Medaro IS メダルと共に   作:アマゾンズ

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女性権利団体からの襲撃。

蘇る英雄達


三十五話 IS学園襲撃

「なんですって!?それは事実なの!?」

 

「間違いありあせん、束博士からの情報を受け取ったセシリア・オルコットさんからの情報です」

 

生徒会室にて楯無が書類を叩きつけながら、怒号を上げていた。その内容は女性利権団体の私設部隊が襲撃してくるものという内容であった。

 

「どうして利権団体が・・・将矢くんの事と何か関係が?」

 

「ありえますね。彼が復活する事でスラフティンのデータ等が彼によって破壊されたり、発言力が強くなる場合もありえますから」

 

「その名の通り、利権に目が眩んでいるって事ね。悪い年齢の重ね方をした人間はに迷惑にしかならないって言われたけど、本当ね」

 

「如何しますか?」

 

「最初は説得、応じない場合は防衛権を発令できるよう学園長に話すわ」

 

楯無は書類を片付け、すぐにも学園長のもとへと向かっていった。

 

 

 

 

 

数時間後、女性利権団体の私設部隊が現れ、IS学園に拡声器で警告を促すような言葉を発する。

 

「我々は女性の権利を守るべく結成された、女性権利団体である。IS学園への要求は土谷将矢が使っていた専用機たるIS、スラフティンの全てのデータの提出及び学園の無条件降伏、我々利権団体への戦力提供、各国の専用機の譲渡、以上である」

 

それを聞いた学園の十蔵が拡声器を使い、要求に対する意見を述べた。

 

「我々は無国籍領域に認定されているとは言えど、教育機関です。そのような要求を飲むわけにはいきません。世界中から任されている候補生や一般の生徒を巻き込むことはあってはならない!」

 

「では、我々の要求を拒むと?」

 

十蔵の言葉に拡声器を持ったメンバーが返答する。その声には僅かに怒気が込められている様子で。

 

「当然です!」

 

「わかりました。全隊!攻撃開始!専用機は無効化して奪取せよ!スラフティンのデータは後ほどに回収!」

 

40人の部隊がIS学園に向かっていく。だが、それを阻んだのは代表候補生達と教員部隊、千冬と真耶、そして一夏である。

 

「ブリュンヒルデ、貴女はそちらの味方をするというのか?我らにとっては神格に等しい貴女が!」

 

「人を勝手に神にされては困る。確かに私は世界最強であったが、今の私は多少、世界との繋がりを持っているだけの人間だ。織斑千冬というただの人間であり、世界最強のブリュンヒルデなどではない」

 

「そこまで堕落したか!」

 

「勘違いするな!いつまでも私は世界最強ではない!!いずれは私を超える者が次世代に現れるだろう。それを見守り、育てていくのが先駆者の役目だ。ISも変わっていくように世代も変わっていく。私は旧世代の人間だ、新しい世は新しい世の若者に託していくべきだ!次代に託す事が出来ない人間が導くなどという言葉を口にするなど、おこがましいにも程がある!!」

 

千冬の言葉に校舎の内部で聞いていた生徒達はもとより、一夏も大きく驚きを隠せずにいた。

 

千冬自身が、世界最強のブリュンヒルデの称号を否定したのだから無理もない。さらには彼女は自分自身を旧世代の人間だとも口にした。

 

学園長や年長者からすれば、まだまだ若いと言われるだろう。しかし、競技とはいえど戦士としては、もはや年齢が限界に近づいている事は否定できない。

 

どんなに鍛えようと注意しようとも、いずれは限界が来る。事故や病によって道を絶たれた人間もいる。

 

道を築き上げつつ、己の志を託す事の出来る人材を育て上げる。その目標が千冬を変えたのだ。

 

「嘘だろ・・・千冬姉?」

 

信じられずにいたのは一夏であった。世界最強の称号をいとも簡単に捨ててしまった姉の考えを理解できなかった。

 

いつまでも強く、気高くあり己を助けてくれた姉。その姉が自分はただの人間であると、己の称号は結果にすぎないと自分で口にしたのだから。

 

「俺は・・・どうすればいいんだよ」

 

戦士であり導いてくれるはずの支柱が砕かれ、一夏は迷い始めてしまった。強さこそが守る為、ある意味正しいと思い込んでいた中で強さの象徴が無くなってしまった事による喪失感であった。

 

「一夏!考え事してるなら下がってなさいよ!」

 

「!鈴!?」

 

部隊の一人を戦闘不能にし、ISだけを解除させる。ブラックデビルが指揮していた月のメダロット達との激闘の実戦経験が彼女を成長させていたのだ。

 

「悪いけど、皆・・・自分で自分を守る事に精一杯の状況よ。こうして話してられるのも僅かな間だけ、迷ってるなら校舎の中にいてくれる?今、アンタを守りながら戦う余裕はないのよ」

 

「!そんな言い方!!」

 

「っ!?このぉ!!」

 

鈴が衝撃砲を放ち、一夏に切り掛ろうとしていた隊員を戦闘不能にする。倒れた隊員を見て一夏は更に動揺した。

 

「理解した?言われてるかもしれないけど、皆を守ると口にする前に自分で自分の身を守れるようになりなさいよ。今回はそのチャンスよ?」

 

要件は伝え終わったのか、鈴は次の戦場へと向かっていく。それと同時に一夏は一個部隊に取り囲まれてしまった。数は10人ほど、今の彼にはキツイ人数だろう。

 

「自分で、自分の身を守る・・・それが俺には足りないのか」

 

雪羅が持つシールドと雪片で一人一人を撃退していくが、五人が固まって一夏をアサルトライフルで狙い撃ちし始めた。

 

「ぐ、ぐううううう!このおお!」

 

シールドで何とか防ぐがエネルギーは非情にも減っていく。己一人すら守れない現実がのしかかってくる。それを振り払うかのように荷電粒子砲を構えて固まっている人数を吹き飛ばし、戦闘不能にし残った三人は撤退していった。

 

「はは・・・俺って、こんなにも弱かったのかよ。自分すら守れないなんて、さ」

 

一夏は自分の機体の状態を見て校舎の中へと撤退した。今の自分では何も出来ない現実を受け止めながら。

 

 

 

 

 

「おのれ、たかが高校生の子供が!」

 

部隊の大半が撤退へと追い込まれ、部隊長は毒づいた。無理もない、命をかけたブラックデビルの率いていた部隊との実戦が彼女達を何倍もの速度で成長させたのだ。

 

「本当の命をかけた実戦のおかげですわ。あの戦いで私達は大切なものを失いました、その代わり心の強さを身につけられたのです!」

 

「後悔もあったよ、だけどね」

 

「それすらも糧にして私達は前に進むと決めたのだ!」

 

彼女達を強くしたのはもう二度と目の前で大切なものを失いたくないという共通の意思であった。

 

それが例え、些細なものであっても失っては取り戻すことは出来ないと知った。だからこそはと後悔をしながらも前へと進む。

 

「ならば見よ!この最強の力を!」

 

そう言った瞬間、部隊長の身体が溶け出したISが包んでいく。その現象に覚えがあるのがラウラであった。

 

「VTシステムか!未だに使われていたとは!?」

 

「データだけは提供されるから、それを使ったのね」

 

だが、分析している間。捕獲専用の投擲機から網を使用され、代表候補生達が一箇所に囚われてしまった。

 

「お前達の機体を回収する!」

 

残った10人の部隊と共に、代表候補生達に向かっていく。コピーされた雪片の刃が届く瞬間、10人の部隊が何かの衝撃を与えられたかのように吹き飛ばされ、全員が戦闘不能になってしまった。

 

「な、何が起こった!?」

 

動きを止めて、何が起こったかを確認する。全員がハイパーセンサーで確認すると屋上にISらしき物を身に纏った人間がいた。

 

「あ、あれは!!」

 

 

 

 

 

 

この襲撃の三日前、調査に調査を重ねたスーパームーンの日である。この時を待っていた束はクロエと共に遺跡に趣き、将矢が手に入れた全てのメダルと自分が復元したメダル、そしてカプセルに入った将矢の肉体と共に地下へと降りていく。

 

目的の地底湖に、全てのメダルと将矢の肉体を浅めの地底湖に寝かせるように沈め、その時を待った。

 

「つーくん・・・お願い、戻ってきて」

 

「束様・・・」

 

二時間後、スーパームーンと遺跡の位置が重なった瞬間、地底湖の水がメダルの色に輝き始める。

 

「な、何!?何!?」

 

突然の事に束も慌て始めるが、光がスーパームーンへと伸びていき逆に蒼い光が地底湖に降りていく。

 

 

 

 

何もない世界において将矢は、自分が何かに引き寄せられるかのように激流の中にいた。

 

「これは・・・戻されている?」

 

「うむ。我らの命がメダルへ、将矢の命は将矢の肉体へと戻ろうとしている」

 

「ロクショウ!」

 

「戻ろうぜ!もう一度、戦うために」

 

「メタビー!」

 

「私達も」

 

「お供します!」

 

「ブラックビートル、スタッグ!」

 

Bメダルの二人も将矢の近くに現れ、共に激流の中へ入り戻ろうとしている。

 

「グウウ!」

 

「マスターヲ・・・マモル。ワレラモトモニ」

 

「ビーストマスター、ゴッドエンペラーも!」

 

ブラックデビルと共に戦ってくれた仲間、全員が戻ってきてくれたのだ。将矢にとってこれ以上に嬉しい事はない。

 

「帰ろう!俺達を待ってくれている人達の所へ!!」

 

全ての光が地底湖に降り注ぎ、それが消えた瞬間、メダルが束のもとへと戻っていく。

 

「メダルが、戻って・・・しかも絵柄が変わってる!?」

 

全てのメダル達は生物的な絵柄から、メタビー達の本来の姿を映した絵柄に変わっている。驚きはそれだけではなかった。水音が響き、そこから出てきたものに対して震えた。

 

「・・・・・」

 

「つーくん?」

 

「ただいま、束姉さん」

 

「つーーーーくーーーーん!!」

 

自分自身が濡れる事も厭わず、将矢に抱きついた。その目からは涙が溢れており泣いている。

 

「よがっだ、よがっだよ!帰って来てぐれて!!」

 

「ごめんなさい」

 

「いい・・・っ!?つーくん!その眼!」

 

「眼?」

 

「将矢さん、ここに鏡が」

 

クロエに催促され、自分の顔を鏡に映した。そこには目の色が左右で違っており、所謂オッドアイになっていたのだ。

 

「茶色と青色の目に変わって・・・これは覇王の瞳の色かな?」

 

「覇王って、つーくん!もしかして!?」

 

「いや、束姉さん。安心して覇王とは死んでる間に話し合ったから」

 

「え?」

 

「覇王は俺と同じで孤独だったんだ・・・アイツは俺自身、孤独の感じ方は違うけど、お互いに話し合って一つになった。お前が俺で、俺がお前って感じでね」

 

「そうだったんだ・・・じゃあ、私のもとでリハビリをしようか?」

 

「はい」

 

「束様、準備は出来ておりますよ」

 

この後、将矢は三日間の間に身体能力を取り戻す訓練と身体の栄養を取り戻すことに専念し、戻ってきたのだ。

 

 

 

 

 

「何者だ、貴様は!?」

 

「そうだな・・・黄泉の国から帰ってきた人間だよ!」

 

VTシステム状態の部隊長に対し、打ち込まれたのはピコペコハンマーで、たったの一撃でVTシステムを停止させ吹き飛ばし、チャンバラソードで捕獲用の網を断ち切った。

 

 

「将矢・・!?」

 

「将・・・矢?」

 

「土谷・・・将・・・矢?」

 

「将矢・・」

 

「将矢さぁぁぁぁん!!」

 

代表候補生達の掛け声に将矢はたった一言、たった一言だけで返事をした。それは覇王としての自分と恩来の自分を同時に答えながら、少しだけ野性味を含めた言葉で泣き出したセシリアを慰めるかのように。

 

 

あいよ




将矢、復活!復活!!

まだ、戻ってきただけで決着はついていません。

次回は復帰戦、戻ってきた将矢に対し代表候補生達や千冬達からのOHANASHIが待っています。
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