最終ボス役登場
一方でとある組織の地下研究所ではあるものが回収、復元作業が始まっていた。五つに別けられている様で、最後の欠片があれば完成するのが分かりきっている。
「この銀のメダルのような物が核となって復元されるなんて・・・」
組織の幹部の一人であるスコールが意外そうな表情をしながら、黒色に染まったメダルを見ている。科学者達はそのメダルに合うパーツをISとして開発しようとしていた。
「機体名はどうする?」
「もう決めてあるさ。サルベーションという名だ」
機体データを表示し、各部のパーツ名が出てくる。その名の通り死を連想させる禍々しい姿だ。名付け親の研究員が偶然、機体のデータを見つけ出し、データをサルベージしたのだ。
頭部ヨンセンウイング 右腕ムスウノアイ 左腕ムスウノタンング 脚部ナナマンレッグ。これら全てをISとして組み上げようと計画されている。
『違う、我の名はアサドアラーク・・・』
「お前、何か言ったか?」
「いや、何も」
科学者の二人は気のせいだと聞こえた声を無視し、機体の設計図を作り続ける。そんな中でスコールのスマートフォンに連絡が入る。
「もしもし?ああ・・・M。そう、最後の欠片が手に入ったのね?後はゴーレムと呼ばれてる無人機を一機、奪取して来てくれる?文句は言わないの、その仕事が終わればナノマシンは消滅するから。それじゃお願いね」
通話を切り、まるで美しい宝石を愛でるかのように銀から黒へと変化したメダルを見つめるスコール。
「アナタに身体を与えてあげる・・・だから、協力して欲しいわ」
『・・・・・』
メダルは黒いオーラを強め、意思表示をしながら自分を倒した者への憎しみ、この世界に蔓延している負の感情を吸い続け、力を増幅させている。
「全てを破壊するのは私達よ・・・フフフ」
◇
その頃、通話を切られたMはゴーレムを奪取しようと束の研究所跡地を探索していた。本体は見つからなくとも設計図さえ有れば良いと考えをもっての事だ。
「む・・・?やはり運が良いな。片腕だけを喪失しているがこのゴーレムは使えそうだ」
廃棄処分となっていそうなゴーレムを回収し、基地へと帰還する。そこには出迎えのスコールが立っていた。
「お帰り、M」
「ああ、命令通りゴーレムを回収してきた。約束通りナノマシンを消せ」
「ええ、少し待ってね」
スコールは手にしているナノマシンと連動している小型のボタンを押し、Mは解放されたような気分になった。
「これで自由か・・・ふふ」
「そうね」
「っ!?がああああ!?」
スコールはもう一つの小型ボタンを押し、Mの脱走を防いだ。全身に電流が流れたような感覚にMはその場で膝を着いて倒れた。
「な、何故・・・?騙したのか!」
「あら、人聞きの悪い。確かに消滅するとはいったけど・・・それは精神作用のあるナノマシンで肉体に作用するナノマシンを消すとは言っていないわ」
「な・・に・・ぐっ!?」
スコールはMの顔を掴み、強く握り始める。その目には光は宿っておらず、人間というよりは機械と言っても過言ではない冷酷さがにじみ出ていた。
「立場を弁えなさい・・・例の計画で生み出された貴女を引き取ったのが誰なのかを」
「が、ああ・・・あああ!」
「大方、私の首を取ろうと思ったのでしょうけどね。狂犬にワクチンを射たない阿呆は居ないわよ」
押すように手を離すとMは咳こみ、呼吸を整え始めた。その様子をただスコールは見ているだけ。
「本当に自由になりたいなら歯向かわず脱走する事ね。最もそんな事はありえないでしょうけど、例の回収した物を渡しなさい」
「ぐ・・・」
回収物を受け取るとスコールは、ハイヒールの靴音を立てながら奥へと去っていく。身体の感覚が戻ったMは機体を待機状態に戻し、自分も部屋へと戻っていく。
「あの欠片を回収した最中に見つけたが・・・これはどう使うんだ?」
Mの手には一つのオニキスに似た宝石のような黒い水晶があり、それを光に当てて弄んでいた。用途は分からないが何か意味があるのだろうと回収したのだ。
「・・・・一応、持っておくか」
そういってMは小さい物ならば収納できるペンダントにその水晶をしまって身につけた。
◇
その頃、研究を重ねていた束は行き詰まりを感じ遺跡に趣き、メダロットに関する物がないかと探していた。特にメダルに関するものは古い研究結果を見てもそれ以上の事が記されていないのが現状だ。
「やっぱり何もないか・・・ん?」
束が目をつけたのは太陽光を反射させている宝石のような欠片であった。一つ一つ、色も形も違っている。
「これは・・・何かな?」
欠片の一つを手に取り、解析用の機械へ放り込むと手早く起動させ、解析を進めた。十分と掛からずに解析が終了し、メダルに何かしらの影響を与えるようなものであるという事だけしか解析できなかった。
「これはメダリア・・・かな?古い文献にあったけど。もしかしたら」
ほんの少し進んだ先に、水晶のように輝きながらも黒い光を魅せるメダリアが、埋まっているのを見つけ出した。
「あった・・・!これはすぐに回収して戻らないと」
彼女は目的のメダリアを回収し、すぐさま自分の研究所へと戻った。自分の胸の内から得たいのしれない不安がせり上がってくるのを止められないまま。
◇
IS学園では束の不安と同調するかのように、セシリアはナノマシンを射たれた部分を手で押さえた。痛みはないはずなのに幻肢痛に似たようなものが走ったのだ。
「っ・・・何ですの、今のは?何か大きな不安が過ぎりましたわ」
不安は誰にでもあるもの、とは言われているが、この不安は何故が拭い難いものであった。なぜここまで不安が強いのか。
「なにか大きなものが・・・?」
不安の種は束と共に打ち込んだナノマシンの箇所だけ、今までの自分であったのならそんなことは気にしなかっただろう。
この不安はなんなのか?セシリアの中に、なにか大きな驚異が来るのではないかという不安が束と同じようにせり上がってきていた。
◇
同時刻、秘密研究所ではMが回収したジャンクのゴーレムを素体に完成させた無人機のISに、黒いメダルが今まさに搭載されようとしていた。
「搭載完了、コアの親和性も問題ありません」
「すごい、この無人機は世界を支配できるかもしれない・・・!このサルベーションは!」
『否・・・!私はアサドアラーク!!』
「な、何だ!?」
コンピューターから危険な状態を知らせるシグナルが鳴り響き、復活したサルベーションは黒いオーラを纏い、接続されていた配線を引きちぎり、自分自身で起動した。
『私は私の意思で動く、キサマらに利用されはしない』
「!」
アサドアラークが研究員の身体に触れた途端、同じ黒いオーラが彼の身体にまとわりつき、意識を失ってしまった。
「ひ、ひいいい!」
『私の行く先を阻むのなら、振り払うだけだ』
研究員達の意識を奪うとアサドアラークは地上へ近い場所へ移動し、ゴーストショットによる射撃で天井に穴を開け、飛び出して行った。
『強者が集まり、驚異たる邪魔者を排除せねばならない・・・その場所はIS学園!』
自由の身となったアサドアラークは、ISのコアを取り込んだ黒いメダルから発せられる黒いオーラの驚異的な力とメダロットの身体の時には無かった推進力を利用しIS学園へと向かっていった。
彼の目的はハッキリしない。メダルが求めているのは脅威となるモノの排除、アサドアラーク自身が求めているのは強者との戦い。
求めているものは殆ど変わらないはずなのに、お互いの意思は何一つ一致していない。メダルが排除しようとしている驚異はレアメダルの存在だ。
それを抱えたまま、アサドアラークはIS学園へと向かっていく。己の中にある最高の戦いの開幕を告げるために。
最終ボス役の登場です。
アサドアラークには黒いオーラを利用したアレがあるので使えると思った次第です。
次回はアサドアラークの無双戦、イベントバトルに近いものがあります。
今度はセシリアが・・・死す!?
一方で今度こそ自分が驚異を打ち払ってみせるという人間がいます。
では、次回に。