ただの蹂躙だ。
ステージ・アリーナ(サイバー扱い)機体・白式
【みんなはおれがまもる!】
【推奨BGM STRIKE ENEMY】
将矢の機体はまるでラスボスのような姿となっており、明確な敵意を持って一夏を見ていた。
「先手必勝だ!うおおおおおお!」
一夏は突撃して、一撃を加えようとするが下半身のコードが何本も向かっていき、ムチのように何発も殴って地に落とした。
「うあああああ!?ぐ・・・く」
『グオォォォ・・・!』
左腕から強力なビームが発射され、一夏はそれをギリギリで回避する。そのビームを受けた場所は大きなクレーターが出来ていた。
「な、なんだよ・・・この威力!?」
『グアアアアアアアアーーーー!!』
今度は右腕のTNTにも似た物を弾幕として放ってくる。なんとか、飛行することで一夏は回避しているが爆風が激しく、近づくことができない。
「今だ!零落白夜ァァ!!」
隙を見つけた一夏は零落白夜で左腕に斬りかかり、ダメージを与えた。その一撃は重く、かなりの傷だ。
【左腕パーツ・ダメージポイント95】
『ギャオオオォォーーー!?』
「へへ、やれるな。その力に頼ったお前を俺が倒してやる!!」
「グウウウ・・・!ユ・ル・サ・ン!!」
今までのビーストマスターはただ一夏に向けて攻撃しているだけであった。だが、一撃を与えられた事で完全な敵だとみなしてしまった。
脚部である無数のコードが一夏へ向かっていく。まるで捕まえようとしているかのように追尾していた。
「な!?おっと!危ねえ!?」
素早い動きで回避し続けていたが、コードの一本に捕まってしまう。振りほどこうともがき動くが次々にコードが一夏の四肢に巻き付き、動くを封じる。
「こ、この!離せ!!離しやがれ!」
『グウウウ・・・』
コードを使って自分の近くまで引き寄せると、開閉可能な顎を開き、中にある砲口が垣間見え、チャージを開始する。
「・・・・っ!!!!!!!」
一夏は本能的に悟った。この一撃を受けたら間違いなくまずいと。だが、四肢が拘束されて思うように動けない。
無常にもその一撃は放たれた。一夏はアリーナの壁へと激突し、倒れる。それでも意識はあるようで立ち上がろうと壁に手を着いた。
「ぐ・・・ううう!ま、負けるか!!」
ギャラリー達は必死になって一夏の応援をしている。それは逆に今、目の前にいるビーストマスターに恐怖を感じていることにほかならない。
今この場にいる生徒達は一夏が勇者に見えているだろう。だが、相手は獣の王とされる機体、自分を傷つけた者を許す訳がないのだ。
◇
『ハカイスル・・・・!』
『止めてください!』
『!?』
『お願いします。機能停止だけにして破壊はしないでください・・・』
深層意識のような世界で、ビーストマスターに声をかけたのは白いワンピースを着た少女であった。
『ビーストマスター。ああ言ってるんだ、普通の勝負として決着をつけろよ』
『メタ・・・・ビー』
『将矢もそろそろ目が覚める・・・言い訳を考えておけ』
『!?ロク・・・ショウ』
会話を終えたビーストマスターは右腕のデスボムをロックオンし、連続で放った。
「そんなのに当たるか!」
爆炎が上がるがこれこそがビーストマスターの狙いであった。爆炎で己の姿を隠し、口を閉じることでデスブラストのチャージを隠した。
「俺の・・・・・勝ちだあああああああああ!!」
『グウウウウ・・・!!』
真っ直ぐに零落白夜を唐竹で振り下ろしたが、その刃は届くことなくデスブラストの光へと飲み込まれていった。
「う・・・あ・・・」
白式は墜落していくが一夏自身は軽傷で、無事である。ビーストマスターは一夏が起き上がらないのを確認した後。
『グオオオオォォォォォォオオォォォォォォ!!!』
勝利を得た喜びを表すかのように、ひと際大きい咆哮を上げてスラフティンの内部へと戻っていった。
そのまま将矢は気を失っており、ビーストマスターに引っ張られた影響で肉体的にも精神的にも疲弊しきった状態で顔が青くなっていた。
『おい、将矢!しっかりしろ!!おい!!』
『いかん、やはりビーストマスターの影響か!』
メタビーとロクショウは緊急信号をスラフティンから出して、教師達に合図を送った。
「!救急信号だと!?真耶!急いでタンカを用意しろ!!」
「え、えええ?」
「早くせんか!!」
「は、はいいいいい!!」
千冬は真耶に指示を出して二人を医務室へと運んでいった。一夏の方は軽い火傷や切り傷がある程度で済んでいたが、将矢は衰弱が激しく、予断を許さない状況になっていた。
◇
千冬が一人になったタイミングで千冬の携帯電話に連絡が入る。非通知のようだが電話に出ることにした。
「もしもし?」
「あ、ちーちゃん?」
「束か」
「うん、もしかしてとんでもない事になってないかな?」
「察しがいいな。下半身がコードで獣じみた機体を土谷が使用してな、それで衰弱しきっている」
「!!まさか、つーくん・・・獣の王を起動したの!?いや・・・つーくんが使う訳がないし、もしかして勝手に!?」
「どういうことだ!?」
千冬自身も驚きを隠せず、束に訪ねた。束は少し渋った後、条件を提示した。
「話してもいいけど、つーくんの機体であるスラフティンを解析しないって約束できる?」
「ああ、あの機体は解析したところで無意味のようだからな」
「じゃあ話すね。スラフティンには強力な四体の意志がパーツと共に眠っているんだ。つーくんが使ったのはその中の一つで獣の王、ビーストマスターだと思う」
「ビースト・・・マスターだと?」
聞きなれない言葉ではあるが、千冬は黙って話を聞くことにした。
「うん、その四体は意志が強いんだ。操縦者に代わって戦うほどにね、でも・・・つーくんが意思疎通してるから滅多に出てこないはずなんだけど、ちーちゃん・・・スラフティンを怒らせたりするような事しなかった?」
「ああ、私の担当するクラスの生徒の一人がな。言葉選びを間違えた上、一夏も」
「いっくんもかぁ・・・あの子は正義感が変に強いもんね。話を戻すけど獣の王ともう一人はマスター、つまり・・・つーくんに対して強く忠誠を持っているようだから、つーくんを馬鹿にされたのを怒ったんだと思う」
「それで出てきて、あんな大火力を持っているか?」
「眠っている四人は兵器といっても過言ではないから、それでも加減してくれてたんじゃないかな?」
「加減した状態で、アリーナを半壊させかねないとは」
スラフティンがもしも量産されたりしたら、恐ろしい事になるという言葉を千冬は飲み込んだ。
「ちーちゃん、つーくんはまだ眠っている四人を扱えるほど技量がないんだ。おそらく戦ったのはビーストマスター自身だよ」
「ああ、だが一夏を始めとする生徒達は土谷が戦ったものだと思っているだろう」
「仕方ないけどね、一応ちーちゃん宛につーくんの衰弱を治すナノマシンを送っておいたから注射してあげてね」
「恩にきる」
「うん、またね」
束からの連絡が終わり、千冬は急いで自室に戻った。予想通り荷物が届いており、それを持ってベッドで眠っている将矢に注射した。
「・・・・お前は一体、どんな獣に懐かれたというんだ」
◇
『このおバカーーーーー!!』
『あなたはマスターの身体を衰弱死させるつもりなのかしら?』
『グルゥゥゥ・・・・』
獣の王ことビーストマスターは黒のKWGとKBTに説教を受けていた。まるで子供が叱られているかのような状態だ。
『・・・・』
神の帝は黙ってそれを見ている。いくら怒りに身を任せていたとはいえど、マスターの身体を死ぬ寸前まで酷使したのだから弁護するつもりはないようだ。
『聞いているのですか!?獣王!!』
『反省しない限りずっと説教よ?それとマスターにも会わせないわ』
『グルゥ!?グオオオオォォ・・・・・』
マスターに会わせないと言われたビーストマスターはシュンとしてしまう。自業自得といえ、ビーストマスターは反省したと伝えた。
『今度からは謹んでください、獣王』
『また同じ事をしたらマスターにアナタを追い出すように言うからね?』
『グルゥゥゥ・・・・』
ビーストマスターは頷くと自分の場所へと戻っていった。メタビーとロクショウはずっと将矢を見守っている。
待機状態になっているスラフティンの中で、カブトとクワガタのメダルは新しい力を身につけていた。
その力を解放する時は未だ先の話であり、メダルは静かにその時を待ち続ける。
メダフォース!「れんぞくとうこう」はつどう!
はい、ビーストマスターによる蹂躙回でした。やりすぎた感はあります。
だが、私は謝らない!
黒のKBT、KWGの二人がオカン役です。冷静で怖いお姉さんと肝が据わってる活発なお姉さんといった所です。
流石にこの二人の説教には神帝も獣王も反射パーツと無効化パーツ下さいと泣くほどです。
次回は鈴の登場、皆さん左腕にはご注意を
では!