け、後日改めて調査することにした。

 

 

 

 

 

翌日、また地下の地底湖へと趣いた。解読するための重装備を整え、古代文字の記録を取ると翻訳機を起動させるとそこに翻訳された文字が浮かび上がる。

 

【強き月の光満ちる時、生命の水は輝き、命を持ちし六角の金貨を復活せしめん】

 

「やっぱり、満月の時にメダルを復活させる事が出来るんだ。満月の日、スーパームーンは二週間後、その日を逃せば復活させられない」

 

束は念入りに調査を続け、再び来れるよう目印をつけた。地底湖を後にし束は急いで復活に必要な準備を始める。

 

「絶対に死なせないよ・・・答えを聞いてないもの」

 

 

 

 

 

 

そうしている中、将矢は何もない空間の中で漂っていた。前後左右、明るいの暗いのかさえわからない場所である。

 

「俺・・・死んじまったのか・・・束姉さん達に迷惑かけちゃったかな」

 

『キミはイキタイノカイ?』

 

「!?誰だ!」

 

そこに現れたのは人型ではあるが人間ではない存在、所謂、異星人であるエイリアンらしき姿をしたものがいたのだ。

 

『君達にわかり易く言えばエイリアンかな』

 

「う、ううううう宇宙人!?」

 

『そうだね。キミはメダルと一体化して刺し違えたんだよ』

 

「・・・!ああ、そっか。束さんの発明を使って」

 

宇宙人の言葉に記憶がはっきりし始める。自分とスラフティンが一体化し、メダロットそのものになってブラックデビルを倒したのだと。

 

『もう一度聞くよ?キミは生きたいかい?』

 

「生きられるならもう一度生きたい!ロクショウ、メタビー、ブラックビートルとスタッグ、ビーストマスターとゴッドエンペラー達と!」

 

『そうか、ならキミは二週間後に復活できる。それだけを伝えに来たんだ』

 

「え・・・・」

 

『今の君はメダルと同じ状態・・・彼らと共に復活できる。その間に彼とも話してみなよ』

 

そう言って宇宙人はいなくなり、また元の空間に戻ってしまった。

 

「彼?覇王の事か・・・」

 

将矢は復活までの時間を覇王との対話に使うことに決めた。覇王も己自身、それを受け入れなければ先へ進めないのだから。

 

人を生き返らせるというのは一首の禁忌かもしれない。だが、それでも兎は月の輝きを待っている。

 

己の気持ちを届けるために。




短いですが復活フラグ編という感じで。

メダロットの復活といえばやはり、遺跡ですよね。

あえて、地下にある地底湖というよりは湧き水に近い場所での復活になります。

通常の満月ではあっという間ですので、年単位で限定的なスーパームーンを復活の条件にしました。

敵対した月の力を借りる皮肉です。将矢はまだ復活しません。とある場面になると出てきます。

次回は何も知らない代表候補生達と一夏のお話です。
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