将矢くんはイケメンではなくフツメンです。所謂、原石タイプですので服やアクセサリー、身体を鍛えるなりすれば磨かれます。
今現在の身体は年齢より少し肉体が鍛え上げられてます。
入学の準備や手続きが終わり、将矢は教室にいた。だが・・・。
見渡す限りの女、女、女・・・・女性だらけだ。最も女性達は世界初の男性操縦者である織斑一夏の方に視線が向いている。
将矢は元々、趣味である発掘で掘り出したメダルに関する資料の本を読んでいる。
最も本自体が古いので束に頼んで全てに特殊コーティングがされている。
「(メダルは発掘されたものがレアメダル・・・科学技術でレアメダルを限りなく元に近い形でコピーしたメダルはファーストメダルなのか・・・じゃあ、メタビーやロクショウは発掘場から出てきたからレアメダルって事?)」
ファーストメダルに関しては束がロストテクノロジーを蘇らせようと考え、実験を行っていると聞いている。
『おい、先生達が来たから本をしまえよ』
腕時計(メダロッチ)の形をしたスラフティンからメタビーが注意を促す。それを聞いた将矢は本をカバンにしまった。
「おはようございます、副担任の山田真耶です。これから一年間みなさんと一緒に勉強していくことになりますのでよろしくお願いしますね」
真耶の挨拶にクラス内がシーンと静まってしまっていた。
「そ、それじゃ自己紹介をお願いしますね!」
空気を払拭しようと真耶がクラス全員に自己紹介をするよう促した。
「・・くん、らくん、織斑くん!」
「は、はい!」
それぞれが自己紹介をしているとボーッとしていた一夏に真耶が声をかけていた。
「自己紹介、お願いしますね?」
「はい・・えっと、織斑一夏です。以上です」
全員が一斉にコケた。中にはスネを打ったり、コントで一世を風靡した五人組のコメディアンのようなコケ方をしているものもいる。
『もう少し、まともな自己紹介ができねーのか?アイツは』
『私も同意見だ』
さすがのメタビーとロクショウも呆れを隠しきれていない。そうしていると誰かが一夏の頭を叩いた。
「全く、自己紹介もまともに出来んのか?お前は」
それは織斑千冬であった。一瞬だけ将矢を見た後、全員に自己紹介を続けるよう催促する。
遂に将矢の番が来た。
「土谷将矢です。趣味は発掘や考古学の本を読む事、後は球技も好きです。いたって普通の男子です。よろしくお願いします」
自己紹介を済ませるとクラスメイト達は拍手し、次々に自己紹介が行われる。
クラス全員の自己紹介が終わり、今度は千冬が教卓から自己紹介を紹介する。
「諸君、私が織斑千冬だ。諸君達を一年間でIS操縦者として使えるよう鍛えるのが私の役目だ。逆らってもいいが、私の言うことは訊け、いいな?」
『将矢、耳を塞げ。早く』
「え?」
終わったと同時にロクショウから注意が促され、耳をふさいだ。
「「「「「きゃあああああああああああ!!!」」」」」
音波兵器とも言えるような声がクラス中に響いた。将矢はISの大会に関して疎いので、何が何だかわからなかった。
どうやら織斑先生はこの学園の憧れの存在として認知されているらしい。
「早く休み時間にならないかな・・・」
本の続きが読みたい将矢はそんな事をぼやきながらクラスが静かになるのを待った。
◇
そして授業が始まり、将矢は黙々とノートに講義の内容を写し、次のページである右側に自己流の解説を載せておく。こうする事で理解がしやすくなるのだ。
学園で教えている授業はISに関する基礎中の基礎、束に拷問レベルで勉強を教えられていた成果がここで発揮されている。
逆に一夏は授業に苦戦していた。無理もないだろう、IS操縦者としてではなくただの一般人として生活し、普通科の高校へ進学するはずであったのだから。
「土谷くん、織斑くん、分からないところはありますか?」
「入学前の教科書を読んでいたのである程度までなら」
「あの・・・山田先生。俺・・全くわかりません!」
「え、全部ですか?」
「はい!」
自信満々で答える一夏にさすがの真耶も苦笑してしまった。それに対し制裁を加えたのが姉である千冬であった。
「いてええ!?」
「愚か者、入学前に渡しておいた教科書はどうした?」
「電話帳と間違えて捨てました」
その言葉と同時にまたもや制裁の出席簿が一夏の頭にヒットする。
「馬鹿者が新しいのを発行してやるから一週間で覚えろ」
「え・・・一週間って」
「あの」
それを見ていた将矢は千冬に声をかけ、千冬は振り返る。
「なんだ?土谷」
「俺の教科書を差し上げます。一応、解説内容は全て勉強目的にコンピューターへコピーしてありますから」
「それでは、お前はどうするのだ?」
「新しい方を貰いますから、それでお願いします」
「わかった。織斑、土谷に感謝しろ」
「は、はい」
「今度は捨てるなよ?」
千冬からの釘刺しに罰が悪そうな顔で将矢を見るが、将矢は帰宅準備を済ませるとすぐに帰宅していった。
◇
その翌日、授業後の休み時間、将矢は一夏に声をかけられていた。
「よう、将矢!」
「織斑くんだっけ?教科書を捨ててないだろうね?」
「あ・・・それは大丈夫だ。目印はちゃんと付けておいたから」
「そっか、要件はそれだけかい?俺は本の続きを読みたいんだけど?」
「そう冷たくするなよ。男同士、交流を深めようぜ」
「はぁ・・・別に良いけど。男だけで固まってたら変な意味で取られかねないよ?」
そうやって話していると一人の女性が近づいてくる。歩き方に優雅さがあるところを見ると上流階級の人なのだろう。
「少しよろしくて?」
「ん?」
「なんだい?」
「まぁ、なんですのその態度は!?このわたくしが話しかけているのですからそれだけでも光栄だというのに」
どうやらこの子は自分が特別だという考えが強いようだ。それでも将矢はごく当たり前のことを当たり前のように返した。
「済まないけど、俺は自己紹介で名前くらいしか知らないからね?それに発掘に夢中でIS自体、素人なんだ。だからごめんね?セシリア・オルコットさん」
将矢は自己紹介で名前と顔を一致させるのが早かった。女性と仲良くならなければクラスで孤立してしまうためだ。
「貴方、馬鹿にしてますの!?わたくしはイギリスの代表候補生なのですよ!?」
「馬鹿にしてなんかいないし、そもそもどうやって解釈すれば馬鹿にしてることになるのさ?」
「あ、貴方という・・・!」
セシリアが言い返そうとした瞬間、チャイムが鳴り席に着くよう真耶が声をかける。
「はーい、皆さん席に着いてくださいねー」
その声を聞いたセシリアは将矢と一夏を睨んだ後、席へと戻っていった。
◇
次の授業はホームルームらしく、千冬が教壇に立った。
「では、この時間を使って次のクラス代表トーナメントに参加するクラス代表を決めようと思う。自薦、他薦問わんぞ」
「はい!織斑くんが良いと思います!」
「私も!」
クラスメイトの女子達から推薦された一夏は狼狽えていた。急いで反論し、意見を出した。
「お、俺はそんなのやらないぞ!」
「推薦された者に拒否権はない、諦めろ」
「だ、だったら俺は土谷を推薦する!!」
「え?」
呆気にとられた将矢は巻き込まれる形で推薦され、代表の候補生に上がってしまった。
そんな中でセシリアが不満を挙げるように立ち上がり、大声を上げた。
「納得いきませんわ!そもそも、実力的にトップなのはこのわたくし、セシリア・オルコットなのです!ですからクラス代表はわたくしがなるべきですわ!」
セシリアは怒りに任せるような勢いで自分の言葉を話し始める。それが将矢の相棒である二人に火をつけてしまうことも知らず。
「物珍しさで極東の猿などに代表を任せるなど・・・」
『おい、あの女・・・自分が全て正しいと思ってねえか?』
『一人だけならまだしも、もはやこの国全体を軽蔑しているのに気づいていないようだな』
メタビーとロクショウはセシリアの言葉を冷静に聞いていたが怒りを含んだ様子で将矢に囁いた。
「(じゃあ、止めるとするよ)はい、セシリアさん。ストップだよストップ・・・それ以上は問題になりかねないから」
「なんですの!?わたくしは正当なことを言っているだけで」
「その言葉がこの国に住んでいるすべての人への侮辱だって解ってないの?」
「なっ!?」
「極東の猿?うん、個人だけに対するなら構わないけど、先程の言い方だと・・・この国、日本国民全員を侮辱してるよね?無論、その中には山田先生に織斑先生、IS開発者の束姉・・・っと、篠ノ之束さんも含まれてる」
「それがなんですの!?」
「まだ、分からないかな?これから技術や勉学を教わる人に対して馬鹿にしながら教えてくださいって言っているようなものだって言いたいんだ。開発者の篠ノ之束さんだって日本人だよ?もしも、セシリアさんの発言で束さんが、イギリスのISだけを停止させるとか宣言したら・・・どうなっちゃう?セシリアさんの祖国、イギリスを崩壊させた事で全ての責任を負えるの?」
「な・・・ぁ」
無論、これは将矢自身の言葉ではなく、メタビーとロクショウが発言したい事を将矢自身が言葉を選んで代弁したに過ぎない。将矢自身も日本人であるため、セシリアの言葉には少し、イラついていたのも事実である。
「もう一つ付け加えると、このIS学園の大半だって日本人、俺達がいるこのクラスのほとんどだって日本人・・・セシリアさん、学園全体をたった一人で敵に回すつもりなのかい?」
「そうだぜ、将矢の言う通りだ!」
将矢の言葉に一夏は賛同し、セシリアに言葉を発した。だが、クラスメイト達、教師達も言葉を失っていた。
今、この場で起こっている事は明らかな国際問題に発展しかねない。それに加えてイギリスが崩壊の危機という点も間違っていないのだ。
「ぐ・・・くく・・・。ですわ」
「え?」
「決闘ですわ!よくもわたくしに恥をかかせてくださいましたわね!」
「恥でもなんでもなく、言葉に気をつければいいだけじゃないか」
「許せませんわ!わたくしと戦いなさい!!」
「おう、いいぜ!」
『グルオオォォォ!!』
一夏の軽はずみな言葉とセシリアの怒気当てられたのか、獣の王が前面に出てきそうになっていたのをメタビーとロクショウが急いで押さえ込んだ。
『まてまて、お前の出番はまだ早いって!!』
『落ち着け!怒りは理解できるが、お前が暴れても将矢が被害者になるだけだ!』
『グウウウゥゥ・・・』
獣の王は将矢の名前を聞いて大人しくなり、内側にある神の帝のもとへ消えていった。
「わかった、だったら選ばれた三人で戦おう。織斑先生」
「ああ、一週間後にアリーナが空いている。そこで決着をつけるといい」
千冬の言葉で一週間後に代表を決める戦いをすることになった。
◇
その日の放課後、将矢は入学前に渡された束のお手製ノートパソコンで束と通信していた。
束曰く、このパソコンは独自回線でネットなどに繋がっているらしく、ウイルスもハッキングもクラッキングもされないのだという。
「つーくん、よく言ってくれたねー。束さんもスカッとしたよ」
「見てたんですか、あれはメタビー達の代弁ですよ」
「それでも、つーくんの言葉に変わりは無いよ。それとね、ライオン型のパーツとサーベルタイガー型のパーツを作ってみたのデータで送るからスラフティンを接続してくれるかな?」
促されるように接続すると、パーツのデータが転送されロードされた。
頭部・テンションアップ 右腕・シュートバレル 左腕・レンジシューター 脚部・アブダクター
頭部・レインフォース 右腕・シュートスフィア 左腕・ダクトシューター 脚部・ミグレイター
ライオン型の方はどうやらメタビーと同じ射撃・火力型のようだ。続けてサーベルタイガー型のデータが表示される。
頭部・ハンター 右腕・フレクサーソード 左腕・ストローハンマー 脚部・シャープエッジ
頭部・インサルト 右腕・シンソード 左腕・ソリッドハンマー 脚部・キーンエッジ
こちらのサーベルタイガー型はロクショウと同じ格闘・速度型らしい。この機体の共通点はメタビー、ロクショウであるメタルビートルとヘッドシザース、この両機とは両腕の攻撃方法が真逆になっているという点だけだ。
「それじゃ、組み換え機能も使ってみてね?バーイ」
束からの通信が切れると早速、訓練場へと向かい、展開してみることにした。
ウォーバニット、ユニトリスと名付けたライオン型とスミロドナッド、エクサイズと名付けたサーベルタイガー型。この機体のパーツをうまく使えば勝てるだろう。
「さて、次は情報収集だ。セシリアさんのデータはすぐに見れるよね」
機体を待機状態にすると、すぐに戦闘データを見るための部屋へと向かった。
端末にセシリア・オルコットと入力するとイギリスの代表候補生であり、機体の篤志が表示される。
「ブルー・ティアーズ・・・ビット兵器による広範囲射撃型の機体か。ライフル射撃にミサイル、後はレーザーってところかな?」
『ガッチガチの射撃型だな。それに装甲も薄いみたいだぜ?』
『ここは、スミロドナッドのパーツが有効になるだろう』
メタビーとロクショウの意見も参考に、次は千冬の機体のデータを検索し始める。
『ん?なんで千冬さんのデータなんか見てるんだ?』
メタビーの疑問に将矢はすぐに答えた。それは至極単純な好奇心である。
「織斑先生がどうやって世界大会を優勝したのか気になるし、武装もね」
簡単に検索結果が表示され、それを見ると将矢は驚いた。
「暮桜、確かに当時としてはすごい機体だけど・・・刀一本って」
『それだけじゃないようだ。ここに優勝できた理由がある』
ロクショウが注目したのは零落白夜と書かれた部分だ。おそらくこれが必殺の技か武装なのだろう。
『防御エネルギーを攻撃に転換して相手に大ダメージを与える・・・まるでサクリファイスみたいだな』
「犠牲の部分は似てるけど、全然違うからな?メタビー」
ツッコミをしながら暮桜の対策を考える。シュミレーションでも対策を考えないと勝てない場合が多いからだ。
『格闘型、か・・・装甲の厚い俺のような射撃タイプなら行けるかもな』
「距離を掴ませなければ・・・ね」
『よっしゃ!早速特訓しようぜ!!』
『そうだな』
「おう!」
メタビーとロクショウのアドバイスを貰いながら、一週間後に迫る戦いに備えて将矢は特訓を始めるのであった。
◇
スラフティンの内側では獣の王が、セシリアと一夏に対して怒りを燃やしていた。
セシリアに対しては主を侮辱された事、一夏に対しては己が動かず、代弁ではあるが主の言葉へ逃げ込み、手を汚さないよう利用した事に対する怒りであった。
『グルアアアアアオオオオォォォォォォ!!!!!!!!』
『・・・・・・御意』
神の帝は前身である獣の王に賛同する意志を見せていた。前身であり兄にも等しい存在である獣の王の意志を自分が否定する事ができないのだ。
「・・・流石に今回は無理のようね」
「ええ、彼の怒りは凄まじいですもの・・・!」
それぞれ逆位置に、眼帯のような装甲をつけた黒いKBTとKWGは獣の王と神の帝の姿を見ていた。
話し方からして黒いKBTとKWGは女性型のようである。冷静なKBTと情熱的なKWG、こちらも対照的だ。
「いずれは私達も表に出るときがある。その時は全力で主と白の私達を守りましょう?スタッグ」
「ええ、もちろんですよ!ビートル!!」
二人は仮の肉体で握手を交わすと、スラフティンの奥底へと戻っていく。将矢自身、獣の王が現れるなど、この時は考えもしていなかった。
今回はここまでです。
このシーンを読み返したら「よく国際問題やいじめに発展しないな、普通はするって」と思いました。
将矢くんは対策を立てるタイプなので、得られる情報は出来るだけ手に入れます。
ライバルメダロットのパーツも一式手に入った事で、カスタマイズが可能に。
とうとう、獣の王が怒り心頭になり、意外な方法で現れます。
流石に序盤で神の帝を出す訳にはいきませんが、神の帝も怒ってます。
威力基準はGB版の認識でお願いします。
次回は戦闘!ロボトルファイト!